介護分野の特定技能外国人は2024年12月末時点で44,367人に達し、前年比約56%の増加ペースで拡大しています(出入国在留管理庁公表値)。第2期の受入れ見込数は5年間で最大135,000人と、全分野でも最大級の枠が設けられています。
しかし、介護分野には他の分野にない独自の要件があります。通常の日本語試験に加えて「介護日本語評価試験」への合格が必須であり、この試験の合格率は国内で約52%と最大のハードルになっています。企業が外国人介護人材を確保するには、こうした条件を正確に把握しておくことが欠かせません。
この記事では、以下のポイントに焦点を絞って解説します。
- 特定技能「介護」を取得する4つのルートとその比較
- 介護技能評価試験・介護日本語評価試験の内容と合格率データ
- 制度上の日本語要件(N4)と介護現場で実際に求められる日本語力のギャップ
- 介護福祉士取得による永続的な在留への道筋
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特定技能「介護」を取得する4つのルート
特定技能「介護」の在留資格を取得するには、大きく分けて4つのルートがあります。企業が採用する際には、候補者がどのルートに該当するかによって必要な手続きや期間が異なります。
| ルート | 技能試験 | 日本語試験 | 介護日本語試験 | 所要期間の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 1. 試験合格 | 必要 | N4以上 or JFT-Basic | 必要 | 3〜6ヶ月 |
| 2. 技能実習「介護」から移行 | 免除 | 免除 | 免除 | 最短で移行手続きのみ |
| 3. EPA介護福祉士候補者から切替 | 免除 | 免除 | 免除 | EPA在留中に切替 |
| 4. 介護福祉士養成施設の修了 | 免除 | 免除 | 免除 | 養成施設の修了後 |
ルート1 — 試験合格(最も一般的)
介護技能評価試験、日本語能力試験(N4以上またはJFT-Basic)、介護日本語評価試験の3つに合格する必要があります。介護分野特有の点として、通常の日本語試験に加えて介護専門の日本語試験が課される点が挙げられます。
ルート2 — 技能実習「介護」からの移行
技能実習2号「介護」を良好に修了した場合、3つの試験がすべて免除されます。「良好に修了」とは、技能実習を2年10ヶ月以上実施し、技能検定3級またはこれに相当する技能実習評価試験に合格(もしくは評価調書あり)していることを意味します(出典:厚生労働省)。
ルート3・4 — EPA候補者または養成施設修了者
EPA(経済連携協定)に基づく介護福祉士候補者として在留していた方や、介護福祉士養成施設を修了した方も、試験免除で特定技能「介護」に移行できます。ただし、EPAルートはインドネシア・フィリピン・ベトナムの3か国に限定されている点に注意が必要です。
介護分野の試験内容と合格率
試験ルートで特定技能「介護」を取得する場合、3つの試験への合格が必要です。なかでも介護日本語評価試験の合格率が最も低く、採用のボトルネックになっています。
3つの試験の概要
| 試験名 | 問題数 | 時間 | 合格基準 | 受験料 |
|---|---|---|---|---|
| 介護技能評価試験 | 45問(学科40問+実技5問) | 60分 | 総得点の60%以上 | 1,000円 |
| 介護日本語評価試験 | 15問(介護のことば5問+会話・声かけ5問+文書5問) | 30分 | 総得点の73%以上 | 1,000円 |
| 日本語能力試験(JLPT) | N4以上 | — | 各級の合格基準 | 7,500円 |
介護技能評価試験は13言語で受験可能ですが、介護日本語評価試験は日本語のみで実施されます。
合格率データ — 介護日本語評価試験が最大のハードル
| 試験 | 日本国内 | インドネシア | フィリピン |
|---|---|---|---|
| 介護技能評価試験 | 72.2% | 86.6% | 86.6% |
| 介護日本語評価試験 | 52.1% | 75.2% | 47.9% |
介護技能評価試験は国内でも7割以上、海外では8割超が合格しています。一方、介護日本語評価試験は国内でも約52%、フィリピンでは約48%と合格率が大きく下がります。介護現場特有の専門用語や声かけ表現が出題されるため、一般的な日本語力だけでは対応しにくいことがこの数字に表れています。
企業が候補者を選定する際は、介護日本語評価試験の合格状況を重点的に確認することが重要です。
日本語レベルの要件と介護現場のリアル
特定技能「介護」の制度上の日本語要件はJLPT N4以上(または JFT-Basic A2以上)です。N4は「基本的な日本語を理解することができる」レベルとされていますが、介護現場で実際に求められる日本語力とは差があります。
制度上のN4と現場で必要な日本語力のギャップ
| 場面 | N4レベルで対応可能か | 実務上の目安 |
|---|---|---|
| 利用者への声かけ・挨拶 | 概ね可能 | N4〜N3 |
| 介護記録の作成 | 困難なことが多い | N3〜N2 |
| 申し送り(口頭) | 困難なことが多い | N3〜N2 |
| 利用者の家族との対話 | 限定的に可能 | N3以上 |
| 緊急時の報告・連絡 | 基本的な報告は可能 | N3以上 |
N4は制度上の「入口」としての位置づけであり、介護記録の作成や申し送りといった日常業務にはN3〜N2程度の日本語力が実務上求められるケースが多いのが現実です。
入職後の日本語教育が定着率を左右する
介護分野は他の特定技能分野と比べて「介護日本語評価試験」という独自の試験が課されるほど、専門的な日本語力が重視されています。入職後に日本語力が伸びず業務に支障が出ると、早期離職につながるリスクがあります。
義務的支援の一環として「日本語学習の機会の提供」が求められていますが、それに加えて介護用語の社内研修や日本語教室の費用補助など、企業独自の取り組みが定着率向上の鍵となります。
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外国人採用の費用シミュレーションを依頼する介護福祉士までのキャリアパス|永続的な在留への道
介護分野には特定技能2号の区分がありません。その代わり、介護福祉士の国家資格を取得して在留資格「介護」に変更するという独自のキャリアパスが用意されています。
特定技能1号から介護福祉士へのステップ
- 特定技能1号で就労(最長5年間)
- 実務経験3年以上を積む(介護施設での従事期間)
- 介護福祉士国家試験に合格する
- 在留資格「介護」に変更する
在留資格「介護」のメリット
| 項目 | 特定技能1号 | 在留資格「介護」 |
|---|---|---|
| 在留期間 | 通算5年まで | 上限なし(更新可能) |
| 家族帯同 | 不可 | 可能(配偶者・子) |
| 義務的支援 | 必要 | 不要 |
| 転職 | 同一分野内で可能 | 介護業務内で自由 |
在留資格「介護」は在留期間に上限がなく、家族帯同も認められるため、他分野の特定技能2号と同等以上の待遇です。企業にとっても、長期的に育成した介護人材が定着するメリットは大きく、採用時から介護福祉士取得を見据えたキャリアプランの提示が人材確保の差別化要因になります。
なお、2025年4月21日からは特定技能外国人の訪問介護への従事も解禁されています。介護職員初任者研修の修了と介護施設での実務経験1年以上が条件です(出典:厚生労働省)。
よくある質問
Q. 介護日本語評価試験とJLPT N4は何が違いますか?
A. JLPT N4は汎用的な日本語能力を測る試験です。介護日本語評価試験は「体位変換」「清拭」など介護現場の専門用語、利用者への声かけ表現、介護記録の読み書きに特化した試験です。特定技能「介護」では両方の合格が求められます。
Q. 技能実習からの移行で「良好に修了」とはどういう意味ですか?
A. 技能実習を2年10ヶ月以上実施し、技能検定3級(またはこれに相当する技能実習評価試験)に合格していること、もしくは実習実施者の評価調書があることを意味します。技能実習2号「介護」を良好に修了すると、3つの試験すべてが免除されます。
Q. 介護分野に特定技能2号はありますか?
A. 介護分野には2号の区分がありません。代わりに、介護福祉士国家試験に合格して在留資格「介護」に変更する道筋があります。在留期間の上限がなく家族帯同も可能なため、実質的に2号と同等以上です。
Q. 介護技能評価試験は何語で受けられますか?
A. 日本語を含む13言語(英語・ベトナム語・インドネシア語・クメール語・中国語・ミャンマー語・モンゴル語・タイ語・ネパール語・ウズベク語・ベンガル語・ウルドゥー語)で受験できます。ただし、介護日本語評価試験は日本語のみです。
Q. 採用後に日本語力が不足している場合はどうすればよいですか?
A. 義務的支援として「日本語学習の機会の提供」が求められていますが、それに加えて介護用語の社内研修やオンライン学習ツールの導入が効果的です。N4は入口としての要件であり、介護記録や申し送りにはN3以上が必要になることが多いため、入職後の継続的な日本語教育が定着率を左右します。
まとめ
介護分野の特定技能外国人を採用する際のポイントを整理します。
- 取得ルートは4つあり、技能実習「介護」からの移行では3試験すべてが免除される
- 介護日本語評価試験の合格率は国内約52%で、採用の最大のハードル
- 制度上の要件はN4だが、介護記録・申し送りにはN3以上が実務的に必要
- 介護福祉士を取得すれば在留期間の上限がない「在留資格『介護』」に移行可能
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まずは無料相談で採用計画を相談する※ 本記事は2026年3月時点の法令・制度に基づいて執筆しています。介護分野の最新情報は厚生労働省および出入国在留管理庁の公式サイトをご確認ください。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言を構成するものではありません。具体的な採用計画については専門家にご相談ください。