特定技能1号は家族帯同不可|2号との違いと企業の配慮

「家族を連れてこられますか」——特定技能の面接で繰り返し受ける質問です。特定技能1号では家族帯同が認められず、その根拠は運用上の判断ではなく入管法の条文そのものにあります。一方で特定技能2号は在留資格「家族滞在」の対象に含まれ、限られた場面では「特定活動」への変更が認められる余地もあります。本記事では、条文と出入国在留管理庁の公表資料をたどって1号・2号の扱いを整理し、家族と離れて働く人材に受入企業が現実的にできる配慮までを実務目線でまとめます。

特定技能1号で家族帯同ができない法的根拠

特定技能1号の外国人は、配偶者や子を日本に呼び寄せて同居することができません。これは審査運用上の慣行ではなく、在留資格の根拠条文がそう定めているためです。

家族が扶養を受けて日本に滞在するための在留資格は「家族滞在」です。入管法別表第一の四の表は、家族滞在に該当する活動を「一の表、二の表又は三の表の上欄の在留資格(外交、公用、特定技能(二の表の特定技能の項の下欄第一号に係るものに限る。)、技能実習及び短期滞在を除く。)をもつて在留する者又はこの表の留学の在留資格をもつて在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動」と規定しています。括弧書きの除外リストに「特定技能(下欄第一号)」、すなわち特定技能1号が名指しで含まれている点が決定的です。

出入国在留管理庁の「特定技能制度に関するQ&A」Q9も、「特定技能2号」では家族の帯同(在留資格「家族滞在」)が認められるが、「特定技能1号」では家族の帯同は認められないと明記しています。条文と当局の公表見解が一致しており、この点に解釈の幅はありません。

家族滞在の対象から除かれている在留資格

外交、公用、特定技能1号、技能実習、短期滞在。なお、家族滞在で呼び寄せられるのは扶養を受ける配偶者と子に限られ、父母や兄弟姉妹は特定技能2号であっても対象外です。

特定技能2号は「家族滞在」の対象になる

同じ「特定技能」でも、2号は扱いが逆になります。出入国在留管理庁が公表する在留資格「家族滞在」のページでは、該当する活動の対象として教授・高度専門職・経営管理・技術人文知識国際業務などと並んで「特定技能2号」が明示されています。1号の外国人が2号へ移行できれば、配偶者と子を呼び寄せる道が開けます。

呼び寄せの手続と在留期間

審査で確認されるのは「扶養できること」

家族滞在は「扶養を受ける配偶者又は子」としての活動を対象とするため、身分関係だけでなく扶養の実態と資力が確認されます。入管庁が案内する提出書類には次のものが含まれます。

「2号になれば自動的に呼べる」ではない

2号へ移行しても、家族滞在は別個の在留諸申請です。扶養者の収入や納税状況が資料で確認できることが前提となるため、住民税や社会保険料の滞納があると家族の呼び寄せにも影響します。特定技能外国人本人の在留諸申請でも納税状況は確認対象であり、日頃の給与計算・控除実務の正確さがそのまま結果に響きます。

1号と2号の違いを制度面から整理する

家族帯同の可否は、1号と2号の性格の違いから導かれています。両者を並べると位置づけが見えやすくなります。

項目特定技能1号特定技能2号
技能水準(入管法別表第一の二の表)相当程度の知識又は経験を必要とする技能熟練した技能
在留期間3年を超えない範囲内で法務大臣が個々に指定する期間3年、2年、1年又は6月
通算在留期間の上限原則5年上限なし
家族の帯同認められない家族滞在(配偶者・子)が可能
支援計画1号特定技能外国人支援計画の作成・実施が必要支援計画の対象外
永住許可における在留歴就労資格をもって在留した期間に算入されない算入される

永住許可の要件との関係は見落とされがちです。入管庁のQ&Aによれば、永住許可の要件のうち就労資格で引き続き5年以上という部分について、特定技能1号と技能実習の期間は算入されません。一方で特定技能2号の期間は算入されるため、2号は家族と暮らしながら長期的な在留設計を描けるルートになります。

受入れが可能な分野も異なります。入管庁のQ&Aでは、特定技能1号の16の特定産業分野のうち介護分野、自動車運送業分野、鉄道分野、林業分野及び木材産業分野を除く11分野が特定技能2号の対象とされ、工業製品製造業分野については機械金属加工区分、電気電子機器組立て区分、金属表面処理区分に限られると案内されています。介護分野については、通算在留期間に関する入管庁の案内でも「特定技能2号」ではなく在留資格「介護」への変更が並記されており、キャリアパスの受け皿が別に用意されています。

例外的に「特定活動」が認められる場合

家族帯同が認められないという原則には、人道上の配慮に基づく例外があります。入管庁のQ&A Q9は、次の場合に在留資格「特定活動」への変更が認められる場合があるとしています。

いずれも、すでに日本で形成されている家族関係を断ち切らないための配慮です。逆に、同Q&Aは本国へ一時帰国して出産するいわゆる「里帰り出産」をし、本国に子どもを監護養育する者がいる場合には、特に人道上の配慮が必要であるとはみなさないと明記しています。日本での家族の実態があるかどうかが分かれ目になります。

例外を採用トークに使わない

Q&Aの文言は「認められる場合があります」であり、要件を満たせば必ず許可されるという性質のものではありません。海外から新規に1号で来日する人材に対して「あとから家族を呼べる」と説明することは、制度上も実務上も成り立ちません。入社後の不信につながる説明は避けてください。

なお、扶養を受ける配偶者又は子として日常的な活動を指定されて「特定活動」で在留する場合の資格外活動許可は、原則として家族滞在の取扱いに準じるとされています。1週について28時間以内で働く場合は包括許可の対象です。

妊娠・出産と通算在留期間の取扱い

家族帯同が認められないことと、日本で家庭を持てないことは別問題です。特定技能1号として在留する外国人が日本で妊娠・出産するケースは制度上も想定されており、入管庁は通算在留期間の計算方法を公表しています。

休業期間は通算5年に算入されない

入管庁の「通算在留期間」のページによれば、労働基準法に基づく産前産後休業(産前6週間、多胎妊娠の場合は14週間、産後8週間)および育児・介護休業法に基づく育児休業の期間は、1号特定技能外国人としての活動が行えない期間として、5年の通算在留期間には含まれません。育児休業の期間は子が1歳に達するまでが基本で、保育所などに入所できない場合に限り1歳6か月まで、再延長で2歳までとされています。病気・怪我による休業も、連続した1か月を超える期間で原則1年以下(労災に起因する場合は3年以下)であれば同様の取扱いです。

この取扱いを受けるには手続が必要です。通算5年が満了する前(おおむね3か月前)に、休業期間に関する申立書(参考様式第1-30号)、母子健康手帳の写し、休業を取得したことを疎明する資料、休業期間中のタイムカード又は出勤簿の写しなどを添えて在留諸申請を行い、疎明資料から期間が確認できる場合に限り許可されます。放置していると単純に5年が経過してしまうため、企業側の期日管理が結果を左右します。

妊娠・出産を理由とする不利益取扱いは違法

男女雇用機会均等法第9条第3項は、妊娠、出産、産前産後休業の請求や取得などを理由とする解雇その他の不利益な取扱いを禁じています。同条第4項により、妊娠中および出産後1年以内の解雇は、事業主がそれ以外の理由による解雇であることを証明しない限り無効です。厚生労働省も2023年3月に、妊娠・出産等による不利益取扱いの禁止と職場のハラスメント防止を周知するリーフレットを14の言語で作成し、母性健康管理指導事項連絡カードの英語・中国語・ポルトガル語併記版も公表しています。

日本で生まれた子の在留手続

日本国籍を持たない子が出生の日から60日を超えて日本に在留する場合、出生の日から30日以内に在留資格取得許可申請(入管法第22条の2)が必要です。出産後の慌ただしい時期に期限が来るため、産前の段階で手続の存在を本人に伝えておくと取りこぼしを防げます。

受入企業が取れる現実的な配慮

家族を呼べない制約は変えられませんが、離れて暮らす負担を軽くする手段は制度の中に用意されています。

一時帰国のための有給休暇は契約基準

特定技能雇用契約及び1号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令第1条第1項第5号は、「外国人が一時帰国を希望した場合には、必要な有給休暇を取得させるものとしていること」を特定技能雇用契約の内容の基準として定めています。入管庁のQ&Aでも、雇用契約を結ぶ際の留意点として一時帰国時の有給休暇取得が挙げられています。年次有給休暇の残日数や繁忙期との調整をどう扱うかを雇用条件書と社内規程であらかじめ整理しておけば、申請時にも現場運用でも迷いが減ります。

家族が短期で来日する選択肢

在留資格「短期滞在」は、該当する活動として親族の訪問を明示しており、在留期間は90日若しくは30日又は15日以内の日を単位とする期間です。長期の同居はできなくても、まとまった休暇に合わせて家族が来日する時間を確保することはできます。滞在先や身元保証に関する資料が必要になる場合があるため、早めの相談を促すとよいでしょう。

義務的支援を孤立防止の実務に落とし込む

1号特定技能外国人支援計画に盛り込む義務的支援には、家族と離れて暮らす人材の孤立を防ぐうえで直接役立つ項目が含まれています。

相談対応と定期面談は、外国人が十分に理解できる言語で実施することが求められています。家族の病気や本国の事情といった変化は面談で最初に表面化することが多く、形式的な記録づくりに終わらせず、一時帰国や休業の相談につなげる運用が肝心です。

2号へのキャリアパスを具体的に示す

家族と暮らす道筋を示せるのは2号への移行です。入管庁は、2号への移行に必要な技能試験および日本語能力試験に合格し、かつ必要な実務要件を満たしていることを求めています。在留期間の満了日までに移行の準備が整わない合理的な理由がある場合には、移行予定の受入れ機関で就労しながら準備を進めるための「特定活動(6月・就労可)」への在留資格変更許可申請という選択肢もあります。ただし入管庁は、この特定活動への変更申請の増加が審査期間の長期化につながっているとして、早めに必要書類を準備し、可能な限り直接2号へ変更許可申請を行うよう求めています。

手続の担当について

在留資格の申請や1号特定技能外国人支援計画の作成といった専門的手続は、TGPと連携する行政書士法人Treeが担当します(出入国在留管理庁への申請取次を含む行政書士業務は行政書士法人Treeが担い、TGP自体が行うものではありません)。人材紹介から手続まで、役割を分けたうえで一体的に進められる体制です。

採用・定着の実務で誤りやすい点

最後に、家族に関する問い合わせで企業側が判断を誤りやすい論点を挙げます。

1
求人票や面接で「家族帯同可」と表示しない

1号で来日する人材に配偶者の同行を約束することは制度上できません。募集段階の説明と入国後の現実が食い違うと、早期離職や紛争の火種になります。

2
通算5年の例外は6年まで

特定技能2号評価試験等に不合格となった場合でも、移行に必要な全ての試験等で合格基準点の8割以上を取得しているなどの要件を満たすときは、通算在留期間6年を上限として在留が認められる場合があります。申請には通算在留期間を超える在留に関する申立書(参考様式第1-31号)と試験結果通知書の写しが必要です。

3
育成就労制度でも原則として家族帯同は不可

令和9年4月1日に施行される育成就労制度について、入管庁のQ&Aは「原則として、家族の帯同を認めない」としています。育成就労から特定技能1号へ進むルートでも、家族と暮らせるのは2号に到達してからという構図は変わりません。

4
離職しても即帰国ではないが放置は危険

入管庁のQ&Aによれば、失業しても直ちに帰国する必要はなく、就職活動を行うのであれば少なくとも在留期間内は在留できます。ただし正当な理由なく3か月以上「特定技能」に係る在留活動を行っていない場合は、在留資格が取り消されることがあります。

よくある質問

特定技能1号の外国人が配偶者を日本に呼び寄せる方法はありますか。
在留資格「家族滞在」で呼び寄せることはできません。入管法別表第一の四の表の家族滞在は、特定技能1号で在留する者を対象から除いているためです。配偶者が独立して就労資格や留学などの在留資格の要件を満たす場合はその資格で来日できますが、これは家族帯同とは別の話です。短期の来日であれば、親族の訪問を目的とする「短期滞在」で入国する方法があります。
特定技能2号に移行すれば、そのまま家族を呼び寄せられますか。
特定技能2号は家族滞在の対象となりますが、自動的に許可されるわけではありません。家族滞在は扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動を対象とするため、申請では身分関係を証する文書に加え、扶養者の在職証明書、住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書といった職業と収入を示す資料が求められます。扶養の実態と資力が確認できることが前提です。
特定技能1号の外国人が日本で出産した場合、子どもの在留資格はどうなりますか。
出入国在留管理庁のQ&Aでは、日本で特定技能1号の方同士の間に生まれた子どもについて、特に人道上の配慮が必要であるとして在留資格「特定活動」への変更が認められる場合があるとされています。手続としては、出生の日から60日を超えて日本に在留する場合、出生の日から30日以内に在留資格取得許可申請が必要です。個別審査であり、許可が保証されるものではありません。
家族滞在で来日した配偶者はアルバイトや就労ができますか。
家族滞在そのものには就労が含まれないため、収入を伴う活動を行うには資格外活動許可が必要です。1週について28時間以内で稼働する場合は包括許可の対象で、必要書類は申請書のみとされています。これを超える働き方や、稼働時間を客観的に確認しにくい業務委託などは個別許可の対象となります。
一時帰国のための有給休暇は会社の義務ですか。
特定技能雇用契約及び1号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令第1条第1項第5号は、外国人が一時帰国を希望した場合には必要な有給休暇を取得させるものとしていることを、特定技能雇用契約の内容の基準として定めています。雇用契約がこの基準に適合していることが受入れの前提となるため、雇用条件書や社内規程で取扱いを明確にしておく必要があります。

まとめ

特定技能1号で家族帯同ができない理由は条文にあります。入管法別表第一の四の表の「家族滞在」は、対象となる在留資格から特定技能1号を明示的に除外しており、出入国在留管理庁のQ&Aも1号では家族の帯同が認められないと明記しています。運用の余地がある論点ではないため、募集段階から正確に説明する必要があります。

家族と暮らす道は特定技能2号にあります。2号は家族滞在の対象に含まれ、配偶者と子を呼び寄せられるほか、永住許可の要件における就労資格の在留歴にも算入されます。ただし呼び寄せは別個の在留諸申請であり、扶養者の職業と収入を示す資料で扶養の実態が確認されます。

例外は限定的で、企業が確約できるものではありません。日本で1号同士の間に生まれた子どもや、留学から1号へ移行する際に既に家族滞在で在留している配偶者・子については「特定活動」への変更が認められる場合があります。一方で里帰り出産のケースは人道上の配慮の対象とはみなされないとされています。

企業ができる配慮は制度の中に用意されています。一時帰国の際の有給休暇は雇用契約の基準として省令に定められ、産前産後休業・育児休業の期間は通算5年に算入されません。親族訪問を目的とする短期滞在での家族の来日、義務的支援としての相談対応・定期面談・交流促進も、離れて暮らす負担を和らげる実務の柱になります。

期日管理が結果を分けます。通算在留期間の例外扱いは満了のおおむね3か月前までの申請が前提で、日本で生まれた子の在留資格取得は出生から30日以内です。2号移行の準備も含め、期限から逆算した社内スケジュールを持つことが、人材の在留と家族の生活を守ることに直結します。

本記事は現時点(2026年8月)の出入国管理及び難民認定法等の法令および出入国在留管理庁の公表内容に基づき、特定技能外国人の家族帯同に関する一般的な情報を整理したものです。制度・基準・運用は改正される場合があり、個別事案への適用は条件により異なります。最新かつ正確な取扱いは出入国在留管理庁の公表資料および専門家にご確認ください。