登録支援機関の費用相場|月額料金と委託のメリット

出入国在留管理庁の調査によると、登録支援機関に支払う月額支援委託費の平均は1人あたり約2〜3万円です。ただし、この金額はあくまで月額部分のみで、事前ガイダンスや生活オリエンテーションなどの初期費用が別途かかるケースが大半を占めます。

「月額費用の内訳がわからない」「自社で支援した方が安いのでは」という声は、特定技能の受入れを検討する企業から多く聞かれる疑問です。この記事では、登録支援機関の費用を初期費用・月次支援料・実費の3つに分解し、委託と自社対応それぞれのメリット・デメリットを整理します。

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登録支援機関の費用内訳|初期費用・月次支援料・実費の違い

登録支援機関に委託する際の費用は、大きく3つのカテゴリに分かれます。月額料金だけを見て比較すると、実際に請求が来た段階で「思ったより高い」と感じるケースがあるため、契約前に各項目の有無と金額を確認しておくことが重要です。

初期費用(入社前〜入社直後に発生)

受入れ開始前に1回だけ発生する費用です。登録支援機関によって「初期費用」「登録料」「セットアップ費用」など名称は異なります。

  • 事前ガイダンスの実施費用: 入国前に外国人本人へ労働条件や生活情報を説明する費用
  • 生活オリエンテーション費用: 入国後に日本での生活に必要な情報を提供する費用(銀行口座開設、役所手続きの同行など)
  • 出入国時の送迎費用: 空港から住居までの送迎にかかる交通費・人件費

初期費用の相場は1人あたり2〜5万円程度が多く、月額に上乗せして分割払いとする機関もあります。なお、人材紹介料は人材紹介会社に支払う別の費用であり、登録支援機関の費用とは分けて考える必要があります。

月次支援料(毎月発生する委託費)

月次支援料は登録支援機関に毎月支払う定額の費用で、特定技能外国人1人あたりの定額制が一般的です。月額に含まれる主な支援内容は以下のとおりです。

  • 3か月に1回以上の定期面談の実施
  • 外国人からの生活相談・苦情への対応
  • 日本人との交流促進に係る支援
  • 転職支援(非自発的離職の場合)
  • 定期届出の作成・提出支援

なお、2025年4月の制度改正により、定期届出は四半期ごと(年4回)から年1回に変更されました。届出事務の負担は軽減されましたが、3か月に1回以上の定期面談義務は従来どおり継続しています。

実費(都度発生するもの)

上記とは別に、個々の状況に応じて発生する費用です。

  • 通訳・翻訳費用: 対応言語によっては別途発生する場合がある
  • 交通費: 面談のための訪問交通費を実費請求する機関もある
  • 緊急対応費: 休日・深夜の緊急対応に割増費用がかかる場合がある

「月額○万円で全てコミコミ」をうたう機関もありますが、実費が別途かかる機関もあるため、見積り段階で実費項目の有無を必ず確認してください。

月額費用の相場|入管庁調査データから読み解く

出入国在留管理庁が在留資格申請書類に記載された支援委託費を集計した調査によると、特定技能外国人1人あたりの月額支援委託費の平均は約28,000円で、全体の約9割が30,000円以下に収まっています。

月額帯割合
15,000円以下約20%
15,001〜20,000円約25%
20,001〜25,000円約26%
25,001〜30,000円約17%
30,001円以上約12%

出典: 出入国在留管理庁「技能実習制度及び特定技能制度の現状について」に基づく集計。2022年9月末時点の在留資格申請書類に記載された委託費データ。

ボリュームゾーンは15,000〜25,000円の範囲で、この価格帯に登録支援機関の約半数が集中しています。一方、30,000円を超える機関は約1割にとどまり、月額2〜3万円程度が市場の標準的な水準といえます。

月額が安い機関と高い機関の違い

月額の差が生まれる主な要因は以下の3つです。

  • 対応言語の数: 多言語対応が可能な機関ほど通訳人件費が上乗せされる傾向がある
  • サポート範囲: 義務的支援のみか、生活面での追加サポート(住居手配・病院付き添い等)を含むか
  • 訪問頻度: 最低限の3か月に1回か、月1回以上のきめ細かな訪問を行うか

月額が安い機関が必ずしも品質が低いわけではなく、逆に高額だから安心とも限りません。自社が求めるサポート範囲と、実際に提供される支援内容を照らし合わせて判断することが大切です。

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委託と自社対応の比較|どちらが自社に合うか

特定技能の支援は、必ずしも登録支援機関に委託しなければならないわけではありません。一定の要件を満たす企業であれば、自社で支援を行う「自社支援」も選択肢に入ります。

自社支援が可能な企業の要件

自社で支援計画を実施するには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 直近2年以内に中長期在留者の受入れ実績がある
  • 外国人の生活相談に従事した経験のある役員・職員がいる
  • 支援の実施状況に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上保存する体制がある
  • 支援責任者・支援担当者を選任できる

上記を満たせない場合(初めて外国人を受け入れる企業など)は、登録支援機関への委託が必須です。

委託 vs 自社対応の比較

比較項目登録支援機関に委託自社対応
費用月額2〜3万円/人社内人件費のみ(外部費用なし)
専門知識入管法令に精通した専門スタッフが対応自社で法令知識を習得・維持する必要あり
多言語対応母国語での相談対応が可能な機関が多い社内に外国語対応できる人材が必要
面談の中立性第三者による面談で本音を引き出しやすい雇用主が面談するため率直な意見が出にくい場合も
届出・書類作成代行してもらえる自社で作成・提出
ノウハウ蓄積社内に蓄積しにくい受入れノウハウが自社に残る
トラブル対応経験豊富な機関であれば迅速前例がないと対応に時間がかかる

判断の目安

委託がおすすめのケース: 外国人の受入れが初めて、社内に多言語対応できる人材がいない、法令改正への追従に不安がある。費用はかかるが、法令違反のリスクを大幅に減らせます。

自社対応がおすすめのケース: すでに複数名の外国人を雇用した実績があり、社内に多言語対応可能な担当者がいる。月額費用を削減でき、外国人との距離も近くなります。

費用を抑えるための3つのポイント

1. 複数名まとめて委託する

登録支援機関の多くは、受入れ人数に応じたボリュームディスカウントを設定しています。1名での契約よりも、3名以上や5名以上など複数名を同時に委託した方が1人あたりの月額が下がるケースが一般的です。

2. 初期費用と月額のバランスで比較する

月額が安くても初期費用が高い機関や、逆に初期費用ゼロで月額にすべて含める機関など、料金体系は様々です。1年間のトータルコストで比較すると、本当に安い機関がどこかが見えてきます。

たとえば、初期費用3万円+月額2万円の機関と、初期費用なし+月額2.5万円の機関を1年間で比較すると、前者は27万円、後者は30万円と3万円の差が出ます。

3. 自社でできる業務を切り分ける

登録支援機関によっては、支援の全項目を委託する「フルサポート」と、一部を自社で行い残りを委託する「部分委託」のプランを用意している場合があります。たとえば定期面談は自社で実施し、届出書類の作成と提出のみ委託するといった形です。

ただし、部分委託の場合でも支援計画全体の責任は受入企業にある点は変わりません。切り分け方を誤ると法令上の義務を果たせなくなるリスクがあるため、どの業務を委託するかは登録支援機関と相談の上で決めてください。

登録支援機関を選ぶ際のチェックリスト

費用だけで登録支援機関を選ぶのはリスクがあります。以下の項目を契約前に確認しておくと、後からのトラブルを防げます。

  • 対応言語: 受け入れる外国人の母国語に対応しているか(ベトナム語、インドネシア語、ミャンマー語など)
  • 地域の対応範囲: 自社の所在地へ訪問面談が可能か。オンライン面談のみの機関もある
  • 支援実績: 出入国在留管理庁の登録支援機関登録簿で登録の有無を確認できる
  • 費用の明細: 初期費用・月額・実費の内訳が書面で明示されているか
  • 契約期間と解約条件: 最低契約期間の有無、途中解約時の違約金の有無
  • 緊急時の連絡体制: 休日・夜間のトラブル時に連絡がつく体制があるか
  • 届出・報告の対応: 定期届出の作成・提出を代行してくれるか、テンプレート提供のみか

登録支援機関は全国に11,000以上登録されていますが、稼働実績のある機関はその一部です。登録簿に載っていても実際には支援実績が乏しい機関もあるため、具体的な支援実績や対応事例を確認した上で選定することをおすすめします。

よくある質問

Q. 登録支援機関の月額費用の相場はいくらですか?

A. 出入国在留管理庁の調査によると、特定技能外国人1人あたりの月額支援委託費の平均は約28,000円です。全体の約9割が30,000円以下の範囲に収まっており、15,000〜25,000円の価格帯がボリュームゾーンです。おおむね月額2〜3万円程度が標準的な水準といえます。

Q. 登録支援機関に委託せず自社で支援することは可能ですか?

A. 一定の要件を満たせば可能です。直近2年以内に中長期在留者の受入れ実績があり、生活相談に従事した経験のある役員・職員がいることが主な条件です。初めて外国人を受け入れる企業は、登録支援機関への委託が必要になります。

Q. 初期費用と月額費用の違いは何ですか?

A. 初期費用は受入れ前に1回だけ発生する費用で、事前ガイダンスや生活オリエンテーションの実施費が含まれます。月額費用は毎月の定額委託費で、定期面談や生活相談への対応など継続的な支援に対して支払うものです。

Q. 登録支援機関の費用は外国人本人に負担させられますか?

A. できません。支援に係る費用は受入企業が全額負担する必要があります。外国人本人から支援費用を徴収した場合は法令違反となります。

Q. 2025年4月の届出制度変更は費用に影響しますか?

A. 定期届出が四半期ごと(年4回)から年1回に変更されたため、届出作業の負担は軽減されました。登録支援機関によっては月額費用の見直しにつながる可能性があります。ただし、3か月に1回以上の定期面談義務は従来どおり継続しているため、面談に係るコストは変わりません。

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※ 本記事の内容は2026年3月時点の入管法令に基づきます。制度・手数料は変更される場合があります。最新情報は出入国在留管理庁でご確認ください。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言ではございません。具体的なケースについては専門家へのご相談をおすすめいたします。