特定技能外国人の採用が決まったあと、「入国前に何を準備すればいいか」「入国後すぐに動かなければならない手続きは何か」——担当者として把握すべき事項が多く、見落としが起きやすいフェーズです。在留資格認定証明書の申請から始まり、入国後の役所届出・社会保険加入、さらに就労開始後も続く定期的な報告義務まで、手続きの全体像を把握しておくことが円滑な受入れにつながります。
この記事では以下のポイントをToDoリスト形式で整理します。
- 入国前に企業が行う認定証明書の申請手続き
- 入国直後に行う役所・社会保険の届出
- 就労開始後に継続して行う報告義務(定期届出・随時届出)
- 登録支援機関に委託した場合の役割分担
結論として、受入れ後の手続きは「入国前→入国直後→就労中」の3フェーズに分けて管理するのが最も確実です。
外国人有料職業紹介を専門とし、グループ内に入管業務専門の行政書士法人Treeを持つTreeGlobalPartnersが、実務に即した手順でわかりやすく解説します。
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フェーズ1:入国前の手続き(企業担当者ToDo)
特定技能外国人が日本で就労するためには、まず在留資格「特定技能」が付与される必要があります。海外から招へいする場合(在留資格認定証明書ルート)と、国内でほかの在留資格から変更する場合(在留資格変更許可申請ルート)で手続きが異なります。ここでは海外からの招へいを前提に解説します。
Step 1:在留資格認定証明書の申請
受入れ機関(所属機関)が、外国人本人に代わって地方出入国在留管理局へ「在留資格認定証明書交付申請」を行います。申請の際には、雇用契約書・1号特定技能外国人支援計画書・受入れ機関が基準を満たすことを示す各種書類などを提出します。審査期間は一般的に数週間から数か月程度かかります(入管庁の審査状況により異なります)。
申請書類の詳細は出入国在留管理庁「在留資格『特定技能』」公式ページを必ず確認してください。
Step 2:認定証明書の送付・査証申請
認定証明書が交付されたら、外国人本人に郵送または電子データ(オンライン申請で取得した場合)で送付します。本人は受領した認定証明書を持参して現地の日本大使館・総領事館で査証(ビザ)を申請します。
Step 3:入国前の準備(受入れ機関の義務)
入国前には以下の対応が必要です。
- 入国前ガイダンスの実施:在留資格認定証明書交付後・入国前に、労働条件・活動内容・入国手続きなどを外国人の理解できる言語で説明する義務があります(1時間以上が目安)
- 住居の確保:入国直後に居住できる住居を確保・案内する義務があります(寮・社宅の手配、または賃貸物件の準備)
- 空港への送迎手配:義務的支援として、入国時の送迎(空港から居住地・就労場所まで)を行う必要があります
フェーズ2:入国直後の手続き(入国後14日以内)
外国人が入国すると、空港の入国審査で在留カードと指定書が交付されます。この時点から受入れ機関・外国人本人のそれぞれに期限が定められた手続きが発生します。
住居地の届出(役所)
外国人本人が入国後14日以内に、住居地となる市区町村の役所・役場に「住居地届出」を行う必要があります(出入国管理及び難民認定法第19条の7に基づく義務)。届出には在留カードが必要です。受入れ機関は本人が手続きをスムーズに行えるよう同行支援するか、手続き方法を母国語で案内してください。
雇用保険の手続き(ハローワーク)
特定技能外国人が週20時間以上勤務する場合、雇用保険の被保険者となります。雇用開始から翌月10日までに、所轄のハローワーク(公共職業安定所)に「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。
健康保険・厚生年金の手続き(年金事務所等)
法人事業主は健康保険・厚生年金保険の強制適用事業所となります。外国人が正社員や週30時間以上勤務のパートタイマーの場合、雇用開始から5日以内に年金事務所(または健康保険組合)に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を提出してください。
外国人雇用状況の届出(ハローワーク)
すべての事業主には、外国人を雇用した際にハローワークへ「外国人雇用状況の届出」を行う義務があります(労働施策総合推進法に基づく)。雇用保険被保険者の場合は資格取得届と兼用できますが、被保険者でない場合は別途「外国人雇用状況届出書」の提出が必要です。
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特定技能の受入れについて相談する(無料)フェーズ3:就労開始後の継続義務
特定技能外国人が就労を開始した後も、受入れ機関には継続的な義務が課されます。大きく分けると「支援義務」と「届出義務」の2種類があります。
1号特定技能外国人支援計画の実施
特定技能1号を受け入れた場合、入管庁へ申請時に提出した支援計画に基づき、10項目の義務的支援を継続的に実施しなければなりません。主な内容を整理します。
| 支援項目 | 頻度・タイミング | 委託可否 |
|---|---|---|
| 事前ガイダンス | 入国前(1時間以上) | 委託可 |
| 出入国時の送迎 | 入国・帰国時 | 委託可 |
| 住居確保の支援 | 入国時 | 委託可 |
| 生活オリエンテーション | 入国後できるだけ早く(8時間以上) | 委託可 |
| 日本語学習支援 | 継続的に | 委託可 |
| 相談・苦情対応 | 随時 | 委託可 |
| 日本人との交流促進 | 継続的に | 委託可 |
| 非自発的離職時の転職支援 | 離職時 | 委託可 |
| 定期面談 | 3か月に1回以上 | 委託可 |
| 行政手続等に関する情報提供 | 随時 | 委託可 |
定期届出(年1回)
2026年4月の制度改正により、特定技能の定期届出は従来の四半期ごと(年4回)から年1回に変更されました。対象期間は4月1日から翌年3月31日、提出期限は翌年5月31日です。届出書の様式も「受入れ・活動・支援実施状況に係る届出書」(参考様式第3-6号)に一本化されています。
詳細は出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」をご確認ください。
随時届出(事由発生から14日以内)
以下の事由が生じた場合は、事由発生から14日以内に随時届出を提出する義務があります。
- 特定技能外国人が離職した(退職・解雇)
- 新たな雇用契約を締結した(転籍)
- 雇用条件(賃金・労働時間・業務内容など)を変更した
- 支援計画の内容を変更した
- 特定技能外国人が行方不明になった
- 受入れ機関が受入れを継続することが困難になった
届出を怠ると、出入国在留管理及び難民認定法の規定により30万円以下の罰金が科せられるほか、欠格事由に該当して以降の受入れが認められなくなる場合があります。
登録支援機関への委託と役割分担
特定技能1号の受入れにあたり、義務的支援の全部または一部を登録支援機関に委託することができます。委託のメリットは支援業務の実施負担が軽減される点ですが、届出義務(定期届出・随時届出)は委託先ではなく受入れ機関が責任を持って行う点に注意が必要です。
| 業務区分 | 受入れ機関 | 登録支援機関(委託時) |
|---|---|---|
| 在留資格認定証明書の申請 | 実施 | 代行可(行政書士法人等) |
| 義務的支援の実施 | 実施義務あり | 全部委託可 |
| 定期届出・随時届出 | 実施義務(委託不可) | 書類作成補助は可 |
| 在留期間更新申請 | 申請者は外国人本人 | 代行可(行政書士法人等) |
| 雇用保険・社会保険手続き | 実施 | 案内・補助は可 |
グループ内の行政書士法人Treeでは、登録支援機関として義務的支援の実施サポートから在留資格の更新申請まで対応しています。受入れ後の煩雑な手続きをまとめてご依頼いただけます。
受入れ手続き全体チェックリスト
| フェーズ | ToDo | 期限・タイミング | 担当 |
|---|---|---|---|
| 入国前 | 在留資格認定証明書の申請 | 入国希望日の数か月前 | 受入れ機関 |
| 入国前 | 入国前ガイダンスの実施 | 入国前(認定証明書交付後) | 受入れ機関/登録支援機関 |
| 入国前 | 住居の確保・空港送迎の手配 | 入国前 | 受入れ機関/登録支援機関 |
| 入国直後 | 住居地の届出(役所) | 入国後14日以内 | 外国人本人(受入れ機関サポート) |
| 入国直後 | 雇用保険資格取得届(ハローワーク) | 雇用開始翌月10日まで | 受入れ機関 |
| 入国直後 | 健康保険・厚生年金資格取得届 | 雇用開始から5日以内 | 受入れ機関 |
| 入国直後 | 外国人雇用状況の届出(ハローワーク) | 雇用開始翌月末まで | 受入れ機関 |
| 就労開始後 | 生活オリエンテーション(8時間以上) | 入国後できるだけ早く | 受入れ機関/登録支援機関 |
| 就労開始後 | 随時届出(事由発生時) | 事由発生から14日以内 | 受入れ機関 |
| 就労開始後 | 定期面談(3か月に1回以上) | 継続的に | 受入れ機関/登録支援機関 |
| 毎年 | 定期届出(年1回) | 翌年5月31日まで | 受入れ機関 |
| 在留期限前 | 在留期間更新申請 | 在留期限の3か月前から | 外国人本人(行政書士代行可) |
よくある質問
Q. 特定技能外国人が入国したら、まず何をすればよいですか?
A. 入国直後に行う主な手続きは3つです。①空港での上陸許可と在留カード受領、②入国後14日以内に住民票のある市区町村役場で住居地の届出、③雇用保険・社会保険・健康保険への加入手続きです。また、受入れ機関は入国後できるだけ早い時期に生活オリエンテーション(義務的支援のひとつ)を実施する必要があります。
Q. 在留資格認定証明書と査証(ビザ)はどう違いますか?
A. 在留資格認定証明書は出入国在留管理庁が発行する書類で、「この外国人は特定技能で働く要件を満たしている」ことを証明します。査証(ビザ)は在外日本大使館・総領事館が発行する入国許可の推薦状にあたります。海外から招へいする場合は、認定証明書を取得した後に現地の日本大使館で査証を申請し、入国する流れになります。
Q. 生活オリエンテーションはいつまでに行う必要がありますか?
A. 入管法の運用要領では「入国後できるだけ早い段階で」とされており、具体的な期限の定めはありませんが、就労開始前後に実施するのが一般的です。オリエンテーションは8時間以上行うことが求められており、住居・医療・交通ルール・銀行口座開設など生活全般にわたる内容を母国語で案内します。
Q. 登録支援機関に委託した場合、届出義務も委託機関が行いますか?
A. 届出義務(定期届出・随時届出)は委託の有無にかかわらず受入れ機関(所属機関)が負います。登録支援機関は義務的支援の実施を代行できますが、入管庁への届出は受入れ機関が直接行う必要があります。書類作成の補助を受けることは可能です。
Q. 就労開始後に毎年行わなければならない届出は何ですか?
A. 2026年4月の制度改正により、特定技能の定期届出は年4回から年1回に変更されました。4月1日から翌年3月31日の活動状況をまとめて翌年5月31日までに出入国在留管理庁へ提出します。この定期届出とは別に、離職や労働条件変更など特定の事由が生じた際は事由発生から14日以内に随時届出を行う義務があります。
まとめ
本記事のポイントを整理します。
- 特定技能外国人の受入れ後手続きは「入国前・入国直後・就労中」の3フェーズで管理する
- 入国後14日以内に役所への住居地届出、雇用保険・社会保険の手続きを完了させる
- 2026年4月の改正で定期届出は年1回(翌年5月31日まで)に変更。随時届出は事由発生から14日以内
- 登録支援機関への委託は支援業務の負担軽減に有効だが、届出義務は受入れ機関が引き続き負う
- 届出の懈怠は罰則(30万円以下の罰金)および欠格事由に該当するリスクがある
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※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別案件への法的助言ではございません。具体的なケースについては専門家へのご相談をおすすめいたします。