外国人の採用を検討している企業にとって、活用できる助成金・補助金の全体像を把握しておくことは、採用コスト管理の観点から重要です。ただし、制度の内容は毎年度変わることがあり、特に2026年度(令和8年度)時点で確認すべき制度変更があります。
本記事では、2026年4月時点の情報をもとに国が提供する主要制度を整理し、申請の流れや注意点を解説します。金額・要件については公式の最新情報を必ず確認することを前提として、確認できた数値のみを記載しています。
制度変更について(2026年4月時点)
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)は、令和7年4月以降の計画提出分から定額方式に変更されています。旧制度(令和6年度:賃金要件を満たす場合は支給対象経費の2/3・上限72万円、賃金要件なしの場合は1/2・上限57万円)の金額は現在適用されません。最新の支給要領は厚生労働省公式ページでご確認ください。
外国人採用で使える助成金の全体像
外国人を採用・雇用する企業が対象となり得る主な助成金・補助金は、大きく「就労環境整備」「試行雇用」「キャリアアップ」の3つのカテゴリに分かれます。
| 制度名 | 所管省庁 | 目的 | 2026年度の目安 |
|---|---|---|---|
| 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース) | 厚生労働省 | 外国人の就労環境整備 | 1措置20万円・上限80万円(定額) |
| トライアル雇用助成金(一般トライアルコース) | 厚生労働省 | 就職困難者の試行雇用促進 | 月額4万円×最大3か月 |
| キャリアアップ助成金(正社員化コース) | 厚生労働省 | 非正規→正規転換 | 技能実習生・特定技能1号は対象外 |
| 業務改善助成金 | 厚生労働省 | 最低賃金引上げ + 設備投資 | 詳細は各省庁の公式ページを参照 |
| 都道府県・市区町村の独自補助金 | 各自治体 | 外国人受入れ支援・多言語対応等 | 自治体により異なる |
在留資格の種別によって対象・非対象が変わる制度もあるため、自社が雇用する外国人の在留資格を確認した上で、適用できる制度を絞り込む必要があります。
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
外国人採用に最も直結した国の助成金です。外国人労働者が働きやすい職場環境の整備を目的とし、一定の措置を導入した事業主に対して支給されます。
2026年4月時点で有効な制度変更ポイント——令和7年4月提出分以降は定額方式
令和6年度(2025年3月31日)以前の制度では、支給対象経費の一定割合を補助する方式でした。令和7年4月以降に計画提出した分については、実際にかかった経費の額にかかわらず、認められた措置1つにつき20万円(上限80万円)が定額で支給される仕組みに変更されています(厚生労働省公式ページ)。
この変更により、大きな設備投資を行わなくても一定額を受け取れる設計になっています。一方で、支給金額の上限(80万円)は以前より低くなっており、実費が大きい場合でも定額以上は支給されません。
対象となる就労環境整備措置
令和7年4月1日時点の情報では、以下の措置区分が設けられています(最新の正確な措置区分・要件は厚生労働省の公式ページでご確認ください)。
| 区分 | 措置の内容 |
|---|---|
| 必須措置① | 雇用労務責任者の選任 |
| 必須措置② | 就業規則等の社内規程の多言語化 |
| 選択措置(いずれか1つ以上) | 苦情・相談体制の整備 / 一時帰国のための休暇制度の整備 / 社内マニュアル・標識類等の多言語化 ※特定技能外国人を雇用する事業所は「苦情・相談体制の整備」が法令上の義務のため当措置は選択対象外となります |
主な受給要件
- 外国人労働者を雇用していること(在留資格の種別は問わない)
- 認定された就労環境整備計画に基づき対象措置を新たに導入・実施すること
- 計画期間終了後の外国人労働者の離職率が15%以下であること
- 雇用保険の適用事業主であること
- 風俗営業等関連事業主でないこと
支給対象となる経費(確認できた範囲)
定額支給に変更されましたが、計画期間中に実施した措置に関連する費用(通訳費、翻訳機器導入費、翻訳料、弁護士・社会保険労務士等への委託料、社内標識類の設置・改修費等)が対象となる場合があります。詳細な経費範囲は最新の支給要領でご確認ください。
申請の流れ
- 就労環境整備計画の作成・認定申請(就労環境整備計画期間の初日から1か月前の日までに、事業所所在地を管轄する都道府県労働局またはハローワークへ提出)
- 計画認定後、計画に基づき就労環境整備措置を実施
- 就労環境整備措置の実施日から起算して6か月間の離職率算定期間を経た後、離職率算定期間終了後2か月以内に支給申請
- 労働局による審査・支給決定
電子申請にも対応しており、詳細な手続きは各都道府県労働局またはハローワークにお問い合わせください。
助成金を活用した外国人採用コストの最適化をご検討の方へ
外国人の採用を検討している企業様に向け、株式会社TreeGlobalPartnersは中間手数料なし・1人あたり5万円〜のリーズナブルな費用で外国人材をご紹介します。採用後の在留資格申請・登録支援はグループ内の行政書士法人Treeが対応し、就労環境整備に必要な体制づくりもサポートします。なお、助成金申請の可否や申請代行については、必要に応じて社会保険労務士等の専門家にご確認ください。
外国人材の紹介について相談するトライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
ハローワーク等の紹介により、就職困難な求職者を試行雇用(トライアル雇用)した事業主に対して支給される助成金です。外国人労働者も、要件を満たせば対象となります。
支給額と対象期間
- 支給対象者1人につき月額4万円(対象者が母子家庭の母等・父子家庭の父の場合は月額5万円)
- 雇入れの日から最長3か月が対象期間
- 合計支給額: 最大12万円(1人・3か月、月額4万円の場合)
対象となる条件(抜粋)
- ハローワーク・民間職業紹介事業者等の紹介によること(直接採用は対象外)
- 1週間の所定労働時間が30時間以上の無期雇用を前提とした試行雇用であること
- 求職者本人がトライアル雇用を希望していること
外国人労働者が対象となるか否かは、求職者の状況(就職困難の程度・在留資格の就労可否等)によります。ハローワークでの紹介を前提とするため、通常の人材紹介会社経由の採用とは経路が異なる点に注意が必要です。詳細は厚生労働省「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)」をご参照ください。
キャリアアップ助成金——外国人への適用範囲と注意点
キャリアアップ助成金(正社員化コース)は、非正規雇用労働者を正規雇用に転換した事業主を支援する制度です。令和7年4月以降の改正により、中小企業での支給額は「重点支援対象者」(雇入れから3年以上の有期雇用労働者等)への転換が最大80万円(40万円×2期)、重点支援対象者以外への転換は40万円(1期のみ)に変更されています。しかし、外国人労働者への適用については重要な制約があります。
技能実習生・特定技能1号は対象外
外国人技能実習生および特定技能1号の在留外国人は、キャリアアップ助成金(正社員化コース)の対象外です。これは制度の性質上、技能実習・特定技能という在留資格の目的と正社員化の趣旨が整合しないためです。
一方、永住者・日本人の配偶者等・定住者などの在留資格を持つ外国人は、日本人と同様の扱いで対象となります。採用する外国人の在留資格を確認した上で、該当するか否かを判断してください。
処遇改善系コースは外国人も対象
キャリアアップ助成金の中でも、賃金引上げ等の処遇改善を行った場合に支給される「賃金規定等改定コース」等の処遇改善系コースについては、在留資格による除外規定がなく、外国人労働者も対象となる場合があります。詳細は最新の支給要領をご確認ください。
助成金申請の共通ルールと注意点
支給申請前に知っておくべき大原則
国の雇用関係助成金には、共通する受給上の原則があります。主要なものを整理します。
- 不正受給の厳禁: 虚偽申請・不正受給が発覚した場合、支給額の返還に加えて3倍相当の「不正利得徴収金」が課される場合があります
- 計画認定が先: 措置を実施する前に計画認定を受ける必要があります。措置実施後の遡及申請は原則として認められません
- 支給申請期限の厳守: 各制度に申請期限が設けられています。期限を過ぎると申請できなくなる場合があります
- 各種書類の整備・保管: 賃金台帳・出勤簿・雇用契約書等の書類は法定保存期間を守って適切に保管してください
助成金申請に関する専門家活用
雇用関係助成金の申請手続きは、社会保険労務士が代行することができます。書類整備・計画作成・申請代行を依頼することで、要件の見落とし防止や申請の確実性向上につながります。特に初めて外国人を採用する企業や複数の助成金を同時に申請する場合は、専門家への相談を検討してください。
助成金を活用した外国人採用コストの考え方
助成金は採用コストを削減するための有力な手段ですが、あくまでも「事後的に返ってくる補助」であり、初期コストの全額をカバーするものではありません。特定技能外国人の採用では、在留資格申請費用・登録支援費用・採用費用が主なコスト要素となります。
特定技能採用の主なコスト構造
| コスト項目 | 目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 人材紹介手数料 | 1人あたり5万円〜(TGPの場合) | 詳細は採用条件・紹介条件により異なります |
| 在留資格申請費用(行政書士) | 参考料金は個別見積り | グループ内の行政書士法人Treeが対応 |
| 月次登録支援費 | 月額約2〜3万円程度(市場平均) | 行政書士法人Treeは9,800円(税抜)/人〜 |
| 就労環境整備措置の実施費用 | 翻訳料・委託料など実費 | 人材確保等支援助成金で一部を定額補填可能 |
就労環境整備措置(就業規則の多言語化、雇用労務責任者の選任等)は助成金の受給要件でもありますが、それ以前に外国人労働者への労働法令の適用という観点から実施が望ましいものです。助成金の受給を「目的」とするより、適切な職場整備の「副産物」として受け取るという姿勢で取り組む方が、長期的な定着率向上にもつながります。
なお、人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)では計画期間終了後の外国人労働者の離職率が15%以下であることが支給要件です。採用後の定着支援に力を入れることが、助成金受給の前提条件にもなっています。
よくある質問
Q. 外国人採用で使える主な助成金は何ですか?
A. 2026年度時点で外国人採用に直接関連する主要な国の助成金は、(1)人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)—1制度導入につき20万円・上限80万円の定額支給、(2)トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)—月額4万円×最大3か月、の2つが代表的です。キャリアアップ助成金の正社員化コースは、技能実習生・特定技能1号は対象外のため注意が必要です(厚生労働省「キャリアアップ助成金」)。
Q. 人材確保等支援助成金は令和7年4月から何が変わりましたか?
A. 令和7年(2025年)4月以降の計画提出分から、支給方式が「実費の一定割合を補助する方式」から「定額方式」に変更されました。1つの就労環境整備措置を導入するごとに20万円(上限80万円)が支給されます。旧制度の「支給対象経費の2/3・上限72万円」という金額は令和6年度以前のものです。
Q. 助成金の申請はいつ、どこにすればよいですか?
A. 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)の申請は、計画期間終了後に都道府県労働局(またはハローワーク)へ提出します。措置の実施前に計画認定を受けることが前提です。詳細は厚生労働省の公式ページまたは各都道府県労働局にお問い合わせください。
Q. 特定技能外国人の採用でも助成金は受け取れますか?
A. はい、受け取れます。人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)は在留資格の種別を問わず「外国人労働者を雇用する事業主」が対象です。特定技能外国人を含む外国人労働者を雇用し、就労環境整備措置を実施することで申請できます。
Q. 助成金を受給するために必ず導入しなければならない措置はありますか?
A. 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)では、(1)雇用労務責任者の選任と(2)就業規則等の多言語化が「必須措置」とされています。これらに加え、選択措置としていずれかを導入する必要があります(最新の要件は厚生労働省の公式ページでご確認ください)。
人材不足でお悩みの企業様へ——コストを抑えた外国人採用を
人材紹介は株式会社TreeGlobalPartnersが担当します。中間手数料なし・1人あたり5万円〜のリーズナブルな費用で外国人材をご紹介し、採用後の在留資格申請・登録支援はグループ内の行政書士法人Treeがワンストップで対応します。就労環境整備措置の実施に向けた体制づくりについてもご相談いただけます。
30秒で無料相談を予約する※ 本記事の内容は2026年4月時点の制度情報に基づきます。助成金の支給額・要件・申請方法は変更される場合があります。最新情報は厚生労働省の公式ページまたは各都道府県労働局でご確認ください。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言・助成金受給の保証ではございません。具体的なケースについては専門家へのご相談をおすすめいたします。