「特定技能1号と2号は何が違うのか」「2号に移行すると企業側の負担はどう変わるのか」――外国人材の採用を検討する企業担当者にとって、1号と2号の違いを正しく理解することは採用戦略の第一歩です。
この記事では、特定技能1号と2号の違いについて以下のポイントを解説します。
- 在留期間・家族帯同・支援義務など8項目の比較表
- 特定技能2号の対象11分野と在留者数の実態
- 2号への移行条件と分野別の要件
- 企業側の義務がどう変わるか
結論として、現在の特定技能外国人の約99%は1号での在留であり、多くの企業にとってまず1号での受入れ体制の構築が最優先です。
グループ内に入管業務専門の行政書士法人を持つTreeGlobalPartnersが、実務経験を踏まえてわかりやすく解説します。
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特定技能1号と2号の違いとは?
特定技能1号は「相当程度の知識・経験を要する技能」、2号は「熟練した技能」を持つ外国人が対象で、在留期間・家族帯同・支援義務に大きな違いがあります。
特定技能制度の全体像のうち、1号と2号は在留資格の「レベル」に相当します。1号で就労経験を積んだ外国人が、より高度な技能試験に合格することで2号へ移行できる仕組みです。2025年6月末時点の在留者数は、1号が333,123人に対し2号は3,073人と、現時点では圧倒的に1号が多い状況です。
1号と2号の比較表
| 比較項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 在留期間 | 通算5年上限(1年/6ヶ月/4ヶ月ごと更新) | 上限なし(3年/1年/6ヶ月ごと更新) |
| 家族帯同 | 不可 | 可能(配偶者・子) |
| 日本語要件 | JLPT N4以上 or JFT-Basic A2以上 | 全分野共通の日本語試験なし(※一部分野でN3以上) |
| 技能試験 | 各分野の1号評価試験(技能実習2号修了者は免除) | 各分野の2号評価試験(熟練した技能) |
| 転職 | 同一分野内で可能(在留資格変更許可が必要) | 同一分野内で可能 |
| 支援計画 | 必須(義務的支援10項目) | 不要 |
| 登録支援機関 | 多くの企業が委託(自社支援も可だが実務負担大) | 不要(支援義務自体がない) |
| 永住権 | 在留期間カウント対象外 | カウントされる(10年在留等で申請可能) |
企業にとっての最大の違い
企業視点で最も影響が大きいのは、支援義務の有無と在留期間の上限の2点です。
1号では義務的支援10項目の実施が法律で求められ、多くの企業が登録支援機関に支援業務を委託しています。一方、2号ではこの支援義務がなくなるため、企業側の管理負担とコストが軽減されます。
また、1号は通算5年の上限があるため人材が入れ替わるリスクがありますが、2号は更新に上限がなく、長期的な人材確保が可能になります。将来的に永住権取得の道も開けるため、外国人材のモチベーション維持にもつながります。
特定技能2号の対象分野と在留者数
特定技能2号は現在11分野が対象で、2025年6月末時点の在留者数は合計3,073人です。
2号の対象11分野
2号の対象分野は、従来の建設・造船の2分野に加え、2023年6月に9分野が追加されて計11分野に拡大しました。
- 従来からの対象: 建設、造船・舶用工業
- 2023年6月追加: ビルクリーニング、工業製品製造業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業
なお、介護分野は2号の対象外です。介護分野では介護福祉士の国家資格取得により「介護」の在留資格へ移行するルートが別途用意されています。また、2024年に追加された4分野(自動車運送業、鉄道、林業、木材産業)は現時点で2号対象外です。特定技能の対象16分野の詳細は別記事で解説しています。
2号の在留者数(2025年6月末時点)
| 分野 | 2号在留者数 |
|---|---|
| 飲食料品製造業 | 821人 |
| 建設 | 561人 |
| 農業 | 519人 |
| 外食業 | 510人 |
| 工業製品製造業 | 410人 |
| 造船・舶用工業 | 146人 |
| 自動車整備 | 73人 |
| 宿泊 | 17人 |
| 漁業 | 11人 |
| ビルクリーニング | 5人 |
| 航空 | 0人 |
| 合計 | 3,073人 |
特定技能全体の在留者数336,196人に対し、2号はわずか約0.9%です。2023年6月の分野拡大から日が浅く、2号評価試験の合格に必要な実務経験を積んでいる段階の外国人が多いと考えられます。今後、2024年度から2028年度の受入れ見込みは82万人とされており、2号在留者の増加も見込まれます。
特定技能2号への移行条件と手続き
2号への移行には、各分野の2号評価試験合格と実務経験が必要で、多くの分野で2年以上の実務経験が求められます。
共通の移行要件
特定技能2号への移行に共通して必要な条件は以下のとおりです。
- 各分野の2号評価試験に合格すること(「熟練した技能」の水準)
- 当該分野での実務経験があること(多くの分野で2年以上)
- 在留資格変更許可申請を行い、出入国在留管理庁の許可を得ること
1号の技能試験が「相当程度の知識・経験」を問うのに対し、2号は「熟練した技能」を評価するため、技能検定1級相当の高い水準が求められます。
分野別の移行条件
| 分野 | 主な移行条件 |
|---|---|
| 建設 | 班長・職長としての実務経験(0.5〜3年、区分による)、または技能検定1級 |
| 工業製品製造業 | ビジネスキャリア検定3級 + 2号評価試験、または技能検定1級。3年以上の実務経験 |
| 外食業 | 副店長等として2年以上の実務経験 + JLPT N3以上 |
| 漁業 | 管理者として2年以上の実務経験 + JLPT N3以上 |
| その他の分野 | 各分野の2号評価試験合格 + 2年以上の実務経験(分野により詳細は異なる) |
分野ごとに求められる実務経験の内容や年数、追加の資格要件が異なるため、具体的な条件は出入国在留管理庁の公式ページで最新情報を確認してください。
移行手続きの流れ
- 実務経験の要件を確認: 当該分野で必要な年数・役職経験を満たしているか確認
- 2号評価試験の受験・合格: 各分野の実施機関が実施する熟練技能の試験に合格
- 在留資格変更許可申請: 出入国在留管理庁へ「特定技能1号」から「特定技能2号」への変更申請を提出
- 許可・在留カード更新: 審査を経て許可されれば、新たな在留カードが交付される
申請から許可までの標準処理期間は概ね1〜3ヶ月程度です。グループ内の行政書士法人Treeでは、ビザ申請手続きを一括で代行しています。
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まずは無料で相談する企業側の義務の違い|支援計画と登録支援機関
特定技能1号では企業に義務的支援の実施が求められますが、2号ではこの義務がなくなります。企業のコストと管理負担に直結する重要な違いです。
1号の義務的支援10項目
特定技能1号の受入れ企業(特定技能所属機関)は、以下の10項目の義務的支援を実施する必要があります。
- 事前ガイダンスの提供
- 出入国する際の送迎
- 住居確保・生活に必要な契約支援
- 生活オリエンテーションの実施
- 公的手続等への同行
- 日本語学習の機会の提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 転職支援(人員整理等の場合)
- 定期的な面談の実施・行政機関への通報
これらを自社で対応するには相応の体制が必要なため、多くの企業が登録支援機関に委託しています。TreeGlobalPartnersのグループでは、月次の支援料を月額9,800円(税抜)/人〜に設定し、義務的支援は個々の状況に応じたお見積りで最低限の費用プランをご提供しています。
2号で不要になるもの
特定技能2号に移行した外国人については、以下が不要になります。
- 支援計画の策定・実施: 義務的支援10項目の対応が不要に
- 登録支援機関への委託: 支援義務自体がなくなるため委託不要
- 支援に関する定期届出: 支援実施状況の届出が不要に
ただし、2号であっても外国人雇用に関する基本的な届出義務(雇用状況届出、在留資格関連の届出など)は引き続き必要です。また、受入れ企業は人数制限にも注意が必要です。原則として企業ごとの人数制限はありませんが、建設分野では特定技能1号と技能実習生の合計が常勤職員数以下という制限があります。
よくある質問
Q. 特定技能1号から2号への移行にかかる期間は?
A. 多くの分野で2年以上の実務経験が求められるため、1号での就労開始から最短でも2〜3年程度が目安です。2号評価試験の合格に加え、建設分野では班長・職長経験、外食業・漁業ではJLPT N3以上といった追加条件がある分野もあります。在留資格変更の審査期間も含めて計画的に準備を進めることが重要です。
Q. 特定技能2号になると永住権は取れる?
A. 特定技能2号の在留期間は、永住許可申請に必要な「引き続き10年以上日本に在留」の要件にカウントされます。1号の通算5年はカウント対象外のため、永住権を目指す場合は2号への移行が重要です。ただし、永住許可には素行善良・独立生計・国益適合など複数の要件を満たす必要があります。
Q. 介護分野で2号はないのか?
A. 介護分野は特定技能2号の対象外です。ただし、介護福祉士の国家資格を取得すれば「介護」の在留資格に変更でき、在留期間の上限なし・家族帯同も可能になります。介護分野で長期就労を希望する外国人には、この移行ルートが実質的に2号に相当する位置づけです。
Q. 特定技能1号の通算5年を過ぎたらどうなる?
A. 1号の通算5年上限を超えて日本で働くには、2号への移行が必要です。移行できない場合は、他の在留資格(技術・人文知識・国際業務など)への変更か帰国となります。なお、通算5年には転職期間や一時帰国期間も含まれるため、残りの在留可能期間を正確に把握しておくことが大切です。
Q. 特定技能2号の技能試験の難易度は?
A. 2号の技能試験は「熟練した技能」を評価するもので、技能検定1級相当の水準が目安です。1号試験よりも難易度が高く、合格率も低い傾向にあります。2年以上の実務経験を積んだうえで受験するのが一般的であり、企業側も外国人従業員のスキルアップを計画的に支援することが合格への近道です。
まとめ
本記事のポイントをまとめます。
- 特定技能1号は在留期間5年上限・支援義務あり、2号は上限なし・支援義務なし
- 2号は現在11分野が対象で、在留者は3,073人(2025年6月末)とまだ少数
- 2号への移行には各分野の2号評価試験合格と2年以上の実務経験が必要
- 企業にとっては支援義務の有無がコスト・管理負担に直結する
- 多くの企業にとって、まずは1号での受入れ体制を整えることが重要
特定技能制度の全体像も含めて理解を深め、自社に最適な採用戦略を構築してください。
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お問い合わせ・ご相談※ 本記事は2026年3月時点の法令・制度に基づいて執筆しています。 最新の情報は出入国在留管理庁の 公式サイトをご確認ください。個別のケースについては専門家にご相談ください。