特定技能の受入れ機関要件チェックリスト|企業が満たすべき4つの条件

「自社は特定技能外国人を受け入れられる状態なのか」——採用を検討し始めた企業の担当者が最初につまずく疑問がこれです。特定技能制度では、外国人本人の要件だけでなく、受け入れる企業(特定技能所属機関)側にも厳格な要件が定められています。要件を満たしていない場合は、在留資格申請が不許可となる可能性が高いため、事前確認が重要です。

本記事では、出入国在留管理庁が定める受入れ機関の4要件を体系的に整理し、自社の準備状況を確認できるチェックリストを提供します。欠格事由のリストと受入れ後に義務となる届出の種類についても合わせて解説します。

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受入れ機関(特定技能所属機関)とは

特定技能外国人を雇用する企業・個人事業主を「特定技能所属機関」(受入れ機関)と呼びます。受入れ機関は、出入国管理及び難民認定法(入管法)第19条の18に基づき、特定技能外国人と特定技能雇用契約を締結する本邦の機関(企業・個人事業主)として定義されています。

受入れ機関は以下の4要件全てを満たす必要があります。いずれかに不備がある場合、在留資格申請が不許可となる可能性があるため注意が必要です。

要件 概要
要件① 労働・社会保険・租税関連法令の遵守
要件② 適切な雇用条件(同等以上の報酬等)
要件③ 支援体制の確保
要件④ 欠格事由への非該当

要件①:労働・社会保険・租税関連法令の遵守

受入れ機関は、労働基準法・最低賃金法・労働安全衛生法などの労働関係法令、健康保険法・厚生年金保険法などの社会保険関係法令、消費税法・所得税法などの租税関係法令を遵守していなければなりません。過去の違反履歴が審査の対象になります。

具体的に確認すべきポイント

  • 全従業員に対して適切に社会保険(健康保険・厚生年金)が適用されているか
  • 労働保険(労災保険・雇用保険)の手続きが適切に行われているか
  • 最低賃金を下回る賃金支払いがないか
  • 労働関係法令・社会保険関係法令・租税関係法令を継続的に遵守しているか(是正勧告や行政指導を受けている場合は、その内容や是正状況も含めて確認が必要)
  • 法人税・消費税の申告・納税が適切に行われているか

また、受入れ機関は過去1年以内に、特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を「自発的な離職」以外の理由で離職させていないことも求められます。リストラや人員削減を行った直後に外国人材を採用する場合は、この点が問題になることがあります。

注意:社会保険加入漏れは申請時に発覚しやすいポイントです。受入れ予定の外国人だけでなく、既存の日本人従業員を含めた全体の社会保険適用状況を事前に確認しておきましょう。

要件②:適切な雇用条件

特定技能外国人との雇用契約は、同等の業務に従事する日本人と同等以上の報酬を支払う内容でなければなりません。外国人であることを理由に賃金を低く設定することは禁止されています。

雇用条件の基本チェック項目

  • 報酬額が日本人と同等以上であること(雇用契約書の作成が必須)
  • 雇用契約の期間が定められている場合、その期間が合理的であること
  • 外国人が帰国旅費を負担できない場合、受入れ機関が費用を負担する旨を定めていること
  • 外国人が保証金の徴収や違約金を設定する契約(送出し機関等との間で)を締結していることを受入れ機関が認識した上で雇用契約を結んでいないこと
  • 支援に要する費用を外国人本人に負担させていないこと

特に「保証金・違約金条項の排除」は重要です。本国の送出し機関が外国人から保証金を取っているケースが依然として存在しますが、受入れ機関がその事実を認識しながら雇用契約を締結すると、基準不適合や欠格事由に該当する可能性があります。

要件③:支援体制の確保

特定技能1号外国人を受け入れる際、受入れ機関は義務的支援10項目を実施しなければなりません。この支援を自社で行うか、登録支援機関に委託するかのいずれかを選択します。

義務的支援10項目の概要

項目 内容
①事前ガイダンス 入国前に義務・権利・日本での生活等を説明(3時間以上を目安)
②出入国時の送迎 入国・帰国時の空港等への送迎
③住居確保支援 適切な住居の確保を支援(連帯保証人等)
④生活オリエンテーション 日本での生活に必要な情報提供(8時間以上を目安)
⑤日本語学習支援 日本語学習機会の提供(情報提供でも可)
⑥相談・苦情対応 職場・生活上の相談に母国語で対応できる体制の確保
⑦日本人との交流促進 自治会・地域行事等への参加機会の提供
⑧転職支援 受入れ機関都合での離職の場合に転職を支援
⑨定期面談 支援責任者または支援担当者が3か月に1回以上面談
⑩非自発的離職時支援 受入れ機関の都合で離職となった場合の帰国支援等

自社支援か登録支援機関委託か

自社で支援を行う場合は、支援責任者と支援担当者を選任し、支援計画を策定する必要があります。支援責任者・担当者は、当該外国人を直接監督する立場にある者が兼任することはできません(中立性の確保)。

登録支援機関に委託する場合は、支援業務の全部を委託することで、受入れ機関は登録支援機関の体制を活用して義務的支援を実施できます。ただし、受入れ機関自体に求められる法令遵守や雇用条件などの基準は別途満たす必要があります。初めて特定技能外国人を採用する中小企業では、登録支援機関への全部委託が現実的な選択肢です。

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要件④:欠格事由への非該当

欠格事由は入管法に定められており、該当する場合は特定技能外国人の受入れができません。主要な欠格事由を以下にまとめます。

主要な欠格事由一覧

  • 拘禁刑以上の刑に処せられた者(執行終了後または執行を受けることがなくなった日から5年間)
  • 出入国・労働関係法令違反で罰金刑に処せられた者(同5年間)
  • 暴力団関係者、またはその構成員が役員に含まれる法人
  • 過去2年以内に出入国・労働関係法令違反について不正・著しく不当な行為を行った者
  • 過去1年以内に特定技能外国人等の行方不明者を発生させた者
  • 特定技能外国人から保証金を徴収している送出し機関等と不正に関与している者
  • 支援業務を登録支援機関以外に委託している者
  • 特定技能雇用契約の相手方に対し、違約金等を定める契約を締結している者

欠格事由の中でも特に注意が必要なのが「行方不明者の発生」です。過去1年以内に特定技能外国人が行方不明になった実績があると、新たな受入れが認められません。外国人材の定着管理が企業としての信頼性評価に直結します。

受入れ後の届出義務

受入れ機関として認められた後も、継続的な届出義務があります。届出を怠ると、次回の在留期間更新申請時に問題となることがあります。

定期届出(年1回)

2025年4月以降の制度変更により、定期届出は年1回に統合されました(従来は四半期ごとの提出)。対象期間(当年4月1日〜翌年3月31日)の届出を、翌年5月31日までに管轄の出入国在留管理局に提出します。

届出内容は、特定技能外国人の活動状況・報酬の支払い状況・支援実施状況などです(出入国在留管理庁:特定技能所属機関による届出)。

随時届出

以下の事象が発生した場合は、発生から14日以内に随時届出が必要です。

  • 特定技能雇用契約の締結・終了・変更(期間満了前の解雇・合意解約等)
  • 支援計画の変更
  • 外国人の離職(期間満了前の雇用契約終了・解雇等。自己都合退職のみの場合は対象外)
  • 登録支援機関との委託契約の変更・終了
  • 在留資格許可から1か月以上経過しても就労を開始していない場合(2025年4月新設)
  • 就労中に1か月以上活動できない事情が生じた場合(病気療養・事業停止等)(2025年4月新設)
  • 受入れ機関または支援機関が満たすべき基準を満たさなくなった場合(2025年4月新設)

NGケース:よくある失格パターン

実際の申請・受入れ場面でよく見られる問題ケースを整理します。

ケース1:既存従業員の社会保険未加入が発覚

申請時点で日本人従業員に社会保険未加入者が存在することが発覚するケースです。受入れ申請の前に全従業員の加入状況を整備しておく必要があります。

ケース2:支援担当者が当該外国人の直属上司

支援担当者は「中立的な立場」でなければならず、当該外国人を直接監督する役職者が兼任することはできません。別部署の担当者を選任するか、登録支援機関に委託しましょう。

ケース3:送出し機関が保証金を徴収している

本国の送出し機関(送り出し機関)が外国人から保証金を取っているにもかかわらず、受入れ機関がその事実を認識した上で雇用契約を締結した場合、欠格事由に該当します。送出し機関の適正性確認は受入れ機関の責任です。

ケース4:定期届出・随時届出の失念

在留期間の更新申請時に「届出が未提出」と判明するケースです。届出漏れは更新審査において消極的評価につながります。社内で届出管理の体制を整えることが重要です。

総合チェックリスト

受入れ開始前に以下の項目を全て確認してください。

法令遵守体制(要件①)

  • 全従業員への社会保険(健康保険・厚生年金)適用が適切にされている
  • 労働保険(労災・雇用保険)の手続きが完了している
  • 最低賃金以上の賃金が全従業員に支払われている
  • 過去1年以内に同種業務従事者を自発的離職以外の理由で離職させていない
  • 過去1年以内に行方不明者を発生させていない

雇用条件(要件②)

  • 日本人と同等以上の報酬を支払う雇用契約書を作成した
  • 外国人本人が支援費用を負担しない旨を確認した
  • 保証金・違約金条項のある契約を締結している送出し機関との関与がない
  • 帰国旅費負担についての定めを契約書に盛り込んだ

支援体制(要件③)

  • 支援責任者・支援担当者を選任した(または登録支援機関に全部委託する契約を結んだ)
  • 支援担当者が当該外国人の直接監督者でないことを確認した
  • 支援計画を作成した(委託の場合は委託契約書で代替可)
  • 母国語での相談対応体制が整っている(または委託先で確保済み)

欠格事由(要件④)

  • 役員・業務執行役員に拘禁刑以上の前歴(5年以内)がない
  • 出入国・労働法令違反での罰金刑(5年以内)がない
  • 暴力団関係者が役員に含まれていない
  • 過去1年以内に特定技能外国人の行方不明者を発生させていない

受入れ後の届出管理

  • 定期届出(年1回・翌年5月31日締切)のスケジュールを管理体制に組み込んだ
  • 随時届出が必要な事象(契約変更・離職等)が発生した際の担当者を決めた
  • 支援実施記録を保管するファイリング体制を整えた

よくある質問

Q. 個人事業主でも特定技能外国人を受け入れられますか?

はい、法人でなくとも個人事業主として特定技能外国人を雇用することは可能です。ただし、同じく4つの要件を満たす必要があり、欠格事由への非該当も確認が必要です。対象分野(農業・漁業等)の場合は分野別の受入れ要件も確認してください。

Q. 派遣形態で特定技能外国人を受け入れることはできますか?

特定技能1号は原則として直接雇用です。ただし農業・漁業の2分野に限り、派遣形態での受入れが認められています。それ以外の分野では派遣形態は認められていません。

Q. 要件を満たしているかどうか、事前に確認できますか?

直接的な「受入れ適格審査」制度はありませんが、実際に申請書類を揃える過程で要件の充足状況を確認することができます。不安がある場合は行政書士や専門家に相談することをお勧めします。グループ内の行政書士法人Treeでは、受入れ機関の要件確認から申請手続きまでサポートしています。

Q. 受入れ機関の要件に違反した場合はどうなりますか?

要件違反が判明した場合、在留資格の更新申請が不許可になることがあります。また、入管法・労働法令の違反内容によっては罰則の対象になる場合があります。違反の内容と程度によっては、以後5年間にわたって受入れができなくなるケースもあります。

Q. 複数の特定技能外国人を受け入れる場合、上限はありますか?

分野によって受入れ人数の上限が設けられているものがあります。例えば介護分野では、受入れ機関ごとに日本人等の常勤介護職員の総数を上限とする規定があります。分野ごとの上限については各分野を所管する省庁の要件を確認してください。

まとめ:受入れ前の要件確認が成功のカギ

特定技能外国人の受入れは、外国人本人の要件だけでなく、受入れ機関側の4要件をクリアすることが前提条件です。要件を一つ見落としたまま申請を進めると、書類作成に費やした時間・費用が無駄になりかねません。

とりわけ注意が必要なのが①社会保険の適用漏れ、②支援担当者の中立性確保、③送出し機関の適正性確認の3点です。これらは「見落としやすいが、審査では必ず確認される項目」です。

受入れ後の届出義務(定期届出・随時届出)も在留期間更新の可否に直結します。社内で管理体制を整えておくことが、長期的な受入れを成功させる上での重要な基盤となります。

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※ 本記事の内容は2026年4月時点の入管法令・出入国在留管理庁の運用要領に基づきます。制度・要件は変更される場合があります。最新情報は出入国在留管理庁でご確認ください。
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