飲食業で特定技能外国人を採用する方法|外食業分野の完全ガイド

特定技能「外食業」分野の在留外国人数は、2025年6月末時点で36,281人に達し、前年同期比78%増と急速に拡大しています(出入国在留管理庁公表値)。飲食業界の深刻な人手不足を背景に、特定技能制度を活用した外国人採用は今や現実的な経営判断となっています。

一方で、「外食業の特定技能外国人にはどんな業務を任せられるのか」「試験や協議会加入はどう進めるのか」といった実務面の疑問を抱える企業も少なくないのが現状です。

この記事では、外食業分野に特化して以下のポイントを解説します。

  • 任せられる業務(調理・接客・店舗管理)と対象事業所の範囲
  • 採用までの5つのステップと食品産業特定技能協議会への加入
  • 外食業技能測定試験の内容・合格率と2026年度のCBT移行
  • 特定技能2号への移行による長期雇用の実現

結論として、外食業分野は受入れ見込数が5年間で最大53,000人と拡大しており、2026年度のCBT試験移行により合格者プールも広がる見通しです。人材確保の好機といえます。

外国人有料職業紹介を専門とし、グループ内に入管業務専門の行政書士法人Treeを持つTreeGlobalPartnersが、飲食業での外国人採用を実務面から解説します。

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特定技能「外食業」とは?制度の概要と最新動向

特定技能「外食業」とは、飲食店の調理・接客・店舗管理に従事する外国人を受け入れるための在留資格です。2019年4月の制度開始以来、特定技能制度全16分野のなかでも特に受入れが拡大している分野のひとつです。

在留者数は36,000人超、受入れ枠は5年間で最大53,000人

外食業分野の在留者数は急速に増加しています。

時点在留者数前年同期比
2023年12月末13,312人
2024年6月末20,317人約1.8倍
2024年12月末27,864人約2.1倍
2025年6月末36,281人+78%

2024年3月の閣議決定により、外食業分野の受入れ見込数は2024〜2028年度の5年間で最大53,000人に設定されています(出入国在留管理庁)。第1期から大幅に拡大された枠であり、国としても外食業への外国人材受入れを積極的に進めている状況です。

2025〜2026年の主な制度変更

外食業分野では近年、採用・管理の両面で重要な制度変更が続いています。

  • 2023年8月:キャリアアップ計画の作成・交付が受入れ企業に義務化(告示改正)
  • 2025年4月:定期報告が四半期ごとから年1回に簡素化
  • 2025年5月:風営法許可施設(ホテル・旅館内レストラン)での就労が解禁
  • 2025年9月:在留期間更新が最大3年に延長
  • 2026年度:外食業技能測定試験がCBT方式に移行し、通年受験が可能に

外食業分野で任せられる業務と対象事業所

外食業分野の特定技能外国人が従事できる業務は、「飲食物調理」「接客」「店舗管理」の3区分に分類されます。この3区分に含まれる業務であれば、日本人スタッフと同じ業務を任せることが可能です。

従事可能な業務の範囲

業務区分具体的な業務内容
飲食物調理食材の仕込み、加熱・盛付け、調理場の衛生管理、仕出し弁当の調製 など
接客席案内、メニュー説明、オーダー受付、配膳・下膳、会計、店舗清掃 など
店舗管理従業員のシフト管理、求人・採用事務、スタッフ教育、仕入れ先との連絡調整、売上管理 など

なお、原材料の農林水産物の生産や、調理品以外の物品販売は「関連業務」として付随的に行うことが認められていますが、これらの関連業務だけに専従させることはできません。

対象となる事業所の種類

飲食店営業許可を受けた事業所であれば、業態を問わず幅広く対象になります。

  • レストラン、居酒屋、カフェ、ラーメン店、ファストフード
  • テイクアウト専門店(持ち帰り飲食サービス業)
  • デリバリー(配達飲食サービス業) ※店舗での調理が前提
  • 給食事業(社員食堂・学校給食など)
  • 仕出し・ケータリング
  • ホテル・旅館内レストラン(2025年5月の改正で風営法許可施設も対象に)

従事させてはいけない業務

以下の業務は外食業の特定技能外国人には認められていません。

  • 風営法上の「接待」行為:酒席での接待、カラオケ同伴、ダンスなど
  • デリバリーのみの業務:配達専従は不可。あくまで店舗での調理・接客が主たる業務

居酒屋での通常の接客(注文受付、料理の配膳、会計など)は「接待」には該当しないため、問題なく従事できます。

外食業で特定技能外国人を採用する5つのステップ

外食業で特定技能外国人を採用するまでの流れは、以下の5ステップで進めます。協議会への加入に2〜3ヶ月かかるため、採用を検討し始めた段階で早めに準備を開始することが重要です。

ステップ1 — 食品産業特定技能協議会への加入

外食業分野で特定技能外国人を受け入れるには、食品産業特定技能協議会への加入が義務付けられています。在留資格の申請前に加入申請が必要で、農林水産省のWebフォームから手続きを行います。

  • 審査期間:2〜3ヶ月(早期申請が推奨されています)
  • 費用:当面の間、入会金・年会費とも無料

ステップ2 — 人材の確保

特定技能外国人を見つける方法は主に3つあります。

  1. 人材紹介会社を利用する:試験に合格済みの即戦力人材とのマッチングが可能。採用活動の手間を大幅に削減できる
  2. 海外の送出し機関を経由する:現地で候補者を募集。国によって送出し機関の利用が必須の場合あり
  3. 技能実習からの移行:自社または他社で技能実習を修了した外国人を特定技能に切り替える

ステップ3 — 雇用契約の締結とキャリアアップ計画の作成

雇用契約は日本人と同等以上の報酬で、フルタイム・直接雇用が必須条件です。派遣形態での雇用は認められていません。

外食業分野では2023年8月の告示改正によりキャリアアップ計画の作成・交付・説明が義務化されています。雇用契約締結前に、業務レベルごとの目標や昇進に必要な経験・資格を記載した計画を外国人に提示しなければなりません。

ステップ4 — 在留資格の申請

海外から呼び寄せる場合は在留資格認定証明書の交付申請、国内在住者(留学生や技能実習生)の場合は在留資格変更許可申請を行います。申請書類が多く手続きが煩雑なため、入管業務に精通した行政書士への依頼が一般的です。

ステップ5 — 入社・届出・支援体制の構築

入社後はハローワークへの届出を行い、義務的支援の実施体制を整えます。自社での支援が困難な場合は、登録支援機関への委託が可能です。定期報告は2025年の簡素化により年1回になりました。

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外食業技能測定試験の内容と合格率

外食業技能測定試験は、一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)が実施する特定技能1号の取得要件となる試験です。この試験に加えて、日本語能力試験N4以上またはJFT-Basic合格が必要です。

試験の構成と合格基準

試験区分内容詳細
学科試験衛生管理、飲食物調理、接客全般の知識選択式
実技試験(判断)図やイラストから正しい行動を判断選択式
実技試験(計画立案)作業計画の立案記述式
合格基準総得点の65%以上
受験料7,000円(税込)

合格率は約64%(2024年度実績)

年度受験者数合格者数合格率
2021年度8,329人4,774人約57%
2023年度(第1回)6,127人4,069人66.4%
2024年度23,546人14,983人63.6%

合格率は約6割前後で推移しています。2024年度は受験者数が大幅に増加したことも注目すべきポイントです。試験の学習教材はOTAFFのWebサイトで日本語・英語・ベトナム語・インドネシア語・ミャンマー語等で提供されています(出典:OTAFF)。

2026年度からCBT方式に移行 — 通年受験が可能に

2026年度より、外食業技能測定試験はCBT(Computer Based Testing)方式に完全移行します。

項目現行方式CBT移行後(2026年度〜)
試験実施頻度年3回(7月・10月・1月)通年実施(年末年始・祝日除く)
会場全国約13会場大幅増加
受験申込抽選制随時申込
試験内容・合格基準変更なし(65%以上)

企業にとっての最大のメリットは、合格者プールが通年で拡大する点です。従来は年3回の試験に合わせた採用スケジュールが必要でしたが、CBT移行後は候補者がいつでも受験でき、採用のタイミングに柔軟性が生まれます。

受入れ企業に求められる要件

外食業分野で特定技能外国人を受け入れる企業には、分野共通の要件に加えて外食業固有のルールがあります。

雇用条件の基本ルール

  • 同等報酬:同じ業務に従事する日本人と同等以上の給与
  • フルタイム:通常の労働者と同等の所定労働時間(パート・アルバイトは不可)
  • 直接雇用:派遣形態は認められない
  • 飲食店営業許可:食品衛生法に基づく営業許可を受けた事業所であること

義務的支援の実施と登録支援機関への委託

受入れ企業は特定技能外国人に対して、事前ガイダンスの提供や生活オリエンテーション、日本語学習の機会提供など10項目の義務的支援を実施する責任があります。自社での対応が難しい場合は、登録支援機関に委託することが可能です。

登録支援機関の月額支援委託費は平均約2〜3万円程度です(出入国在留管理庁調査)。TreeGlobalPartnersのグループ内の行政書士法人Treeは、登録支援機関として月額9,800円(税抜)/人〜で支援業務を提供しています。義務的支援については、企業の状況に応じたお見積りで最低限の費用プランをご案内しています。

特定技能2号で長期雇用を実現する

外食業は2023年8月に特定技能2号の対象分野に追加されました。2号に移行すると在留期間の上限がなくなり、長期的な人材として育成・活用できます。

2号移行の3つの要件

  1. 外食業特定技能2号技能測定試験に合格(2024年度の合格率は約39〜60%、回次により変動)
  2. 日本語能力試験N3以上を取得
  3. 副店長・サブマネージャー等として原則2年以上の実務経験(複数従業員の指導・監督、接客を含む業務への従事が必要)

2号のメリットと5年超え特例

項目特定技能1号特定技能2号
在留期間通算5年まで上限なし(3年/1年/6ヶ月ごとの更新)
家族帯同不可可能(配偶者・子)
義務的支援必要不要

2号試験に不合格だった場合でも、合格基準点の8割以上を取得していれば最長1年間の在留延長が認められる特例措置が設けられています。1号の在留期間5年を超えても日本での就労を継続できる可能性があり、企業の長期的な人材計画に活用できます。

よくある質問

Q. 特定技能「外食業」ではどんな業務を任せられますか?

A. 「飲食物調理」「接客」「店舗管理」の3区分です。厨房での調理から、ホールでの接客、従業員のシフト管理や発注業務まで幅広く任せることができます。ただし、風営法上の「接待」行為やデリバリーのみの業務は認められていません。

Q. 居酒屋やファストフード店でも雇えますか?

A. はい、雇用可能です。飲食店営業許可を受けた事業所であれば業態を問いません。2025年5月の改正により、風営法許可を受けたホテル・旅館内レストランでの就労も認められるようになりました。

Q. 外食業の技能測定試験の合格率は?

A. 2024年度の合格率は約63.6%です(受験者23,546人、合格者14,983人)。合格基準は総得点の65%以上で、学科試験と実技試験で構成されています。2026年度からCBT方式に移行し、通年受験が可能になります。

Q. 食品産業特定技能協議会への加入は必須ですか?

A. 必須です。在留資格の申請前に農林水産省のWebフォームから加入申請が必要で、審査に2〜3ヶ月かかります。入会金・年会費は当面無料ですが、早めの申請を推奨します。

Q. 特定技能「外食業」で2号に移行できますか?

A. 2023年8月から移行可能です。2号技能測定試験の合格、日本語N3以上の取得、副店長等としての2年以上の実務経験が必要です。移行により在留期間の上限がなくなり、家族帯同も可能になります。

Q. 技能実習から特定技能「外食業」に移行できますか?

A. 技能実習2号「医療・福祉施設給食製造」を良好に修了した場合は、技能測定試験と日本語試験の両方が免除されます。それ以外の技能実習2号を良好に修了した場合、日本語試験は免除されますが、外食業の技能測定試験の合格が必要です。

まとめ

飲食業で特定技能外国人を採用するための要点を整理します。

  • 外食業分野の在留者数は36,000人を超え、5年間で最大53,000人の受入れ枠が設定されている
  • 「調理」「接客」「店舗管理」の3区分で幅広い業務を任せられる
  • 食品産業特定技能協議会への加入(審査2〜3ヶ月)は採用前に必要
  • 技能測定試験は2026年度からCBT方式に移行し、通年受験が可能になる
  • 2号への移行で在留期間の上限がなくなり、長期的な人材として育成できる

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※ 本記事の内容は2026年3月時点の入管法令・農林水産省の公表情報に基づきます。制度の詳細は変更される場合があるため、最新情報は出入国在留管理庁および農林水産省の公式サイトでご確認ください。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言ではございません。具体的なケースについては専門家へのご相談をおすすめいたします。