IT・エンジニア人材の外国人採用|高度人材と特定技能の違い

国内のIT人材不足が深刻化する中、外国人エンジニアの採用を検討する企業が増えています。しかし、外国人をITエンジニアとして雇用する場合、特定技能は使えないという点を見落としている企業も少なくありません。

IT・ソフトウェア開発などの情報処理業務は特定技能の対象16分野に含まれておらず、外国人ITエンジニアの採用には「技術・人文知識・国際業務」「高度専門職」「特定活動46号」といった別の在留資格を利用する必要があります。それぞれ学歴要件や就労範囲、永住要件の優遇措置が異なるため、自社の採用計画に合った資格を選ぶことが重要です。

この記事では、外国人ITエンジニアの採用に使える在留資格を比較し、それぞれの要件・メリットと採用プロセスの注意点を整理します。

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ITエンジニアに適用できる外国人の在留資格一覧

外国人がITエンジニアとして日本で就労する場合、主に利用される在留資格は以下の3つです。それぞれ対象者・要件・在留期間が大きく異なります。

在留資格主な対象者学歴・経験要件在留期間
技術・人文知識・国際業務IT技術者全般大卒(関連分野) or 実務経験10年以上 or IT関連試験合格最長5年(更新可)
高度専門職1号ロ高年収・高学歴のIT人材ポイント計算70点以上5年(優遇措置あり)
特定活動46号日本の大学等卒業+N1レベル日本の大学卒+JLPT N1相当最長5年(更新可)

このほか、J-Skip(特別高度人材制度)はポイント計算なしで高度専門職と同等の優遇を受けられる制度ですが、修士号以上かつ年収2,000万円以上という高いハードルが設定されています(出入国在留管理庁)。

なお、特定技能はIT分野には適用されません。この点については後述します。

「技術・人文知識・国際業務」でエンジニアを採用するケース

外国人ITエンジニアの採用で最も一般的に使われる在留資格が「技術・人文知識・国際業務」(通称「技人国」)です。プログラマー、システムエンジニア、インフラエンジニア、データサイエンティストなど、専門知識を必要とするIT業務全般が対象となります。

取得要件

以下のいずれかを満たす必要があります(出入国在留管理庁)。

  • 学歴要件: 大学または大学院で関連分野(情報工学、コンピュータサイエンス等)を専攻して卒業していること
  • 実務経験要件: 従事する業務に関連する10年以上の実務経験があること
  • IT関連試験: 法務大臣が告示で定める情報処理技術に関する試験に合格していること(基本情報技術者試験など)

IT分野は「試験合格」による要件充足が認められている点が特徴です。学歴や長期の実務経験がなくても、基本情報技術者試験等に合格していれば在留資格の取得が可能です。

報酬の要件

同じ業務に従事する日本人社員と同等以上の報酬を支払う必要があります。これは「日本人と同じ仕事なら同じ報酬」という原則であり、外国人だからといって低い報酬を設定することは認められません。

注意点:単純作業は認められない

「技術・人文知識・国際業務」は専門的な業務に従事するための在留資格です。入社後に専門性のない業務(データ入力のみ、テスト作業のみなど)だけを長期間担当させることは在留資格の趣旨に反し、更新が不許可になる原因となりえます。業務内容と在留資格の整合性を常に意識してください。

高度専門職(ポイント制)とそのメリット

「高度専門職」は、学歴・職歴・年収などをポイント化し、合計70点以上に達した外国人に付与される在留資格です。ITエンジニアの場合は「高度専門職1号ロ」(高度専門・技術活動)に該当します(出入国在留管理庁)。

ポイント計算の主な項目(高度専門職1号ロ)

評価項目ポイント例
学歴博士: 30点、修士: 20点、学士: 10点
職歴10年以上: 20点、7年以上: 15点、5年以上: 10点
年収年収に応じて0〜40点(年齢区分ごとに異なる)
年齢29歳以下: 15点、30〜34歳: 10点、35〜39歳: 5点
日本語能力N1: 15点、N2: 10点
日本の大学卒10点(ボーナス加算)

たとえば、修士号(20点)+職歴5年(10点)+年収600万円(20点・30歳の場合)+日本語N2(10点)+日本の大学卒(10点)=70点で基準を満たすケースがあります。

高度専門職の優遇措置

  • 在留期間5年が一律で付与される
  • 永住許可の要件緩和: 70点以上で3年、80点以上で1年の在留で永住申請が可能
  • 配偶者の就労が認められる(技人国等の活動範囲でフルタイム就労可)
  • 一定条件下で親の帯同が認められる
  • 入国・在留手続きの優先処理

特に永住許可の要件緩和は大きなメリットです。通常10年の在留が必要なところ、80点以上なら1年で永住申請が可能になるため、優秀なIT人材の長期定着を図る手段として有効です。

特定活動46号 ── 日本の大学を卒業した高度人材の新ルート

「特定活動46号」は、日本の大学等を卒業し、高い日本語能力を持つ外国人を対象とした在留資格です。「技術・人文知識・国際業務」よりも幅広い業務に従事できる点が特徴です(出入国在留管理庁)。

取得要件

  • 日本の大学(院)を卒業・修了していること(短大・高専・一部の専門学校を含む)
  • JLPT N1またはBJTビジネス日本語能力テスト480点以上を有すること
  • 日本語を用いたコミュニケーションを必要とする業務に従事すること

IT分野での活用場面

「技術・人文知識・国際業務」では認められにくい現場業務とITの組み合わせに対応できるのが特定活動46号の強みです。たとえば、ITサポートとあわせて顧客対応や営業活動も行うブリッジSEのような職種が典型例です。

ただし、単純作業のみに従事する場合は認められません。あくまで日本語能力と専門性を活かした業務であることが求められます。

特定技能との違い:IT分野は対象外

「特定技能」は人手不足が深刻な分野での外国人就労を認める在留資格ですが、IT・情報処理業務は対象16分野に含まれていません。2024年に4分野が追加され計16分野となりましたが、IT分野は追加されていません。

比較項目技術・人文知識・国際業務高度専門職特定技能
IT業務対象対象対象外
学歴要件大卒 or 試験 or 実務10年ポイント70点以上技能試験+日本語試験
在留期間最長5年(更新可)5年(優遇あり)1号: 通算5年上限
家族帯同可(親の帯同も可)1号: 不可
転職可(届出が必要)指定機関のみ(1号)同一分野内で可
永住への道通常10年最短1年(80点以上)1号のみでは不可

IT業界で外国人を採用する場合、特定技能は選択肢に入りません。一方で、「技術・人文知識・国際業務」や「高度専門職」は家族帯同が認められ、在留期間の更新にも上限がないため、長期雇用を前提とした採用に適しています。

なお、電気・電子情報関連産業の製造ライン業務であれば、特定技能「工業製品製造業」の対象となる場合があります。ただし、これはソフトウェア開発やシステム設計といった典型的なIT業務とは異なるため、混同しないよう注意してください。

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採用プロセスと注意点

外国人ITエンジニアの採用は、大きく「海外から呼び寄せるケース」と「国内在住者を採用するケース」に分かれます。

海外から呼び寄せる場合

ステップ内容目安期間
Step 1人材選定・内定・雇用契約の締結1〜2ヶ月
Step 2在留資格認定証明書(COE)の申請1〜3ヶ月
Step 3査証(ビザ)の申請・発給1〜4週間
Step 4入国・就労開始

在留資格認定証明書の審査期間は申請先の入管や申請件数により大きく異なります。高度専門職は優先処理の対象となるため、審査期間が短縮される傾向があります(出入国在留管理庁)。

国内の留学生を採用する場合

日本の大学等を卒業した留学生を採用する場合は、「留学」から就労系の在留資格への変更許可申請を行います。審査期間は1〜2ヶ月が目安です。卒業前の12月頃から申請が可能なため、4月入社に向けたスケジュール管理が重要です。

採用時の注意点

  • 業務内容と在留資格の整合性: 申請時に記載した業務内容と実際の業務にズレがあると、更新時に不許可となるリスクがある
  • 転職時の届出: 外国人本人は転職から14日以内に入管へ届出が必要。企業側も「中長期在留者の受入れに関する届出」を行う
  • 在留カードの確認: 採用面接時に在留カードの在留資格・在留期限・就労制限の有無を必ず確認する

よくある質問

Q. 外国人ITエンジニアに特定技能ビザは使えますか?

A. 使えません。IT・ソフトウェア開発などの情報処理業務は特定技能の対象16分野に含まれていないため、特定技能の在留資格では就労できません。「技術・人文知識・国際業務」「高度専門職」「特定活動46号」などの在留資格を利用します。

Q. 「技術・人文知識・国際業務」と「高度専門職」のどちらを選ぶべきですか?

A. まず「技術・人文知識・国際業務」で採用し、入社後にポイント計算で70点以上に達した段階で「高度専門職」への変更を検討するのが一般的な流れです。高度専門職は永住申請の要件緩和(最短1年)など大きな優遇措置がありますが、ポイント要件を満たす必要があります。

Q. 外国人ITエンジニアの採用にはどのくらいの期間がかかりますか?

A. 海外から呼び寄せる場合、在留資格認定証明書の審査に1〜3ヶ月、査証発給・入国手続きに2〜4週間が目安です。国内の留学生を採用する場合は在留資格変更の審査に1〜2ヶ月程度かかります。

Q. 文系出身の外国人でもITエンジニアとして採用できますか?

A. 可能です。「技術・人文知識・国際業務」では、IT関連の学位がなくても情報処理技術に関する試験(基本情報技術者試験等)の合格や10年以上の実務経験があれば要件を満たせます。個別の状況により審査結果は異なるため、専門家への相談をおすすめします。

まとめ

外国人ITエンジニアの採用に関するポイントを整理します。

  • IT分野は特定技能の対象外。「技術・人文知識・国際業務」「高度専門職」「特定活動46号」が主な選択肢
  • 「技術・人文知識・国際業務」は最も汎用的で、大卒・IT試験合格・実務経験10年のいずれかで取得可能
  • 「高度専門職」はポイント70点以上で取得でき、永住申請の要件が最短1年に緩和される大きなメリットがある
  • 「特定活動46号」は日本の大学卒+N1が要件で、ITと現場業務の組み合わせにも対応しやすい
  • 海外からの呼び寄せは2〜4ヶ月、国内の留学生採用は1〜2ヶ月の審査期間を見込む

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※ 本記事の内容は2026年3月時点の入管法令に基づきます。制度・手数料は変更される場合があります。最新情報は出入国在留管理庁でご確認ください。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言ではございません。具体的なケースについては専門家へのご相談をおすすめいたします。