農業分野は、特定技能16分野の中で派遣形態での受入れが認められている数少ない分野です。作物の収穫期や定植期など季節によって繁閑差が大きい農業では、繁忙期だけ外国人材を確保する「季節雇用型」と、年間を通じて雇用する「通年雇用型」の2つの選択肢があります。
2024年12月末時点で農業分野の特定技能在留者数は29,331人で、第2期(2024〜2028年度)の受入れ見込数は5年間で78,000人に設定されています(出入国在留管理庁公表値)。年々増加傾向にあり、農業の人手不足対策として特定技能制度の活用が広がっています。
この記事では、農業分野の業務区分や派遣が認められる背景を整理したうえで、季節雇用と通年雇用のメリット・デメリットを比較し、自社に合った受入れ方法を判断するための情報をまとめます。
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特定技能「農業」の業務区分と在留者数
特定技能「農業」の対象業務は、耕種農業全般と畜産農業全般の2つの業務区分に分かれています。
| 業務区分 | 主な業務内容 | 関連業務(従事可能) |
|---|---|---|
| 耕種農業全般 | 栽培管理(種まき・水やり・施肥)、農産物の集出荷・選別 | 製造・加工、運搬、販売、除雪作業 等 |
| 畜産農業全般 | 飼養管理(餌やり・水やり)、畜産物の集出荷・選別 | 製造・加工、運搬、販売、除雪作業 等 |
関連業務(製造・加工、運搬、販売など)にも従事できますが、これらの業務だけに専従させることはできません。あくまで主たる業務である栽培管理や飼養管理が中心となります。
2024年12月末時点の在留者数は29,331人で、全16分野の中で第5位の規模です。第2期(2024〜2028年度)の受入れ見込数は5年間で78,000人と、第1期の36,500人から大幅に拡大されました。
また、2023年6月からは農業分野でも特定技能2号の取得が可能になりました。2号に移行すれば在留期間の更新に上限がなくなり、家族帯同も認められるため、優秀な人材の長期確保につながります。
農業分野特有のルール:派遣形態が認められる理由
特定技能制度では原則として直接雇用が求められますが、農業分野と漁業分野に限り、労働者派遣形態での受入れが例外的に認められています。
派遣が認められる背景
農業は季節によって作業量が大きく変動する産業です。具体的には以下のような事情があります。
- 冬場は天候により農作業ができない地域がある
- 収穫期と閑散期で必要な労働力が数倍異なる場合がある
- 同じ地域でも作物によって繁忙期が異なり、産地間で労働力を融通する必要がある
こうした農業現場のニーズに対応するため、複数の農家や農業法人の間で外国人材を融通できる派遣形態が認められています。
派遣元事業者の要件
農業分野で特定技能外国人を派遣するには、派遣元事業者が以下のいずれかに該当し、かつ法務大臣と農林水産大臣の協議で適切と認められる必要があります。
- 農業または農業関連業務を行っている事業者
- 上記事業者または地方公共団体が資本金の過半数を出資している事業者
- 上記事業者または地方公共団体が業務執行に実質的に関与していると認められる事業者
一般的な人材派遣会社が農業分野の特定技能外国人を派遣できるわけではなく、農業に関わりのある事業者に限定されている点が重要です。
派遣先事業者の要件
派遣先となる農家・農業法人にも以下の条件が課されます。
- 労働・社会保険および租税に関する法令を遵守していること
- 過去1年以内に、同種業務に従事していた労働者を離職させていないこと
- 過去1年以内に、行方不明の外国人を発生させていないこと
- 刑罰法令違反による罰則を受けていないこと
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農業分野の人材について相談する季節雇用 vs 通年雇用の比較と使い分け
農業分野で特定技能外国人を受け入れる方法は、大きく季節雇用(派遣形態)と通年雇用(直接雇用)に分かれます。それぞれの特徴を比較します。
| 項目 | 季節雇用(派遣形態) | 通年雇用(直接雇用) |
|---|---|---|
| 雇用形態 | 労働者派遣 | 直接雇用(フルタイム) |
| 雇用期間 | 繁忙期のみ(数ヶ月単位) | 通年(在留期間中継続) |
| 人件費 | 繁忙期のみの負担で済む | 年間を通じた人件費が発生 |
| 派遣料 | 派遣元への手数料が必要 | なし |
| 人材の定着 | 毎期異なる人材の可能性あり | 長期的な育成・技術継承が可能 |
| 支援義務 | 派遣元が義務的支援を実施 | 受入企業が実施(または登録支援機関に委託) |
| 向いている経営体 | 露地栽培・果樹園など季節変動が大きい経営体 | 施設園芸・畜産など年間を通じて作業がある経営体 |
季節雇用(派遣形態)が向くケース
- 収穫期や定植期など、特定の時期だけ大量の人手が必要な農家
- 冬場に農作業がほぼ停止する北海道や東北地方の露地栽培農家
- 初めて外国人材を受け入れるため、まずは短期間で試したい場合
通年雇用(直接雇用)が向くケース
- ハウス栽培や畜産業など、年間を通じて安定的に作業がある経営体
- 農業技術を継承し、将来的に特定技能2号や管理職として育成したい場合
- 複数の作物を栽培しており、年間を通じて何らかの作業が途切れない場合
なお、派遣形態と直接雇用は排他的ではありません。通年雇用の外国人材を確保しつつ、繁忙期のみ派遣で追加人員を確保するという組み合わせ型の受入れも可能です。
採用条件と試験取得ルート
農業分野で特定技能外国人を受け入れるには、外国人本人が所定の試験に合格しているか、技能実習2号を修了している必要があります。
試験ルート
技能実習経験がない外国人が特定技能「農業」を取得するには、以下の2つの試験に合格する必要があります。
- 農業技能測定試験(「耕種農業全般」または「畜産農業全般」を選択)
- 日本語能力試験 N4以上 または 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)
農業技能測定試験はCBT(コンピューター・ベースド・テスティング)方式で実施され、試験時間は60分です。日本国内のほか、ベトナム・インドネシア・フィリピン・ミャンマー・カンボジア・タイ・ネパールなど13カ国以上で受験できます。
技能実習からの移行ルート
| 移行パターン | 技能試験 | 日本語試験 |
|---|---|---|
| 同一業務区分への移行(例:耕種→耕種) | 免除 | 免除 |
| 異なる業務区分への移行(例:畜産→耕種) | 合格が必要 | 免除 |
| 試験ルート(技能実習経験なし) | 合格が必要 | N4以上 or JFT-Basic |
特定技能2号への移行
農業分野で特定技能2号に移行するには、2号農業技能測定試験に合格し、かつ農業現場での管理者としての2年以上の実務経験または3年以上の実務経験が必要です。2号に移行すれば在留期間の更新に上限がなくなり、家族帯同も認められます。
受入企業側の主な要件
- 日本人と同等以上の報酬・労働条件を保証すること
- 農業特定技能協議会(農林水産省管轄)への加入(入会費・年会費は無料)
- 義務的支援の実施体制を整備すること(自社で行うか登録支援機関に委託)
- 労働基準法・最低賃金法等の法令を遵守していること
農業特定技能協議会への加入は、2024年6月15日以降、在留資格の申請前に完了しておく必要があります。申請から加入通知書の発行まで約2週間かかるため、早めに手続きを進めてください。
受入れのメリットと注意点
農業分野で特定技能外国人を受け入れるメリット
- 深刻な人手不足の解消: 高齢化が進む農業分野で、即戦力となる外国人材を確保できる
- 柔軟な雇用形態: 直接雇用と派遣の両方を選択でき、経営の実態に合わせた人員配置が可能
- 長期的な人材確保: 特定技能2号に移行すれば在留期間の制限なく就労を継続でき、農業技術の継承が可能
- 関連業務への従事: 農産物の加工・販売などにも従事でき、6次産業化に取り組む経営体にも対応
受入れ時の注意点
- 報酬の同等性: 日本人の農業従事者と同等以上の報酬が求められる。最低賃金を上回ることはもちろん、同地域の相場に見合った水準が必要
- 住居の確保: 農村部では外国人が自力で住居を見つけるのが困難なケースが多く、受入企業が住居を手配する場合が多い。家賃を控除する場合は上限がある
- 義務的支援の実施: 事前ガイダンス・出入国時の送迎・生活オリエンテーション・日本語学習支援など10項目の義務的支援が必要。自社で対応が難しい場合は登録支援機関に委託する
- 定期届出の提出: 2025年4月から届出頻度が四半期ごとから年1回に変更されたが、届出そのものは引き続き必要。定期的な面談(3ヶ月に1回以上)も継続
- 農作業以外の業務への従事制限: 関連業務にも従事できるが、主たる業務(栽培管理・飼養管理)が中心であること。関連業務のみに専従させることはできない
よくある質問
Q. 特定技能「農業」では派遣形態で外国人を受け入れられますか?
A. はい、農業分野では直接雇用に加えて派遣形態での受入れが認められています。これは農業と漁業のみに認められた特例です。ただし、派遣元事業者には「農業または農業関連業務を行っている事業者」等の要件があり、一般的な人材派遣会社がそのまま参入できるわけではありません。
Q. 農業分野の技能試験はどのように受験しますか?
A. 農業技能測定試験は「耕種農業全般」と「畜産農業全般」の2区分で実施されます。CBT方式で、試験時間は60分(学科・実技)です。日本国内のほか、ベトナム・インドネシア・フィリピンなど13カ国以上で受験できます。受験資格は17歳以上(インドネシア国籍は18歳以上)です。
Q. 技能実習「農業」から特定技能「農業」への移行に試験は必要ですか?
A. 同一業務区分(耕種→耕種、畜産→畜産)で技能実習2号を良好に修了していれば、技能試験・日本語試験ともに免除されます。異なる業務区分への移行では技能試験の合格が必要ですが、日本語試験は免除されます。
Q. 農業分野で特定技能2号は取得できますか?
A. はい、2023年6月から農業分野でも特定技能2号の取得が可能になりました。2号農業技能測定試験に合格し、管理者としての2年以上の実務経験または3年以上の実務経験があれば移行できます。2号は在留期間の更新に上限がなく、家族帯同も認められます。
まとめ
農業分野の特定技能外国人受入れにおいて押さえるべきポイントを整理します。
- 業務区分は耕種農業全般と畜産農業全般の2区分。関連業務(加工・販売等)にも従事可能
- 農業分野では派遣形態での受入れが認められており、季節雇用と通年雇用を使い分けられる
- 派遣元事業者は農業関連業務を行う事業者等に限定されている
- 技能実習2号を同一業務区分で修了していれば、技能試験・日本語試験ともに免除で移行可能
- 2023年6月から特定技能2号にも移行可能。長期的な人材確保の道が開けた
- 受入れ見込数は第2期(2024〜2028年度)で78,000人と大幅に拡大
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農業分野の人材採用について相談する(無料)※ 本記事の内容は2026年3月時点の入管法令に基づきます。制度・手数料は変更される場合があります。最新情報は出入国在留管理庁でご確認ください。
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