外国人を募集しても応募が来ない理由|求人設計の見直し方

「求人は出しているのに、外国人からの応募が一件も来ない」。中小企業の採用担当者から寄せられる相談で、もっとも多いのがこの形です。募集要項を書き直し、賃金を数万円上げ、写真を差し替えても反応が変わらない。そこで「うちは知名度がないから仕方ない」と結論づけてしまう企業は少なくありません。

しかし応募が来ない原因は、企業の魅力そのものより、求人が候補者に届く経路と応募条件の設計にあることが多いものです。厚生労働省の集計では、外国人労働者数は令和7年10月末時点で257万1,037人、外国人を雇用する事業所数は37万1,215所と、いずれも届出が義務化された平成19年以降で過去最多を更新しました。母集団が増え続けているなかで反応がないのであれば、市場ではなく自社の設計を疑うほうが筋が通ります。

以下では、募集が空振りに終わる構造的な要因を、求人の導線・応募条件・訴求内容・選考速度・募集時期・送り出し国側の事情という角度から点検していきます。

応募が来ない求人の多くは、そもそも候補者の視界に入っていない

最初に疑うべきは求人票の中身ではなく、その求人がどこに置かれているかです。日本人向けに運用してきた媒体へ日本語のまま掲載し、掲載面だけを増やしても、外国人求職者の目に触れる量はほとんど変わりません。求職者が仕事を探す場所は、日本人と同じとは限らないからです。

日本国内に住む外国人材の場合、情報の入口は母語のコミュニティ、SNSのグループ、同国出身者からの紹介、母語対応の求人サービスに分散します。公的な窓口としては、厚生労働省が東京・名古屋・大阪・福岡の4か所に外国人雇用サービスセンターを設置しており、通訳や外国人雇用管理アドバイザーを配置したうえで、留学生向けの就職ガイダンスや面接会、職業相談・職業紹介を行っています。ハローワークに求人を出していても、こうした専門窓口の存在を前提に条件を整えていなければ、紹介の対象として拾われにくくなります。

検索されている言葉と、求人票に書いている言葉がずれている

求人の見出しが「製造スタッフ/正社員/未経験歓迎」だけで構成されている場合、候補者が実際に打ち込む「特定技能 食品 求人」「技人国 就職 名古屋」といった語とかみ合いません。在留資格名や分野名は、候補者にとって自分が応募できるかどうかを判断する第一のフィルターであり、これが書かれていない求人は読み飛ばされます。

求人票の日本語が、想定している日本語能力より難しい

「日本語能力試験N4程度」と条件に書きながら、本文には敬語表現・業界用語・熟語の多い文章が並んでいる求人は珍しくありません。応募条件で示した水準の読み手が読み通せない文章であれば、条件を満たす人ほど離脱します。やさしい日本語で書き直す、ふりがなを振る、要点を箇条書きにする、母語版を併記するといった対応は、翻訳費用をかけずにできる範囲でも効果があります。

なお、建設業務に就く職業については、職業安定法第32条の11第1項により、有料職業紹介事業者が求職者に紹介することが原則として認められていません(港湾運送業務も同様です)。例外として、建設労働者の雇用の改善等に関する法律第18条第1項の許可を受けた認定団体が認定計画に従って行う建設業務有料職業紹介事業がありますが、通常の有料職業紹介事業者はこれに該当しません。建設分野は求人の流通経路そのものが他分野と異なるため、同じ感覚で媒体を選ぶと届かないのは当然という前提を持つ必要があります。

日本語要件を過度に高く設定していないか

応募条件のうち、母集団をもっとも大きく削るのが日本語要件です。「日本語堪能な方」「N2以上必須」と書いた時点で、対象となる人数は大きく絞られます。しかも、その水準が業務上本当に必要かどうかを検証したうえで設定している企業は多くありません。

制度上の目安を押さえておくと判断しやすくなります。特定技能1号の日本語要件は、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)で判定区分A2(2026年8月以降の表示ではA2.2=200点以上)に達していること、または日本語能力試験(JLPT)N4以上とされており、介護分野のように分野固有の日本語試験が加わるものもあります。なお2026年8月からJFT-Basicの結果表示はA1(145〜174点)・A2.1(175〜199点)・A2.2(200〜250点)に細分化されており、A1・A2.1の判定では特定技能1号の日本語要件を満たしません。つまり、特定技能で受け入れる前提の求人にN2を課すのは、制度が求める水準を大きく上回る条件を自ら追加していることになります。

「必要な日本語」を業務場面に分解する

日本語要件は、級ではなく場面で分解すると設計しやすくなります。作業指示を理解する、安全に関わる注意を聞き取る、異常やミスを報告する、社内の連絡事項を読む、顧客と直接応対する——これらは必要な水準がそれぞれ異なります。顧客対応と書面作成が中心の職種であれば高い要件にも合理性がありますが、作業と報告が中心の職種であれば、要件を下げたうえで入社後の日本語学習支援を訴求側に回したほうが、結果として定着する人材に出会えます。

要件を下げる代わりに現場側の仕組みを整える

日本語要件を緩めるのであれば、指示書のやさしい日本語化、写真や図を使った作業手順書、翻訳アプリの利用可否、日本語が得意な先輩社員の配置といった受け入れ側の準備が対になります。求人票にこの準備を書けば、それ自体が「日本語に不安があっても働ける職場」という明確な訴求になり、条件を下げたことが単なる妥協ではなくなります。

在留資格の理解不足で、応募できない人に向けて求人を出している

求人は出ているが、そもそも応募できる在留資格の人がほとんどいない——これも典型的な空振りの形です。外国人材は一律ではなく、在留資格ごとに就ける仕事の範囲が決まっており、範囲から外れた業務内容の求人には、条件面がどれだけ良くても応募が集まりません。

とくに誤解が多いのが「技術・人文知識・国際業務」です。この在留資格は、理学・工学その他の自然科学の分野、法律学・経済学・社会学その他の人文科学の分野に属する技術または知識を要する業務、あるいは外国の文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務に従事する活動を対象としています。該当例として出入国在留管理庁が挙げているのは、機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、私企業の語学教師、マーケティング業務従事者等です。現場作業が中心の求人をこの在留資格の前提で出しても、対象者は応募できません。

在留資格就労の範囲募集時に見落としやすい点
特定技能1号分野別に定められた業務区分の範囲内(2026年1月23日の閣議決定で対象は19分野に拡大。ただし追加された3分野〔リネンサプライ・物流倉庫・資源循環〕は技能測定試験等の整備中で、受入れ開始は2027年以降の予定。現時点で実際に受入れ可能なのは従来の16分野)分野別の技能試験と日本語試験の合格、または技能実習2号の良好修了などのルートが必要。業務区分から外れる仕事が中心だと応募対象にならない
技術・人文知識・国際業務自然科学・人文科学の技術または知識を要する業務、外国文化に基盤を有する思考・感受性を要する業務大学等の卒業または実務経験(自然科学・人文科学分野は原則10年、外国文化に基盤を有する業務は3年以上)が必要。ただし翻訳・通訳・語学の指導に係る業務は、大学を卒業した者であれば3年の実務経験は不要。情報処理分野は法務大臣が告示で定める試験の合格で学歴・実務経験の要件によらない扱いがある
技能実習(2027年4月1日に育成就労制度へ移行予定)認定を受けた計画に基づく活動一般の求人媒体で広く応募を募る形にはなじまない。制度移行の時期を前提に受入れ計画を立てる必要がある
留学資格外活動許可の範囲内でのアルバイト(原則週28時間以内)フルタイム正社員の募集にはそのままでは応募できない。卒業時期に合わせた在留資格変更を前提とした設計が必要
永住者・日本人の配偶者等・定住者 等就労に制限がない経験も日本語力も多様で、求人設計次第でもっとも届きやすい層。在留カードで在留資格と期限を確認する

求人票の段階で「対象となる在留資格」を明記すると、応募者側の自己判断が働き、無駄な応募と無駄な書類選考の両方が減ります。逆に書かないでおくと、応募できる人が自分は対象外だと誤解して離脱し、応募できない人からの応募だけが残るという最悪の組み合わせが起こります。

賃金以外の訴求が抜け落ちている

賃金を上げても応募が増えない場合、比較の土俵が賃金ではないことを疑ってください。来日直後、あるいは転職直後の外国人材にとって、賃金と同じかそれ以上に重いのは、住むところが確保できるか、困ったときに母語で相談できるか、この先どうキャリアが続くかという三点です。

住居

外国人が民間の賃貸物件を借りる際、保証人や初期費用が壁になることは広く指摘されています。特定技能1号では、受入れ機関が実施すべき義務的支援のひとつに住居の確保に係る支援が位置づけられており、社宅の提供や保証人となることなどが想定されています。社宅の有無、家賃の目安、初期費用の負担区分、家具家電の有無を求人票に書けるかどうかで、応募のハードルは大きく変わります。

支援体制

特定技能1号の義務的支援には、事前ガイダンス、出入国時の送迎、住居確保・生活に必要な契約の支援、生活オリエンテーション、公的手続への同行、日本語学習の機会の提供、相談・苦情への対応、日本人との交流促進、転職支援(受入れ機関の都合による人員整理等で雇用契約を解除する場合)、定期的な面談・行政機関への通報の10項目が含まれます。これらを自社で完結できない場合は登録支援機関へ委託する形になり、月額の支援委託費は平均約2〜3万円程度とされています。求人票に「支援機関による母語の相談窓口あり」と一行入れるだけでも、候補者から見た安心感は変わります。

キャリアパス

「何年働けるのか」「その先どうなるのか」が見えない求人は選ばれにくくなります。特定技能2号への移行可能性がある分野なのか、正社員登用の制度があるのか、資格取得の費用補助があるのか、母国への一時帰国はどの程度取れるのか。こうした情報は制度の説明ではなく、自社で提供できる条件として具体的に書いてこそ訴求になります。

あわせて確認しておきたいのが労働条件の明示です。2024年4月からは、求人申込みの際に、従事すべき業務の変更の範囲、就業場所の変更の範囲、有期労働契約を更新する場合の基準を明示することが求められています。この欄が空欄や曖昧な表現のままだと、条件が良くても不信の材料になります。

選考スピードの遅さが、そのまま辞退につながっている

応募はあったが返信を待つ間に他社で決まってしまった——集計上は「応募ゼロ」と区別されるものの、企業側の体感としては同じ結果になります。外国人採用の現場では複数社に同時に応募することが一般的で、最初に具体的な話まで進んだ企業が選ばれやすい構造があります。

止まりやすいのは、社内の待ち時間

選考が遅れる原因は、面接そのものより前後の待ち時間にあります。応募通知が採用担当の受信箱に埋もれる、通訳の手配に数日かかる、面接日程を決めるのに役員のスケジュール調整が必要、内定の可否に複数階層の決裁が挟まる、雇用条件の母語版を作るのに時間がかかる。一つひとつは小さくても、積み重なれば候補者は他社へ流れます。

先に決めておくべき運用

  • 一次連絡の期限をあらかじめ決め、担当者不在時の代替者も決めておく
  • 面接はオンラインを標準とし、海外在住者を想定する場合は時差を踏まえた時間帯を用意する
  • 通訳が必要な言語をあらかじめ想定し、手配ルートを確保しておく
  • 面接回数と決裁ラインを設計段階で削り、その場で条件提示できる範囲を決裁者と合意しておく
  • 雇用条件書は母語併記のひな形を先に用意し、内定後すぐ渡せる状態にしておく

選考スピードは、賃金を上げるよりも早く、費用をかけずに改善できる要素です。応募が来ない原因を求人票に求めて何度も書き直すより、応募が来た後の社内フローを一度分解してみたほうが、改善の効果が早く出ることは少なくありません。

募集時期が、試験日程や在留手続きのサイクルとずれている

「4月入社で募集したのに誰も応募してこない」という場合、その時期に応募条件を満たしている候補者が母集団として存在していない可能性があります。外国人採用は、日本語試験・技能試験・在留資格手続きという三つのサイクルの上に成り立っており、これらを見ずに入社時期を先に決めると空振りになります。

確認すべきサイクル時期・頻度の考え方募集設計への影響
日本語能力試験(JLPT)年2回(7月・12月)実施。海外では都市により年1回のみの実施結果が判明するまで要件を満たさない候補者がいる。N4以上を必須にすると募集が受験サイクルに縛られる
国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)コンピューターを使った方式で年間複数回実施。2026年8月からはA2(A2.2)に加えA1・A2.1の判定も表示される特定技能1号の日本語要件を満たす手段として時期の自由度が高い。ただし要件を満たすのはA2.2(200点以上)のみで、A1・A2.1の判定では不足。要件をJLPTのみに限定しない書き方が有効
分野別の技能測定試験分野・実施団体ごとに日程と実施国が異なる分野の試験日程を確認せずに入社時期を決めると、条件を満たす候補者が存在しない期間に募集をかけることになる
在留資格の手続き認定証明書交付申請、査証申請、入国という工程を順に踏む必要がある海外在住者を採用する場合、内定から就労開始までに一定の期間が必要。逆算せずに求人票へ入社日を書くと辞退の原因になる

国内在住で就労可能な在留資格を持つ人を対象にするのか、海外から新たに呼び寄せるのかで、必要な逆算の長さはまったく変わります。前者は通年で募集が成立しやすい一方、後者は試験と手続きのサイクルに合わせて数か月単位で計画する必要があります。求人票に「入社時期は相談可」と書けるかどうかだけでも、応募のしやすさは変わってきます。

制度面では、技能実習制度に代わる育成就労制度が2027年4月1日に施行される予定です。受入れの中心が段階的に移っていくため、2026年から2027年にかけては、どの制度を前提に人員計画を立てるかで募集の設計自体が変わります。

送り出し国側の事情を見ずに条件を決めていないか

海外から人材を迎える場合、応募が集まるかどうかは日本側の条件だけで決まりません。候補者の出身国では、自国政府の手続や認定を受けた機関の関与が必要になることがあり、そこを無視した募集は現地で流通しません。

出入国在留管理庁は、特定技能制度の適正な運用のため、送り出し国との間で二国間の協力覚書(MOC)を作成しています。フィリピン、カンボジア、ネパール、ミャンマー、モンゴル、スリランカ、インドネシア、ベトナム、バングラデシュ、ウズベキスタン、パキスタンなどが対象として公表されており、国によって求められる手続の内容は異なります。たとえばベトナムでは、自国の制度上、認定を受けた送出機関を経由する運用がとられています。「現地で直接募集すれば早い」と考えて自己流で進めると、手続の要件を満たせず話が止まります。

日本は競合先の一つにすぎない

送り出し国側から見れば、就労先の選択肢は日本だけではありません。韓国、台湾、オーストラリア、中東諸国などが同じ人材層を対象に募集をかけており、賃金水準や為替の動向、渡航にかかる費用、家族の帯同可否などを比較して行き先が選ばれます。日本国内の相場感だけで賃金を設定した求人が現地で反応を得られないのは、この比較の中に置かれているためです。

候補者が負担する費用が、応募と定着の両方を左右する

渡航前に多額の費用や借入を負担した候補者ほど、来日後に条件の良い職場へ移る動機が強くなることは、制度の議論のなかでも繰り返し指摘されてきた構造要因です。裏を返せば、候補者側の費用負担が小さいルートを確保できる企業は、応募の集まりやすさと定着の両面で有利になります。紹介の経路にどれだけの中間手数料が挟まっているのかは、企業側が確認すべき点のひとつです。

株式会社TreeGlobalPartnersは有料職業紹介事業(許可番号 13-ユ-317879)として外国人材のご紹介を行っており、在留資格申請や特定技能の登録支援業務は、グループ企業である行政書士法人Tree(登録支援機関)が対応します。

応募が来ない求人を立て直す点検手順

原因は一つに絞れないことがほとんどです。求人票を書き直す前に、順序を決めて点検したほうが早く結論にたどり着きます。

  1. 自社の業務内容を書き出し、どの在留資格の人が就ける仕事なのかを特定する。特定技能であれば分野と業務区分まで突き合わせる
  2. 応募条件に書いた日本語要件が、業務場面から見て過剰でないかを検証する。制度上の要件(JFT-BasicのA2.2判定またはJLPT N4以上)との差を確認する
  3. 求人を掲載している媒体と経路を洗い出し、対象とする在留資格の人が実際に見る場所に置かれているかを確認する。外国人雇用サービスセンターなど公的窓口の活用も検討する
  4. 求人票の日本語を、条件として示した日本語能力の人が読み通せる水準に書き直す。在留資格名・分野名を見出しに入れる
  5. 住居・支援体制・キャリアパスを、自社が提供できる範囲で具体的に書き足す。あわせて業務・就業場所の変更の範囲、更新基準の明示欄を埋める
  6. 応募受付から内定通知までの社内フローを分解し、待ち時間が発生する箇所と決裁ラインを削る
  7. 対象とする試験の実施日程と在留手続きの工程から逆算し、入社時期と募集開始時期を決め直す

この順序には理由があります。1と2で母集団の大きさが決まり、3と4で求人が届くかどうかが決まり、5で他社と比較されたときの位置が決まり、6と7で取りこぼしを防ぐ。上流を放置したまま下流だけを直しても、応募数は動きません。

点検の結果、「そもそも自社の業務内容では対象となる在留資格が限られる」という結論に至ることもあります。その場合は、募集を続けるより、業務の切り分けを変える、受入れの枠組みを見直す、といった判断のほうが現実的です。求人票を10回書き直すより、対象を正しく定義し直すほうが結果は早く出ます。

よくある質問

Q. 求人に「日本語能力試験N2以上」と書くのは避けたほうがよいのでしょうか。

A. 避けるべきというより、その水準が本当に業務上必要かを検証したうえで決めるべき条件です。特定技能1号の日本語要件は、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)で判定区分A2(2026年8月以降の表示ではA2.2=200点以上)に達していること、または日本語能力試験N4以上とされており、N2はこれよりかなり高い水準にあたります。なお2026年8月からJFT-Basicの結果表示はA1(145〜174点)・A2.1(175〜199点)・A2.2(200〜250点)に細分化されており、A1・A2.1の判定では特定技能1号の日本語要件を満たしません。日本語能力試験は年2回(7月・12月)の実施で、海外では都市によって年1回のみの実施となるため、高い級を必須にするほど「条件を満たした状態で応募できる人」が限られます。顧客対応や書面作成が中心の職種であれば高い要件にも合理性がありますが、作業指示の理解と報告が中心の職種であれば、要件を下げたうえで入社後の日本語学習支援を訴求に回したほうが母集団は広がります。

Q. 特定技能で募集しているのに応募がゼロです。分野の選び方が間違っている可能性はありますか。

A. 分野そのものより、分野の中の「業務区分」と自社の仕事内容がずれているケースがよくあります。特定技能は分野ごとに従事できる業務の範囲が定められており、区分から外れる業務が中心の求人は、試験に合格した候補者から見ると応募対象になりません。2026年1月23日の閣議決定で新たに3分野(リネンサプライ・物流倉庫・資源循環)の追加が決まり対象は19分野となりましたが、追加された3分野は技能測定試験等の整備中で受入れ開始は2027年以降の予定とされており、現時点で実際に受入れ可能なのは従来の16分野です。現時点で募集をかけても母集団が存在しない分野がある点に注意してください。募集前に、分野別運用方針と業務区分に自社の作業内容を突き合わせてください。

Q. 建設業ですが、人材紹介で外国人を採用できますか。

A. 建設業務に就く職業については、職業安定法第32条の11第1項により、有料職業紹介事業者が求職者に紹介することが原則として認められていません(港湾運送業務も同様です)。例外として、建設労働者の雇用の改善等に関する法律第18条第1項の許可を受けた認定団体が認定計画に従って行う建設業務有料職業紹介事業がありますが、通常の有料職業紹介事業者はこれに該当しません。したがって株式会社TreeGlobalPartnersが建設業務の人材をご紹介することはできず、この分野は求人媒体や採用手法そのものが他分野と異なります。建設分野で外国人材を受け入れる場合は、直接採用や制度に応じた受入れ枠組みを検討することになります。採用が決まった後の在留資格申請や特定技能の支援体制については、グループ内の行政書士法人Tree(登録支援機関)が対応します。

Q. 求人票に住居や支援体制まで書く必要がありますか。

A. 法令上の必須記載事項ではありませんが、応募判断に直結する情報です。特定技能1号では、受入れ機関が実施すべき義務的支援に住居確保・生活に必要な契約の支援や生活オリエンテーション、相談・苦情への対応などが含まれており、候補者側もこれらが整っている前提で企業を比較します。求人票に「社宅あり」「保証人の相談可」「支援機関による母語相談窓口あり」といった記載がないと、条件が同等の他社と並んだときに選ばれにくくなります。なお、2024年4月からは求人申込み時に就業場所・従事すべき業務の「変更の範囲」や有期労働契約の更新基準の明示が求められており、この欄が曖昧な求人は不信感につながりやすい点にも注意が必要です。

Q. 採用が決まった後のビザ手続きは誰に依頼すればよいですか。

A. 在留資格認定証明書交付申請や在留資格変更許可申請などの手続は、行政書士等の資格を持つ専門家に依頼するのが一般的です。株式会社TreeGlobalPartnersは有料職業紹介(許可番号 13-ユ-317879)を行う会社であり、ビザ申請や特定技能の登録支援業務は自社では行いません。これらはグループ企業である行政書士法人Tree(登録支援機関)が対応します。人材のご紹介から在留資格手続き、受入れ後の支援体制までを一つの窓口でご相談いただけます。

まとめ

外国人からの応募が来ないとき、原因は企業の魅力ではなく求人の置き場所にあることが多いといえます。求職者の情報入口は母語コミュニティやSNS、公的な外国人雇用サービスセンターなどに分散しており、日本人向けの媒体に日本語のまま掲載しているだけでは、そもそも視界に入りません。在留資格名や分野名を見出しに入れ、条件として示した日本語能力の人が読み通せる文章に書き直すことが出発点になります。

応募条件の設計が母集団を削っている場合も少なくありません。特定技能1号の日本語要件はJFT-BasicのA2判定(2026年8月以降の表示ではA2.2=200点以上)またはJLPT N4以上であり、ここにN2を課すのは制度が求める水準を大きく上回る条件を自ら追加している状態です。あわせて、業務内容に対してどの在留資格の人が応募できるのかを特定しないまま募集すると、応募できない層にだけ求人が届くという事態が起こります。

賃金を上げても反応が変わらないなら、比較の土俵が賃金ではない可能性を疑ってください。住居の確保、母語で相談できる支援体制、その先のキャリアパスは、来日直後・転職直後の候補者にとって賃金と同等以上に重い判断材料です。特定技能1号の義務的支援や、2024年4月から求められている業務・就業場所の変更の範囲の明示も、求人票の説得力に直結します。

時間軸のずれも見落とされがちです。日本語能力試験は年2回、分野別の技能試験は分野ごとに日程が異なり、海外在住者を採用する場合は在留資格の手続きにも工程が必要になります。入社時期を先に決めてから逆算しないと、条件を満たす候補者が存在しない期間に募集をかけることになりかねません。育成就労制度が2027年4月1日に施行予定である点も、中期の人員計画に影響します。

株式会社TreeGlobalPartnersは、有料職業紹介事業(許可番号 13-ユ-317879)として外国人材のご紹介を行っています。求人設計の見直しや候補者との条件の擦り合わせについてご相談ください。採用決定後の在留資格申請および特定技能の登録支援業務は、グループ企業である行政書士法人Tree(登録支援機関)が対応します。

※ 本記事は執筆時点(2026年8月)の法令・公表資料にもとづく一般的な情報提供であり、個別の採用可否や在留資格の該当性を保証するものではありません。制度の内容や試験の実施日程は改正・変更されることがあるため、実際のご判断にあたっては出入国在留管理庁・厚生労働省等の最新の公表情報をご確認ください。在留資格申請および特定技能の登録支援業務は、グループ企業である行政書士法人Tree(登録支援機関)が対応します。株式会社TreeGlobalPartnersが行うのは有料職業紹介事業(許可番号 13-ユ-317879)であり、建設業務に就く職業の紹介は職業安定法第32条の11第1項により行っておりません。税務・社会保険の個別手続については税理士・社会保険労務士にご確認ください。