製造業で深刻化する人手不足を背景に、特定技能「工業製品製造業」を活用した外国人材の採用が急速に広がっています。2024年3月29日の閣議決定で旧3分野(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業)が「工業製品製造業」に改称され、対象業務区分も10区分に拡大されました。本記事では、製造業分野の特定技能について、最新の制度概要から採用実務のポイントまでを、入管業務専門の行政書士グループが解説します。
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工業製品製造業(旧・素形材・産業機械・電気電子)の制度概要
工業製品製造業とは、特定技能制度において製造業分野の外国人材受入れを定める分野区分です。2022年4月に素形材産業・産業機械製造業・電気電子情報関連製造業の3分野が統合され、さらに2024年3月29日の閣議決定で「工業製品製造業」に改称されました。
3分野統合と改称の経緯
3分野統合の背景には、製造業全体で共通する人手不足と業務内容の重複がありました。統合により企業側の手続きが簡素化され、分野をまたいだ転職も容易になっています。
- 2019年4月:特定技能制度スタート。素形材産業・産業機械製造業・電気電子情報関連製造業の3分野として設定
- 2022年4月:3分野を「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」に統合
- 2024年3月29日:閣議決定により「工業製品製造業」に改称、業務区分を10区分に拡大
制度の全体像について詳しくは特定技能とは?企業が知っておくべき制度の全体像の記事をご参照ください。
受入れ上限と在留者数
受入れ上限と実際の在留者数は、製造業分野の需要の大きさを示す重要な指標です。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 受入れ上限(2024年4月〜5年間) | 17万3,300人 |
| 在留者数(2024年12月末時点) | 45,183人(出入国在留管理庁公表) |
| 対象業務区分数 | 10区分 |
| 技能試験区分数 | 19試験区分 |
特定技能制度全体の対象分野について知りたい方は、特定技能の対象16分野一覧|自社に該当する分野の確認方法の記事もあわせてご確認ください。
対象となる10業務区分の一覧と業務内容
工業製品製造業の業務区分は、従来の3区分から7区分が追加され、計10区分に拡大されています。以下が対象となるすべての業務区分です。
| 区分 | 業務区分 | 主な業務内容 |
|---|---|---|
| 従来 | 機械金属加工 | 鋳造、鍛造、ダイカスト、機械加工、金属プレス加工など |
| 従来 | 電気電子機器組立て | 電子機器組立て、電気機器組立て、プリント配線板製造など |
| 従来 | 金属表面処理 | めっき、アルマイト、溶融亜鉛めっき、電気めっきなど |
| 追加 | 紙器・段ボール箱製造 | 紙器・段ボール箱の製造・加工 |
| 追加 | コンクリート製品製造 | コンクリート製品の製造・加工 |
| 追加 | RPF製造 | RPF(固形燃料)の製造 |
| 追加 | 陶磁器製品製造 | 陶磁器製品の成形・加工・焼成 |
| 追加 | 印刷・製本 | 印刷・製本に関する作業 |
| 追加 | 紡織製品製造 | 紡織製品の製造・加工 |
| 追加 | 縫製 | 衣服等の縫製に関する作業 |
各業務区分では、当該業務に従事する日本人が通常行う関連業務(原材料の調達・搬送、製品の検査・保管など)にも付随的に従事することが認められています。
受入れ要件と技能試験・日本語試験
製造業で特定技能外国人を受け入れるには、外国人本人の要件と受入れ企業側の要件の双方を満たす必要があります。
外国人本人の要件
特定技能1号として就労するには、技能試験と日本語試験の両方に合格していることが原則です。
- 技能試験:製造分野特定技能1号評価試験(19試験区分、技能検定3級相当)に合格
- 日本語試験:日本語能力試験(JLPT)N4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)に合格
- 試験免除:対応する職種・作業の技能実習2号を良好に修了した方は、技能試験・日本語試験ともに免除
技能実習と特定技能の関係について詳しくは技能実習と特定技能の違い|どちらが自社に合う制度かの記事で解説しています。
受入れ企業側の要件
受入れ企業には、雇用条件に加えて協議会への加入義務など、複数の要件が課されています。
- 雇用形態:直接雇用のみ(派遣は不可)
- 報酬:日本人と同等以上の報酬を支払うこと
- JAIM加入:一般社団法人工業製品製造技能人材機構(JAIM)への加入が必須。在留資格の諸申請前にJAIMの賛助会員として登録されている必要があります(旧「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」は2025年12月末で廃止済み)
- 支援体制:登録支援機関への支援委託、または自社での支援計画の実施
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まずは無料で相談する製造業で特定技能外国人を採用するまでの流れ
製造業分野で特定技能外国人を採用する流れは、人材選定から在留資格取得、就労開始後の支援まで多岐にわたります。主なステップは以下のとおりです。
- 採用計画の策定:必要な業務区分・人数・時期を明確にする
- 人材紹介会社への依頼:海外現地または国内の候補者を紹介してもらう
- 面接・選考:オンライン面接や現地面接で候補者を選定
- 雇用契約の締結:日本人と同等以上の報酬条件で直接雇用契約を締結
- 在留資格の申請:「特定技能1号」の在留資格認定証明書交付申請または変更申請
- JAIMへの加入:在留資格の諸申請前に、一般社団法人工業製品製造技能人材機構(JAIM)の賛助会員として登録が必要
- 入国・就労開始:生活オリエンテーションなど義務的支援の実施
- 定期届出・支援:四半期ごとの届出と継続的な生活・就労支援
採用の流れを詳しく知りたい方は特定技能外国人を雇用するまでの流れ|5ステップで解説をご覧ください。
採用にかかる費用の目安
製造業分野で特定技能外国人を採用する際の主な費用項目と一般的な相場は以下のとおりです。
| 費用項目 | 一般的な相場 |
|---|---|
| 人材紹介手数料 | 一般的に20万円〜60万円程度/人 |
| 在留資格申請費用(行政書士等) | 一般的に10万円〜20万円程度 |
| 登録支援機関への月次支援委託費 | 平均 月額2〜3万円/人程度 |
| 渡航費・住居初期費用 | 企業負担のケースが多い |
TreeGlobalPartnersでは中間手数料を排除した料金体系を採用しており、グループ内の行政書士法人Treeによる月次の支援料は月額9,800円(税抜)/人〜でご提供しています。義務的支援は個々の状況に応じたお見積りとなります。費用の詳細は特定技能外国人の採用にかかる費用の内訳と相場で詳しく解説しています。
特定技能2号への昇格と育成就労制度
特定技能2号は、1号よりも高い技能を持つ外国人を対象とした在留資格で、在留期間の上限がなく、家族の帯同も認められる区分です。
特定技能2号の要件
製造業分野で特定技能2号に昇格するには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。
- 実務経験:製造業分野での実務経験が3年以上
- 技能試験:製造分野特定技能2号評価試験に合格
- ビジネス能力:ビジネスキャリア検定3級に合格
特定技能2号に昇格すると在留期間の更新に上限がなくなるため、企業にとっては長期的な人材確保の手段となります。採用のメリット・デメリットについては特定技能外国人を採用するメリット・デメリット|企業の本音と対策の記事も参考にしてください。
2027年4月施行予定の育成就労制度
育成就労制度は、技能実習制度に代わる新たな外国人材育成の枠組みとして2027年4月に施行が予定されています。育成就労制度では、3年間の育成期間を経て特定技能1号への移行を目指す設計となっており、製造業分野でも大きな影響が見込まれます。
TreeGlobalPartnersでは育成就労制度への先取り対応も進めており、制度移行期のサポートについてもご相談を承っています。
よくある質問
Q. 製造業の特定技能で受け入れ可能な業務区分は何ですか?
A. 2024年3月29日の閣議決定により「工業製品製造業」として再編され、従来の機械金属加工・電気電子機器組立て・金属表面処理の3区分に加え、紙器・段ボール箱製造、コンクリート製品製造、RPF製造、陶磁器製品製造、印刷・製本、紡織製品製造、縫製の7区分が追加され、計10業務区分に拡大されています。
Q. 技能実習2号を修了していれば試験は免除されますか?
A. はい。対応する職種・作業の技能実習2号を良好に修了した方は、特定技能1号の技能試験および日本語試験が免除されます。修了証明が必要ですので、事前に準備しておきましょう。
Q. 製造業の特定技能で派遣雇用は認められますか?
A. いいえ。製造業(工業製品製造業)の特定技能外国人は直接雇用のみが認められており、派遣雇用は認められていません。日本人と同等以上の報酬条件で雇用契約を締結する必要があります。
Q. 特定技能2号への昇格要件を教えてください
A. 製造分野の特定技能2号には、実務経験3年以上、製造分野特定技能2号評価試験の合格、およびビジネスキャリア検定3級の合格が必要です。2号は在留期間の上限がなく、家族の帯同も可能になります。
Q. JAIMへの加入は必須ですか?
A. はい。受入れ企業はJAIM(一般社団法人工業製品製造技能人材機構)への加入が義務付けられており、在留資格の諸申請前にJAIMの賛助会員として登録されている必要があります。旧「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」は2025年12月末で廃止され、JAIMに移行しています。詳細は経済産業省の外国人材受入れに関するページをご確認ください。
まとめ
本記事のポイントをまとめます。
- 製造業分野の特定技能は2024年に「工業製品製造業」に改称、業務区分が10区分に拡大
- 受入れ上限は今後5年間で17万3,300人と大幅に拡大されており、製造業の人手不足への有効な対策
- 直接雇用のみ・JAIM加入義務(在留資格申請前に必須)・技能試験の要件など、事前に確認すべきポイントが多い
- 技能実習2号修了者は試験免除で特定技能1号に移行可能。2号昇格で長期雇用も実現
- 2027年4月の育成就労制度施行も見据えた長期的な外国人材活用戦略が重要
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お問い合わせ・ご相談※ 本記事は2026年3月時点の法令・制度に基づいて執筆しています。 最新の情報は出入国在留管理庁の 公式サイトをご確認ください。個別のケースについては専門家にご相談ください。