建設分野は、特定技能16分野の中で最もルールが複雑な分野です。他の分野では不要な「JAC加入」「CCUS登録」「国土交通大臣の受入計画認定」「月給制の義務」など、建設分野だけに課される要件が7つあります。
2024年12月末時点で建設分野の特定技能在留者数は38,578人と全分野の中でも上位に入り、受入れ見込数は5年間で80,000人に設定されています(出入国在留管理庁公表値)。需要は大きいものの、独自の要件を知らずに準備を進めると、計画認定だけで1.5〜2ヶ月かかり、採用が大幅に遅れるケースも珍しくありません。
この記事では、建設分野の特定技能に特有の7つの独自ルールを他分野との比較表付きで整理し、受入れまでに必要な準備とスケジュールを解説します。
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建設分野の3つの業務区分と在留者数
特定技能「建設」の対象業務は、2022年8月の告示改正により従来の19区分から3つの大区分に再編されました。
| 業務区分 | 主な業務内容 |
|---|---|
| 土木 | 型枠施工、鉄筋施工、とび、コンクリート圧送、建設機械施工 等 |
| 建築 | 大工、左官、屋根ふき、タイル張り、内装仕上げ、防水施工 等 |
| ライフライン・設備 | 配管、電気通信、保温保冷、ガス設備、水道施設 等 |
2024年12月末時点の在留者数は38,578人で、業務区分別では土木が最も多く全体の約6割を占めます。第2期(2024〜2028年度)の受入れ見込数は5年間で80,000人と設定されており、建設業界の深刻な人手不足を反映した大きな枠が設けられています。
建設分野には特定技能2号も設定されており、2号試験に合格すれば在留期間の上限なく就労が可能です。在留期間の更新にも上限がなく、家族帯同も認められるため、優秀な人材の長期確保につながります。
建設分野だけの7つの独自ルール【他分野との比較表】
建設分野では、国土交通省が独自の「上乗せ基準」を設けています。他の多くの分野にはない要件が7つあるため、初めて外国人を受け入れる建設事業者にとっては準備すべき項目が格段に多くなります。
| 項目 | 建設分野 | 他分野(例:飲食料品製造) |
|---|---|---|
| 1. 建設業許可 | 必須 | 業界許可不要の分野もある |
| 2. JAC加入 | 義務(年会費あり) | 協議会加入義務あり(無料の分野も多い) |
| 3. CCUS登録 | 事業者・技能者ともに義務 | なし |
| 4. 受入計画認定 | 国土交通大臣の認定が必要 | 不要 |
| 5. 月給制 | 義務(日給月給は不可) | 月給制の義務なし |
| 6. 受入人数上限 | 常勤職員数以下 | 人数制限なし(介護を除く) |
| 7. FITS巡回訪問 | 年1回以上の巡回指導 | なし |
1. 建設業許可の取得
建設業法に基づく建設業許可(一般または特定)を有していない事業者は、そもそも受入計画の認定申請ができません。許可を受けていない場合は、まず許可取得から始める必要があります。
2. JAC(建設技能人材機構)への加入義務と費用
受入企業はJAC(一般社団法人建設技能人材機構)に加入する義務があります。加入には2つの方法があり、費用が大きく異なります。
- 賛助会員(直接加入): 年会費24万円
- 正会員団体経由: 年会費約4.8万円(団体による。全国建設業協会等)
さらに、特定技能外国人1人につき受入負担金 月額12,500円(年額15万円)が別途発生します。この負担金は企業負担であり、外国人本人に転嫁することはできません。
3. CCUS(建設キャリアアップシステム)の登録
受入企業は事業者登録を、外国人本人は技能者登録をそれぞれ行う必要があります。CCUSはすべての建設技能者の就業履歴や保有資格を蓄積するシステムで、建設分野の特定技能ではこの登録が義務化されています。
4. 国土交通大臣の受入計画認定
建設分野では、在留資格の申請に先立って国土交通大臣による「建設特定技能受入計画」の認定を取得する必要があります。認定申請はオンラインで行いますが、申請から認定まで約1.5〜2ヶ月を要します。この期間が他分野にはない追加のリードタイムとなります。
5. 月給制の義務
建設分野では外国人に対する報酬は月給制でなければなりません。日給月給や時給制は認められていません。自社の日本人社員が日給月給であっても、特定技能外国人には月給制を適用する必要がある点に注意してください。また、同等の技能を有する日本人の報酬額と同等以上であることが求められます。
6. 受入人数の上限
受入れ可能な特定技能外国人の数は、企業の常勤職員の総数以下です。たとえば常勤職員が20人であれば、特定技能外国人も最大20人までです。この「常勤職員」には技能実習生・他の特定技能外国人・外国人建設就労者は含まれません。
7. FITSによる巡回訪問
建設分野ではFITS(一般財団法人国際建設技能振興機構)が年1回以上、受入企業と外国人の就労状況を巡回訪問します。就労環境や賃金の支払い状況、CCUSの運用状況などが確認されます。
建設特定技能の受入れ手続き、何から始めればいいか分からない方へ
JAC加入・CCUS登録・受入計画認定・ビザ申請など、建設分野特有の手続きは複雑です。グループ内の行政書士法人Treeが受入計画認定からビザ申請、登録支援機関としての定着支援までトータルでサポートします。
ビザ申請・受入れ手続きについて相談する受入れまでのスケジュール|雇用開始の4〜5ヶ月前から準備
建設分野は他分野と比べて受入計画認定のステップが追加されるため、雇用開始の4〜5ヶ月前から準備を始めるのが現実的なスケジュールです。
| ステップ | 内容 | 目安期間 |
|---|---|---|
| Step 1 | 建設業許可の確認・CCUS事業者登録 | 1〜2週間 |
| Step 2 | JAC加入(正会員団体 or 賛助会員) | 2〜4週間 |
| Step 3 | 人材選定・雇用契約の締結 | 2〜4週間 |
| Step 4 | 建設特定技能受入計画の認定申請 | 1.5〜2ヶ月 |
| Step 5 | 在留資格の申請(認定 or 変更) | 1〜3ヶ月 |
| Step 6 | 入国・就労開始 | — |
Step 4の受入計画認定に1.5〜2ヶ月かかるのが建設分野の最大の特徴です。書類の不備があると補正を求められ、さらに期間が延びる可能性があります。Step 1〜3を並行して進めることで全体のリードタイムを短縮できますが、それでも他分野より1〜2ヶ月は余計にかかると見込んでおくべきです。
技能実習からの移行と試験情報
建設分野でも技能実習からの移行は有力なルートです。ただし、移行先の業務区分によって試験免除の範囲が異なります。
| 移行パターン | 技能試験 | 日本語試験 |
|---|---|---|
| 同一業務区分への移行(例:土木→土木) | 免除 | 免除 |
| 異なる業務区分への移行(例:土木→建築) | 合格が必要 | 免除 |
| 試験ルート(技能実習経験なし) | 合格が必要 | N4以上 or JFT-Basic |
試験ルートで取得する場合は、各業務区分に対応した建設分野特定技能1号評価試験に合格する必要があります。試験はCBT方式で実施され、国内のほか海外でも受験可能です。
特定技能2号への移行を目指す場合は、2号評価試験の合格に加え、建設現場で班長(職長)としての実務経験が求められます。
よくある質問
Q. 建設業許可がなくても特定技能外国人を受け入れられますか?
A. 受け入れることはできません。建設業法に基づく建設業許可(一般または特定)の取得が必須です。許可を受けていない事業者は受入計画の認定申請ができないため、まず許可の取得から進める必要があります。
Q. JACの正会員団体経由と賛助会員直接加入はどちらがお得ですか?
A. コスト面では正会員団体経由が有利です。賛助会員の年会費24万円に対し、全国建設業協会等の正会員団体を通じて加入すれば約4.8万円で済みます(団体により異なります)。ただし、正会員団体への入会手続きが別途必要です。
Q. 技能実習から特定技能「建設」に移行する場合、試験は免除されますか?
A. 同一業務区分の技能実習2号を良好に修了していれば、技能試験・日本語試験ともに免除されます。異なる業務区分への移行では技能試験の合格が必要ですが、日本語試験は免除されます。
Q. 特定技能「建設」で受け入れられる人数に上限はありますか?
A. あります。建設分野では受入れ可能な人数が「常勤職員の総数以下」に制限されています。たとえば常勤職員20人の会社なら、特定技能外国人は最大20人までです。常勤職員には技能実習生・他の特定技能外国人・外国人建設就労者は含まれません。
まとめ
建設分野で特定技能外国人を受け入れる際に押さえるべきポイントを整理します。
- 建設分野には他分野にない7つの独自ルール(建設業許可・JAC加入・CCUS登録・受入計画認定・月給制・人数上限・FITS巡回)がある
- 受入計画認定に1.5〜2ヶ月かかるため、雇用開始の4〜5ヶ月前から準備を開始する
- JAC加入費用は正会員団体経由なら年約4.8万円に抑えられるが、受入負担金(月額12,500円/人)は別途必要
- 技能実習2号から同一業務区分への移行なら、技能試験・日本語試験ともに免除
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建設特定技能の受入計画認定について相談する(無料)※ 本記事は2026年3月時点の法令・制度に基づいて執筆しています。建設分野の特定技能に関する最新情報は国土交通省および出入国在留管理庁の公式サイトをご確認ください。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言を構成するものではありません。具体的な受入れ計画については専門家にご相談ください。