2023年6月9日の閣議決定により、特定技能2号の対象分野は従来の2分野(建設・造船舶用工業)から11分野へと大幅に拡大されました。これは、特定技能1号外国人として採用している人材を長期戦力として確保するための、制度上の重要な変化です。
特定技能2号への移行が実現すると、外国人本人は在留期間の更新上限がなくなり、家族帯同も可能になります。受入企業にとっては、教育コストをかけて育成した人材を長期的に確保できるという明確なメリットがあります。一方で、移行に必要な「試験合格」と「実務経験」という2つのハードルを、企業としてどう支援するかが実務的な課題になっています。
本記事では、1号と2号の「違い」ではなく、移行プロセス・企業が果たせる役割・試験対策のポイントに絞って整理します。(1号・2号の制度比較は 特定技能1号・2号の違いを解説した別記事 をご参照ください。)
2023年閣議決定で何が変わったか——11分野拡大の全体像
最新情報(2023年6月9日 閣議決定・2024年施行): 特定技能2号の対象分野が、建設・造船舶用工業の2分野から11分野に拡大されました。介護分野を除く特定技能1号の対象分野が、ほぼ全て2号でも対応可能になっています。
拡大後の11分野一覧
2023年6月の閣議決定および関連省令の施行により、特定技能2号の対象となる分野は以下の11分野です。
| No. | 特定産業分野 | 2号への拡大 |
|---|---|---|
| 1 | ビルクリーニング | 2023年6月閣議決定で追加 |
| 2 | 工業製品製造業(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業) | 2023年6月閣議決定で追加 |
| 3 | 建設 | 制度開始当初から対象(2号) |
| 4 | 造船・舶用工業 | 制度開始当初から対象(2号)。2023年に業務区分拡大 |
| 5 | 自動車整備 | 2023年6月閣議決定で追加 |
| 6 | 航空 | 2023年6月閣議決定で追加 |
| 7 | 宿泊 | 2023年6月閣議決定で追加 |
| 8 | 農業 | 2023年6月閣議決定で追加 |
| 9 | 漁業 | 2023年6月閣議決定で追加 |
| 10 | 飲食料品製造業 | 2023年6月閣議決定で追加 |
| 11 | 外食業 | 2023年6月閣議決定で追加 |
なお、特定技能の対象分野全体(16分野)のうち、介護分野および2024年に追加された自動車運送業・鉄道・林業・木材産業は、現時点では特定技能2号の対象外です(今後の制度変更により追加の可能性があります)。詳細は 特定技能の16分野一覧 または 出入国在留管理庁「特定技能2号の対象分野の追加について」 で確認できます。
なぜ介護が2号の対象外なのか
介護分野は、在留資格「介護」(専門的・技術的分野)という別の永続的な在留資格が設けられており、特定技能2号を経ずとも長期的な在留が可能な経路が存在します。そのため、制度設計上は特定技能2号の対象から除外されています。
特定技能2号への移行に必要な2つの要件
特定技能1号から2号へ在留資格を変更するためには、大きく分けて「技能試験への合格」と「実務経験の証明」という2つの要件を満たす必要があります。
要件1: 特定技能2号評価試験への合格
各分野が定める「特定技能2号評価試験」に合格することが必要です。この試験は、熟練した技能を持ち、指導・管理業務ができるレベルを測ることを目的としており、1号の試験よりも高い技術水準が求められます。
試験の実施主体は分野ごとに異なり、業所管省庁が指定した機関が主催します。出題形式は学科試験のみの分野、学科+実技の分野と差異があります。なお、分野によっては日本語能力試験(JLPT)の一定レベル以上の合格が追加要件となる場合があります。
要件2: 実務経験の証明(監督・指導業務を含む)
試験合格だけでなく、業務の指導・管理(監督業務)を含む実務経験が求められます。多くの分野で2年以上の実務経験(うち一定期間は指導・管理業務を含むもの)が必要とされていますが、分野によって具体的な期間・内容が異なります。
実務経験の証明には、雇用機関が発行する「業務経歴書」や「実務経験証明書」が必要になるため、企業側が適切な書類を準備・発行できる体制を整えておくことが重要です。
| 要件 | 内容 | 企業が関与できること |
|---|---|---|
| 技能試験合格 | 各分野の特定技能2号評価試験に合格 | 受験機会の確保・学習環境の整備・教材費用の支援 |
| 実務経験 | 指導・管理業務を含む実務経験(分野により2年以上等) | 業務内容の記録・実務経験証明書の発行・業務範囲の拡大 |
| (一部分野)日本語能力 | JLPT N3以上等の取得が必要な分野あり | 日本語学習の機会提供・費用補助 |
1号の在留期間が残っている間に申請できるか
特定技能1号の在留期間(通算5年)が残っている間でも、2号の要件を満たしていれば在留資格変更許可申請を行うことができます。ただし、2号の試験合格証明書の取得・実務経験の積み上げには相応の時間が必要であるため、1号での就労開始から計画的に移行準備を進めることが重要です。
外国人の採用と長期定着でお困りの企業様へ
株式会社TreeGlobalPartnersは、中間手数料を徹底排除し、相場よりもかなり抑えた費用で外国人の紹介が可能です。人材紹介は株式会社TreeGlobalPartnersが担当し、採用後のビザ申請・登録支援はグループ内の行政書士法人Treeが引き継ぎます。特定技能2号への移行申請のサポートも、行政書士法人Treeへご相談いただけます。
特定技能の受入れについて相談する(無料)分野別の移行要件と試験の特徴
特定技能2号の移行要件は分野ごとに細かく異なります。ここでは、受入れ企業数が多い主要分野について、試験の特徴と実務経験要件の概要を整理します。
飲食料品製造業・外食業
飲食料品製造業では、「飲食料品製造業特定技能2号技能測定試験」への合格と、班長・担当部門長等として複数の従業員を指導・管理する者としての2年以上の実務経験が求められています。外食業ではこれに加えてJLPT N3以上の取得も必須要件となっており(副店長・サブマネージャー等としての2年以上の実務経験も必要)、試験の実施頻度・受験者数も増加傾向にあります。JLPT N3以上が必須の分野は外食業・漁業など一部に限られるため、分野ごとの運用方針を確認してください。
建設分野
建設分野は特定技能2号が制度当初から設けられており、最も実績のある分野です。試験は「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3区分で行われており、いずれか1区分に合格することが必要です。実務経験については、区分ごとに定められた期間・内容の要件があります。なお、建設分野では受入れ機関が一般社団法人建設技能人材機構(JAC)の正会員またはJAC会員団体への加入が要件となっています。
農業・漁業
農業・漁業は2023年6月に2号対象分野として追加されたため、試験実施の体制整備が進んでいる段階です。実際の受験者数や試験スケジュールについては、農林水産省または分野協議会の最新情報を確認する必要があります。
自動車整備
自動車整備分野では「自動車整備特定技能2号評価試験」への合格が必要です。整備士としての技術だけでなく、他のスタッフへの指導能力が問われます。
各分野の詳細な試験スケジュールや申込方法は、出入国在留管理庁「試験関係」のページでご確認ください。
企業にとってのメリット——長期雇用・定着率向上・支援義務の消滅
在留期間の更新に上限がなくなる
特定技能1号では1年・6か月・4か月単位で更新しながら、通算在留期間の上限は5年です。これに対し、特定技能2号は1回の許可で3年・2年・1年・6か月のいずれかの在留期間が付与され、更新回数に上限がありません。要件を満たす限り継続的に在留可能なため、長期的な雇用計画を立てやすくなります。
外国人本人の立場からも、「5年後には帰国しなければならない」というリスクが解消されることで、住宅取得・家族帯同・キャリア形成への意欲が高まります。これは定着率の向上にも直結します。
家族帯同が可能になる
特定技能2号外国人は、「家族滞在」の在留資格で配偶者・子を日本に呼び寄せることができます。特定技能1号では認められていない権利です。家族と共に生活できる環境が整うことで、外国人労働者の日本への定着意欲が高まり、離職リスクの低下につながります。
登録支援機関への義務的支援委託が不要になる
特定技能1号では、受入機関が10項目の義務的支援を実施しなければならず、自社対応が難しい場合は登録支援機関への委託が必要です。月額平均約2〜3万円程度の支援委託費が継続的にかかります。
これに対し、特定技能2号は義務的支援の対象外です。在留資格変更後は、登録支援機関への支援委託義務がなくなるため、継続的なコスト削減効果があります。(任意でのサポート継続は可能です。)
| 比較項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 在留期間の上限 | 通算5年(5年超えての更新不可) | 上限なし(無期限更新可) |
| 家族帯同 | 原則不可 | 可能(配偶者・子) |
| 義務的支援 | 10項目の支援義務あり(登録支援機関委託可) | 義務的支援なし |
| 永住許可申請への道 | 原則対象外(技能実習からの連続等は別途要件あり) | 条件を満たせば永住申請の対象になり得る |
| 対象分野 | 16分野 | 11分野(介護・自動車運送業・鉄道・林業・木材産業は対象外) |
育成コストの回収と戦力化
外国人材を採用・育成するには、入社から戦力化までに一定の時間とコストがかかります。せっかく育成した人材が1号の在留期間(5年)でいなくなってしまうと、そのコストが無駄になります。2号移行をサポートすることで、育成投資の回収期間が長くなり、ベテランスタッフとして長期戦力化できます。
移行申請の手続きフロー——企業が準備すること
特定技能1号から2号への変更は、「在留資格変更許可申請」として出入国在留管理庁に申請します。企業(受入機関)は申請人(外国人本人)を補佐し、必要書類を準備・提出する役割を担います。
申請に必要な主な書類
- 在留資格変更許可申請書(申請人本人が署名)
- 特定技能2号評価試験の合格証明書
- 実務経験を証明する書類(業務経歴書・実務証明書等、受入機関が発行)
- 日本語能力を証明する書類(要件がある分野のみ)
- 特定技能雇用契約書(2号用)
- 受入機関の概要を示す書類(登記事項証明書・決算書等)
- 各分野の協議会加入証明(分野によって必要)
2号では1号で必要だった支援計画書が不要になる一方、実務経験の証明書類や雇用契約の内容変更が必要になります。書類の不備や記載内容の齟齬は審査遅延の原因となるため、行政書士法人によるサポートを活用することが実務上有効です。
審査期間の目安
在留資格変更許可申請の審査期間は、一般的に1〜3ヶ月程度かかります。現在の特定技能1号の在留期限が近い場合は、余裕を持って申請準備を開始してください。申請中は「在留期間更新許可申請中」として従前の在留資格で引き続き就労できますが、更新申請との違いに注意が必要です。
試験対策として企業ができること
合格率と難易度の現状
特定技能2号評価試験の合格率は分野によって異なります。受験者数自体がまだ少ない分野もある一方、外食業など受験実績が積み上がってきている分野では徐々にデータが蓄積されています。分野別の最新の合格率は、各分野の試験実施機関や出入国在留管理庁の公表資料を参照してください。
全体として2号試験の難易度は1号試験よりも高く、日本語での問題読解・専門用語の理解が求められます。外国人本人が業務をこなしながら独学で合格を目指すのは難しいケースも多く、企業側のサポートが合否を大きく左右します。
企業がサポートできる4つのアプローチ
- 受験機会の確保: 試験の日程を事前に把握し、受験日に業務が重ならないよう配慮する。受験申込の補助も有効です
- 学習時間・環境の提供: 就業時間内または外での自己学習時間を確保できるよう、業務量の調整や学習スペースの提供を検討する
- 教材費・受験費用の補助: テキスト・問題集・受験料の全部または一部を企業が負担することで、外国人本人の学習意欲と取り組みやすさが高まります
- 業務内容の拡大(指導・管理業務の経験機会): 2号の実務経験要件には指導・管理業務が含まれます。外国人材が後輩スタッフや他の外国人労働者への指導に携われるよう、業務上の役割を積極的に拡大することが重要です
2号不合格時の在留継続救済措置(2024年9月〜)
特定技能2号試験に不合格となった場合でも、合格基準の8割以上の得点を得た者については、最大1年間の在留延長(通算在留期間が最大6年)が認められる措置が設けられています。最新の施行状況は出入国在留管理庁にてご確認ください。これにより、試験に惜しくも及ばなかった外国人材が即座に帰国を余儀なくされるリスクが軽減されています。企業としても、一度の試験不合格で諦めずに2号移行を目指す計画を立てやすくなっています。
よくある質問
Q. 特定技能1号から2号へ移行するために必要な要件は何ですか?
A. 主に2つの要件があります。1つ目は各分野が定める技能試験(特定技能2号評価試験)への合格です。2つ目は、業務の指導・管理(監督業務)を含む実務経験の証明で、多くの分野では2年以上が必要とされています。分野によっては日本語能力試験(JLPT)の一定レベル以上が追加要件となる場合があります。
Q. 特定技能2号の対象分野は現在いくつありますか?
A. 2023年6月9日の閣議決定および2024年の省令施行により、11分野が対象となっています。ビルクリーニング・素形材等製造業・建設・造船舶用工業・自動車整備・航空・宿泊・農業・漁業・飲食料品製造業・外食業の11分野です。介護・自動車運送業・鉄道・林業・木材産業は現時点では対象外です。
Q. 特定技能2号になると登録支援機関への支援委託は不要になりますか?
A. はい。特定技能2号は義務的支援の対象外のため、登録支援機関への支援業務委託は原則不要になります。月額支援委託費の負担がなくなるため、長期的な雇用コストの削減効果があります。
Q. 特定技能2号の在留期間はどのくらいですか?
A. 1回の許可で3年・2年・1年・6か月のいずれかが付与され、更新回数に上限がないため、実質的に在留期間の制限なく日本に滞在し続けることができます。特定技能1号(通算5年上限)との最大の違いです。
Q. 特定技能2号は家族を呼び寄せることができますか?
A. はい。「家族滞在」の在留資格で配偶者・子を日本に帯同(呼び寄せ)することが認められています。特定技能1号では認められていない権利であり、長期定着を促す重要なメリットです。
人材不足でお悩みの企業様へ——特定技能の採用から2号移行まで
人材紹介は株式会社TreeGlobalPartnersが担当し、中間手数料を徹底排除し、相場よりもかなり抑えた費用で外国人の紹介が可能です。採用後のビザ申請・登録支援・特定技能2号への移行申請は、グループ内の行政書士法人Treeがワンストップで対応します。特定技能外国人の長期戦力化を一緒に考えましょう。
TreeGlobalPartnersに相談してみる※ 本記事の内容は2026年4月時点の入管法令に基づきます。制度・手数料は変更される場合があります。最新情報は出入国在留管理庁でご確認ください。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言ではございません。具体的なケースについては専門家へのご相談をおすすめいたします。