登録支援機関の登録要件|申請条件と欠格事由を実務目線で整理

「自社も登録支援機関として登録したい」という検討が、人材会社・業界団体・監理団体・企業のグループ会社などで広がっています。ところが、いざ準備に入ると「何が要件なのか」が意外に整理されていません。ウェブ上には受入企業が委託先を選ぶための情報は多い一方で、登録する側が審査で何を見られるのかを条文単位で押さえた情報は多くないためです。

登録支援機関の登録は、入管法19条の23以下に置かれた制度です。審査の中身は19条の26第1項各号の登録拒否事由(欠格事由)に該当しないかどうかであり、そのうち第14号は「支援業務を的確に遂行するための必要な体制」として省令に具体的な基準が委ねられています。つまり登録申請の準備とは、この省令基準をどう自社の実態で説明できるかを組み立てる作業にほかなりません。

本記事は、登録を目指す事業者の視点に絞り、申請先・手数料・審査期間から、拒否事由の類型、支援責任者・支援担当者が審査でどう評価されるか、そして有効期間5年と更新までを、出入国在留管理庁の公表情報と条文にもとづいて整理します。数値や条番号はすべて2026年8月時点の一次情報に拠っています。

登録支援機関の登録制度|「支援計画の全部を受託する者」だけが登録できる

登録の可否を検討するとき、最初に確認すべきなのは自社が支援業務の「全部」を受託する立場に立てるかどうかです。入管法19条の22第2項は、特定技能所属機関が契約により他の者へ1号特定技能外国人支援の全部または一部の実施を委託できると定めています。そのうえで19条の23第1項が、契約により委託を受けて適合1号特定技能外国人支援計画の「全部の実施の業務」(=支援業務)を行う者について、出入国在留管理庁長官の登録を受けることができると規定しました。

条文が「全部」と書いている以上、住居確保だけ、日本語学習の機会提供だけ、といった一部業務のために登録を受けることはできません。出入国在留管理庁も、支援計画の全部を実施できる必要があり、支援の一部のみを行うものとして登録を受けることはできない旨を明示しています。さらに、委託を受けた支援業務の実施をそのまま別の機関へ再委託することも認められていません。ここを誤解したまま事業計画を組むと、登録後のオペレーション設計からやり直しになります。

条文は「登録を受けることができる」という任意規定の形をとりますが、事業としての意味合いは異なります。特定技能所属機関が自社で支援体制の基準を満たせない場合、支援計画の全部を委託する先は登録支援機関でなければなりません。受託ビジネスとして成立させたいのであれば、登録は事実上の参入条件です。

法人でなくても申請できるが、体制の説明責任は同じ

申請できるのは法人に限られません。入管法施行規則19条の19第3項は、申請者が法人の場合の添付書類(登記事項証明書、定款または寄附行為、役員の住民票の写し)と、法人でない場合の添付書類(申請者の住民票の写し)を書き分けており、個人事業主も申請の対象になります。ただし、後述する体制要件は法人・個人で緩められるわけではなく、1人体制の個人事業主ほど「事務所ごとの支援担当者」「面談を実施できる体制」の説明が難しくなる傾向があります。

なお、登録の有効期間は5年で、5年ごとに更新を受けなければ期間の経過によって効力を失います(19条の23第2項)。申請にあたっては、実費を勘案して政令で定める額の手数料の納付が必要です(同条第3項)。2026年8月時点で特定技能の対象分野は制度上19分野です。ただし2026年1月23日の閣議決定で追加されたリネンサプライ・物流倉庫・資源循環の3分野は試験等の準備段階で、実際の受入れ開始は2027年頃の見込みとされており、現時点で受託先となりうるのは既存16分野の受入企業が中心です。どの分野の受入企業から委託を受けるかによって、必要な言語体制や拠点配置の設計も変わってきます。

申請先・様式・手数料・審査期間|「登録免許税」ではなく手数料である点に注意

申請先は、申請者の本店または主たる事務所の所在地を管轄する地方出入国在留管理局または同支局です(施行規則19条の19第1項は「地方出入国在留管理局に提出」と規定)。郵送による申請も可能とされています。使用する様式は別記第29号の15様式(登録支援機関登録(更新)申請書)で、新規と更新で同じ様式を用います。

手数料は新規登録が28,400円、更新が11,100円で、いずれも申請時に手数料納付書へ収入印紙を貼付して納付します。申請後に返還は認められません。ここで実務上まぎらわしいのが「登録免許税」という言葉です。入管法19条の23第3項は納付すべきものを一貫して「手数料」と呼んでおり、登録支援機関の登録に登録免許税が課されるわけではありません。予算計上や会計処理上の取扱いについては、税理士にご確認ください。

審査期間は、出入国在留管理庁がおおむね2か月を要すると案内しています。支援業務の開始予定日から逆算し、少なくとも2か月前までに申請しておく必要があります。受入企業と委託契約の話が進んでから準備を始めると、外国人の入国スケジュールに間に合わないという事態が起こりがちです。

申請書に書く事項と主な添付書類

申請書の記載事項は入管法19条の24第1項に定めがあり、氏名または名称・住所・法人の代表者氏名、支援業務を行う事務所の所在地、支援業務の内容および実施方法などです。加えて施行規則19条の19第2項が、支援業務を開始する予定年月日と、特定技能外国人からの相談に応じる体制の概要を記載事項として上乗せしています。添付書類としては、登記事項証明書や住民票の写しのほか、申請者の概要書、19条の26第1項各号のいずれにも該当しないことを誓約する書面、支援責任者および支援担当者の履歴書・就任承諾書・支援業務に係る誓約書の写しが求められます。

手続様式・提出方法手数料期限の目安
新規の登録申請別記第29号の15様式/本店・主たる事務所の所在地を管轄する地方出入国在留管理局28,400円(収入印紙)支援業務開始予定日の約2か月前まで
登録の更新申請別記第29号の15様式(新規と同一)11,100円(収入印紙)有効期間満了日の6か月前の月の初日から4か月前の月の月末まで
登録事項の変更届出別記第29号の16様式なし変更の日から14日以内
支援業務の休止・廃止の届出書面により地方出入国在留管理局へなし休止・廃止の日から14日以内
休止した支援業務の再開の届出書面により地方出入国在留管理局へ(事前届出)なし再開予定日の1か月前まで
支援実施状況等の定期届出特定技能所属機関を経由して提出なし毎年4月1日から5月31日まで(前年4月1日〜当年3月31日分)

登録拒否事由(欠格事由)の全体像|19条の26第1項1号〜14号を6つの視点で読む

登録申請の審査は、入管法19条の26第1項各号の登録拒否事由に該当するかどうかの審査です。該当すれば長官は登録を「拒否しなければならない」と定められており、裁量の余地はありません。あわせて、申請書またはその添付書類に重要な事項について虚偽の記載があるとき、重要な事実の記載が欠けているときも拒否事由になります。誓約書や概要書を体裁だけ整えて提出するリスクは、この柱書に現れています。

1号から14号までを条文順に暗記する必要はありません。刑罰歴、申請者本人の適格性、過去の処分・行為、反社会的勢力との関係、法人の役員連座、そして体制という切り口で整理すると自社の確認作業に落とし込みやすくなります。

視点該当する号内容の要旨
刑罰歴(いずれも刑の執行終了等から5年)1号〜4号拘禁刑以上の刑/入管法・技能実習法その他出入国・労働に関する政令指定の法令による罰金刑/暴力団対策法違反や傷害・暴行・脅迫・背任等による罰金刑/健康保険法・厚生年金保険法・労働者災害補償保険法・雇用保険法・労働保険徴収法等の罰則による罰金刑
申請者本人の適格性5号・6号・11号精神の機能の障害により支援業務を適正に行うための認知・判断・意思疎通を適切に行えない者(省令)/破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者/営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者で法定代理人が欠格に当たる場合
過去の処分・行為7号〜9号登録を取り消され取消しの日から5年を経過しない者/取消しを受けた法人で原因事実発生当時の役員であった者(取消しから5年)/申請日前5年以内に出入国または労働に関する法令に関し不正または著しく不当な行為をした者
反社会的勢力10号・13号暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者/暴力団員等がその事業活動を支配する者
法人の役員連座12号法人であって、その役員のうちに1号から11号までのいずれかに該当する者があるもの
体制の整備14号支援業務を的確に遂行するための必要な体制が整備されていない者として法務省令で定めるもの

「役員」の範囲は肩書きで決まらない

12号の役員連座を確認するとき、登記された取締役だけを見て終わらせるのは危険です。条文は役員を、業務を執行する社員・取締役・執行役またはこれらに準ずる者と定義したうえで、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対しこれらの者と同等以上の支配力を有すると認められる者を含むとしています(8号括弧書き)。実質的なオーナーや創業者が顧問の肩書きで残っている会社では、その人物についても欠格事由の確認と資料の準備が必要になります。

また4号は、社会保険・労働保険関係の罰則による罰金刑を拒否事由としています。保険料の滞納そのものを直接の拒否事由とする条文ではありませんが、適正な法令遵守の状況は後述の体制審査や更新時の判断で見られる部分です。申請前に自社の加入状況と納付状況を確認しておく実益はあります。

14号の省令要件が審査の山場|施行規則19条の21が定める8つの体制基準

刑罰歴や反社会的勢力の要件は、通常の事業者であれば確認作業で終わります。準備工数の大半を占めるのは14号、すなわち施行規則19条の21が定める「支援業務を的確に遂行するための必要な体制」の基準です。同条は8つの号を並べ、そのいずれかに該当する者を体制不備として拒否対象にしています。

  1. 過去1年間に、登録支援機関になろうとする者において、その者の責めに帰すべき事由により外国人の行方不明者を発生させている者に当たらないこと(1号)
  2. 役員または職員の中から、支援責任者および支援業務を行う事務所ごとに1名以上の支援担当者が選任されていること。支援責任者が支援担当者を兼ねることは可能(2号)
  3. 支援業務を適正に実施できることを示す実績・経験のいずれかのルートに該当すること(3号イ〜ニ)
  4. 情報提供および相談対応の体制があること。支援計画に基づき情報提供すべき事項を外国人が十分に理解できる言語で提供でき、相談対応の担当職員を確保して同様に対応でき、支援責任者または支援担当者が外国人およびその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施できること(4号イ〜ハ)
  5. 支援業務の実施状況に係る文書を作成し、支援業務を行う事務所に、対象となる特定技能外国人が締結した特定技能雇用契約の終了の日から1年以上備えて置くこととしていること(5号)
  6. 支援責任者・支援担当者が欠格事由や中立性の要件に触れないこと(6号イ〜ハ)
  7. 1号特定技能外国人支援に要する費用について、直接または間接に当該外国人に負担させることとしていないこと(7号)
  8. 委託契約を締結するにあたり、特定技能所属機関に対して支援業務に要する費用の額およびその内訳を示すこととしていること(8号)

見落とされやすい7号と8号

7号の費用負担禁止は「直接又は間接に」と書かれている点が要点です。支援委託費を外国人本人の給与から控除する形はもちろん、名目を変えて実質的に本人に転嫁する設計も許されません。8号は委託契約の締結局面の要件で、受入企業に対して費用の額と内訳を示すことを求めています。総額いくらの一本値だけを提示する見積書しか用意していない場合、契約書式と料金表の作り直しから着手することになります。

5号の文書備置きは、登録時点では「そうすることとしている」体制の宣言ですが、更新申請や実地の確認では実物が問われます。支援記録の様式、保存場所、担当者、保存期間の起算点を、契約終了日から1年以上という条文どおりに運用できる形で決めておくのが現実的な準備です。

支援実績の要件は「1年」ではなく「過去2年」|4つのルートのどれで立証するか

登録要件のうち、最も多く誤解されているのが実績要件です。「1年以上の支援実績が必要」という説明を見かけますが、施行規則19条の21第3号が求めているのは原則として過去2年間の実績・経験であり、「1年」という数字は別の要件から来ています。条文上「1年」が登場するのは、行方不明者を発生させていないことを見る期間(過去1年間、同条1号)と、支援実施状況に係る文書の備置き期間(契約終了日から1年以上、同条5号)です。混同したまま準備すると、立証資料の集め方を間違えます。

3号は次のイからニのいずれかに該当することを求めており、どれか1つを満たせば足ります。逆にいえば、どのルートで攻めるかを決めてから資料収集を始めないと、作業が拡散します。

ルート要件の内容主に想定される事業者
登録支援機関になろうとする者が、過去2年間に、法別表第一の一の表・二の表・五の表の在留資格(就労可能なものに限る)をもって在留する中長期在留者の受入れまたは管理を適正に行った実績があること技能実習の監理団体・実習実施者、技術・人文知識・国際業務などで外国人を雇用してきた企業
登録支援機関になろうとする者が、過去2年間に、報酬を得る目的で業として本邦に在留する外国人に関する各種の相談業務に従事した経験を有すること外国人向けの有料相談業務を継続してきた事業者
選任された支援責任者および支援担当者が、過去5年間に2年以上、上記の在留資格をもって在留する中長期在留者の生活相談業務に従事した一定の経験を有すること法人としての実績はないが、経験者を役員・職員として迎えた事業者
イからハまでのほか、これらと同程度に支援業務を適正に実施することができる者として出入国在留管理庁長官が認めるものであること上記に当てはまらない個別事案

新設法人が現実的に使えるのはハとニ

設立間もない会社には、法人としての受入れ実績も相談業務の売上実績もありません。その場合に実務上の選択肢になるのがハルート、つまり選任する支援責任者・支援担当者個人の経験で要件を満たす方法です。ここで注意したいのは、ハが「支援責任者及び支援担当者」と並列で書かれている点です。誰か1人が経験者であればよいという読み方はできず、選任者の顔ぶれ全体を要件に合わせて設計する必要があります。

立証資料としては、履歴書に加え、在職していた機関での担当業務が分かる資料を求められるのが通例です。申請書の添付書類に支援責任者・支援担当者の履歴書が明記されているのは、この実績要件の確認を兼ねているためと理解しておくと、記載の粒度を誤りません。ニルートは長官の個別認定であり、事前に管轄の地方出入国在留管理局へ相談したうえで方針を固めるのが安全です。

支援責任者・支援担当者は登録審査でどう見られるか|中立性は「機関」ではなく「案件」の問題

支援責任者・支援担当者の選任は、施行規則19条の21第2号が「役員又は職員の中から」と定めています。外部の個人に名義だけを借りる形は要件を満たしません。人数の考え方は、支援責任者が1名、支援担当者が支援業務を行う事務所ごとに1名以上で、支援責任者が支援担当者を兼ねることは認められています。複数拠点で受託する計画なら、拠点数と同数以上の担当者を確保できるかが最初のチェックポイントになります。

欠格の範囲は同条6号に定めがあります。支援責任者・支援担当者はいずれも入管法19条の26第1項1号から11号までのいずれかに該当してはならず、これは両者に共通です。一方で、ロとハに書かれた中立性の要件は支援責任者にのみ課されています。

  • ロ:特定技能所属機関の役員の配偶者、二親等内の親族その他その役員と社会生活において密接な関係を有する者であるにもかかわらず、当該特定技能所属機関から委託を受けた支援業務に係る支援責任者となろうとする者
  • ハ:過去5年間に特定技能所属機関の役員または職員であった者であるにもかかわらず、当該特定技能所属機関から委託を受けた支援業務に係る支援責任者となろうとする者

読み解くうえで重要なのは、この2つが「登録できるかどうか」ではなく「その受入企業の案件で支援責任者になれるかどうか」を定めた規定だという構造です。たとえば親会社から委託を受けるスキームで、その親会社に過去5年以内に在籍していた人物を支援責任者に据えると、その委託案件についてハに抵触します。ハが見るのは委託元である特定技能所属機関そのものでの役員・職員歴であり、同じ企業グループでも委託元と在籍先が別法人であればハには直ちに当たりませんが、その場合もロの「役員と社会生活において密接な関係を有する者」に該当しないかの確認が必要です。同じ人物が、資本関係のない別の受入企業の案件で支援責任者を務めることは妨げられません。受託先が増えていく前提の事業計画では、誰をどの案件の支援責任者に充てるかという割り当て設計が、登録後の運用課題として残ります。

面談体制と人員配置の整合が問われる

同条4号ハは、支援責任者または支援担当者が、特定技能外国人およびその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施することができる体制を求めています。申請書の記載事項にも相談に応じる体制の概要が含まれており、想定受託人数、拠点の所在地、担当者数、使用言語、面談の実施方法が互いに矛盾していないかが見られる部分です。少人数で全国の受託を計画している場合は、その体制でどう面談を回すのかを具体的に説明できるようにしておく必要があります。

提出書類の面では、支援責任者・支援担当者について履歴書、就任承諾書、支援業務に係る誓約書の写しが求められます。就任承諾書と誓約書が揃うということは、本人が要件と責任を理解したうえで就任していることを前提にした制度設計だという意味です。名前を借りるだけの選任が想定されていないことは、書類構成からも読み取れます。

登録後に続く義務と5年ごとの更新|取消しになると5年間は再登録できない

登録は取得して終わりではありません。有効期間は5年で、更新を受けなければ期間の経過により効力を失います。更新申請の受付期間は、有効期間満了日の6か月前の月の初日から4か月前の月の月末までとされており、この窓は意外と狭いのが実情です。出入国在留管理庁は、対象月の3か月前の月末を経過して申請する場合には、有効期間内に登録の更新が認められず、申請手数料の返還もできないため、新規の登録申請を行うことを強く推奨するとしています。受付期間(対象月の4か月前の月末)を1か月でも過ぎたら、更新ではなく新規申請への切替えを検討する必要があります。満了日から逆算した社内アラートの設定は、登録直後にやっておくべき事務です。

登録後の届出義務も条文で決まっています。登録事項に変更があったときは変更の日から14日以内に別記第29号の16様式で届け出ます(入管法19条の27、施行規則19条の22)。支援業務を休止・廃止したときも14日以内の届出が必要で、廃止の届出があると登録はその効力を失います(19条の29第2項)。休止した支援業務を再開する場合は、あらかじめ書面で届け出る扱いで(施行規則19条の23第2項)、出入国在留管理庁は再開予定日の1か月前までに届け出るよう案内しています。休止・廃止の届出が事由発生から14日以内であるのに対し、再開だけは事前届出である点に注意が必要です。

支援業務の実施状況等については定期の届出が義務づけられています(19条の30第2項)。従来は四半期ごとの運用でしたが、制度の運用改善により年1回に集約され、前年4月1日から当年3月31日までの期間について、毎年5月31日までに、委託元の特定技能所属機関を経由して地方出入国在留管理局へ提出する形になりました。委託元の協力が必要な手続であるため、契約書に届出への協力条項を入れておくと運用が安定します。

登録簿は公開され、取消しには5年の再登録制限が付く

出入国在留管理庁長官は、登録支援機関登録簿を一般の閲覧に供しなければならないとされています(19条の28)。登録番号や事務所の所在地は受入企業が確認できる情報であり、届出を怠って登録簿の記載が実態とずれることは、行政上のリスクであると同時に営業上の信用の問題にもなります。

登録の取消しは19条の32に定めがあり、拒否事由(7号を除く)に該当するに至ったとき、変更届出・休廃止届出・定期届出の義務に違反したとき、支援計画に基づく支援業務の実施義務に違反したとき、不正の手段により登録を受けたとき、報告・資料提出をせずまたは虚偽の報告等をしたときが挙げられています。取消しを受けると、取消しの日から5年間は再登録ができません(19条の26第1項7号)。さらに法人の場合、原因事実発生当時の役員であった個人も5年間は欠格となるため、影響は法人を超えて及びます。更新審査でも拒否事由の該当性は同じ基準で見られるため、5年間の運用実態そのものが次の登録を左右すると考えておくのが妥当です。

自社で登録するか、既存の登録支援機関に委託するか|判断の材料

ここまでの要件を並べると、登録のハードルが手数料28,400円ではないことが見えてきます。実質的なコストは、支援責任者・支援担当者となる人材の確保、外国人が十分に理解できる言語での情報提供・相談対応の体制、拠点ごとの面談の実施、支援記録の作成と保存、そして年1回の定期届出という継続的な事務にあります。受託人数が少ない段階では、この固定費を委託手数料で回収しきれない構造になりやすい点は、事業計画の前提として押さえておく必要があります。

比較対象となる委託コストの水準も確認しておきましょう。出入国在留管理庁の調査(令和4年「技能実習制度及び特定技能制度の現状について」)によれば、支援委託料を月額で設定している場合の特定技能外国人1人あたりの平均額は月額約2万8千円で、月額支援委託費はおおむね2〜3万円程度が中心帯です(3万円以下が約9割)。自社登録した場合の人件費・システム費・届出事務の工数を、この単価と受託見込み人数に照らして比較すると、判断の輪郭がはっきりします。

自社登録が向くケース・委託が向くケース

  • 自社登録が検討に値するケース:技能実習の監理団体や外国人雇用の実績があり施行規則19条の21第3号イに乗れる、外国人材の受入れを継続的な事業の柱にする方針が定まっている、複数拠点に日本語以外の言語で対応できる職員を配置できる
  • 委託が現実的なケース:受入予定人数が限られる、支援責任者・支援担当者に充てられる経験者がいない、拠点が1か所で全国の受入先に面談体制を広げられない、まずは自社での受入れを軌道に乗せることを優先したい

制度環境が動いている点も判断材料です。技能実習制度に代わる育成就労制度は令和9年(2027年)4月1日に施行され、監理・支援を担う機関の位置づけにも変更が見込まれています。今後5年の有効期間を前提に登録を取得するのであれば、施行後の制度設計を織り込んだうえで体制を組むのが賢明です。

当社グループでの役割分担も明確にしておきます。株式会社TreeGlobalPartnersは有料職業紹介事業者(許可番号13-ユ-317879)として、外国人材の職業紹介を行う会社です。登録支援機関としての支援業務や、在留資格に関する申請取次については、グループ内の行政書士法人Treeが対応します。登録支援機関の登録申請そのものについてのご相談も、行政書士法人Treeが窓口となります。なお、社会保険の手続については社会保険労務士、税務の取扱いについては税理士へのご確認をお願いしています。

よくある質問

Q. 登録支援機関の登録に必要な費用はいくらですか。登録免許税はかかりますか。

A. 新規の登録申請は28,400円、更新申請は11,100円で、いずれも申請時に手数料納付書へ収入印紙を貼付して納付します。申請後の返還は認められません。入管法19条の23第3項はこれを「手数料」と定めており、登録支援機関の登録に登録免許税が課される仕組みではありません。予算計上や会計処理上の取扱いについては税理士にご確認ください。変更届出や休廃止の届出、定期届出に手数料はかかりませんが、実質的な負担は支援責任者・支援担当者の人件費や言語対応体制の整備といった継続的なコストにあります。

Q. 外国人支援の実績がない会社でも登録支援機関になれますか。

A. 可能性はあります。施行規則19条の21第3号は、イ(法人自身が過去2年間に就労可能な在留資格の中長期在留者の受入れ・管理を適正に行った実績)、ロ(法人自身が過去2年間に業として外国人の相談業務に従事した経験)、ハ(選任した支援責任者および支援担当者が過去5年間に2年以上、中長期在留者の生活相談業務に従事した一定の経験)、ニ(これらと同程度と長官が認めるもの)のいずれかに該当すれば足りるとしています。法人としての実績がない場合は、経験者を役員または職員として迎えてハで立証するのが実務上の選択肢です。ニは個別認定となるため、事前に管轄の地方出入国在留管理局へ相談してください。

Q. 申請から登録までどのくらいかかりますか。

A. 出入国在留管理庁は、登録支援機関の登録申請に係る審査におおむね2か月を要すると案内しています。支援業務の開始予定日から逆算し、少なくとも2か月前までに申請しておく必要があります。添付書類の不足や支援責任者・支援担当者の要件に関する追加確認が生じるとさらに時間がかかるため、受入企業との委託契約や外国人の入国スケジュールに合わせるのであれば、余裕を持った準備が前提になります。

Q. 自社で受け入れる特定技能外国人のために、自社を登録支援機関として登録する必要はありますか。

A. 必要ありません。登録支援機関は「契約により委託を受けて」支援計画の全部を実施する者のための制度です(入管法19条の23第1項)。自社で受け入れる分については、特定技能所属機関として支援体制の基準を満たせば足ります。ただし、グループ会社など他社から委託を受ける形をとる場合は登録が必要になり、その際は施行規則19条の21第6号ロ・ハの中立性の要件により、委託元の役員の親族や、過去5年間に委託元である特定技能所属機関そのものの役員・職員であった者を、その案件の支援責任者にできない点に注意が必要です。

Q. 登録が取り消されるのはどのような場合ですか。取消し後に再登録はできますか。

A. 入管法19条の32は、拒否事由(7号を除く)に該当するに至ったとき、変更届出・休廃止届出・定期届出の義務に違反したとき、支援計画に基づく支援業務の実施義務に違反したとき、不正の手段により登録を受けたとき、報告や資料の提出をせずまたは虚偽の報告等をしたときを取消事由としています。取消しを受けると、取消しの日から5年を経過するまでは再登録ができません。さらに法人の場合は、取消しの原因となった事項が発生した当時の役員であった個人も5年間は欠格事由に該当します。

まとめ

登録支援機関の登録は、契約により委託を受けて適合1号特定技能外国人支援計画の全部を実施する者のための制度です(入管法19条の23第1項)。支援の一部だけを行うものとして登録を受けることはできず、受託した支援業務の再委託も認められていません。まず自社が「全部受託」の立場に立てるかどうかから確認してください。

申請先は本店または主たる事務所の所在地を管轄する地方出入国在留管理局で、様式は別記第29号の15様式、手数料は新規28,400円・更新11,100円の収入印紙納付です。条文上これは登録免許税ではなく手数料であり、審査にはおおむね2か月を要します。支援業務開始予定日から逆算した申請時期の設定が欠かせません。

審査の実体は19条の26第1項各号の登録拒否事由への該当性審査です。刑罰歴・申請者本人の適格性・過去の処分や不正行為・反社会的勢力・法人の役員連座はチェック作業で終わることが多く、準備工数が集中するのは第14号、すなわち施行規則19条の21が定める8つの体制基準です。特に費用の本人負担禁止と、委託契約時に費用の額と内訳を示す義務は、契約書式や料金表の見直しに直結します。

実績要件は「1年」ではなく原則として過去2年です。法人自身の受入れ実績・相談業務経験のほか、選任した支援責任者および支援担当者が過去5年間に2年以上の生活相談業務経験を持つルートがあり、新設法人はこの人的要件で組み立てるのが現実的です。「1年」という数字は行方不明者を発生させていない期間と支援記録の備置き期間から来ており、混同すると立証資料の集め方を誤ります。

中立性の要件は支援責任者に固有で、しかも「登録の可否」ではなく「その委託案件で支援責任者になれるか」を定めた規定です。委託元の役員の親族や、過去5年間に委託元である特定技能所属機関そのものの役員・職員であった者は、その案件の支援責任者になれません。受託先が増える前提なら、誰をどの案件に充てるかの割り当て設計が登録後の運用テーマになります。

登録の有効期間は5年で、更新申請の受付は満了日の6か月前の月の初日から4か月前の月の月末までという限られた窓です。変更届出と休廃止届出は14日以内、休止した支援業務の再開は再開予定日の1か月前までの事前届出、支援実施状況等の定期届出は毎年4月1日から5月31日までに委託元を経由して提出します。取消しを受けると5年間は再登録できず、当時の役員個人も欠格となるため、登録後の運用実態がそのまま次の5年を左右します。

※ 本記事は2026年8月時点の出入国管理及び難民認定法、同法施行規則、出入国在留管理庁の公表資料にもとづく一般的な情報提供であり、個別の登録可否を保証するものではありません。登録拒否事由への該当性や体制要件の充足は個別の事情により判断が異なるため、実際の申請にあたっては管轄の地方出入国在留管理局または専門家にご確認ください。制度・様式・手数料は改正により変更される場合があります。なお、税務に関する取扱いは税理士、社会保険・労働保険の手続は社会保険労務士の業務範囲です。株式会社TreeGlobalPartnersは有料職業紹介事業者(許可番号13-ユ-317879)であり、在留資格に関する申請取次および登録支援機関としての支援業務は、グループ内の行政書士法人Treeが行います。