「特定技能外国人を受け入れてから、届出を一度もしていない」——そんな状況に気づいたとき、担当者が感じる焦りは深刻です。特定技能の届出義務は複数あり、種類・期限・提出先がそれぞれ異なります。しかも2025年4月施行の省令改正により定期届出の頻度が大きく変わり(2026年4月から実際の運用が開始)、見落とすとビザ更新の不許可や罰則につながるリスクがあります。
この記事では以下の点を整理します。
- 定期届出と随時届出の違い・種類一覧
- 2025年4月1日施行の制度変更(年4回→年1回)と2026年4月から始まる初回提出期間の詳細
- 届出先・提出方法・必要書類の概要
- 届出懈怠の罰則と欠格事由
- 登録支援機関への委託時の役割分担
届出義務は「定期届出(年1回)」と「随時届出(事由発生から14日以内)」の2種類が基本です。どちらも受入れ機関(所属機関)が責任を持って行わなければなりません。
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特定技能の届出義務とは?全体像の整理
特定技能外国人を受け入れた所属機関(受入れ企業)は、出入国管理及び難民認定法(以下、入管法)の規定に基づき、出入国在留管理庁(入管庁)への届出義務を負います。届出には大きく「定期届出」と「随時届出」の2種類があり、それぞれ対象・タイミング・様式が異なります。
| 区分 | 概要 | 提出タイミング | 提出義務者 |
|---|---|---|---|
| 定期届出 | 一定期間の受入れ・活動・支援状況を報告 | 年1回(翌年4月1日〜5月31日) | 所属機関(受入れ企業) |
| 随時届出 | 特定の事由が生じた際に随時報告 | 事由発生から14日以内 | 所属機関(受入れ企業) |
届出義務は受入れ機関が直接負うものであり、登録支援機関に支援業務を委託していても免除されません。詳細は出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」をご参照ください。
定期届出の詳細(2025年4月省令改正後)
頻度変更:年4回→年1回
従来(2025年3月以前)は、四半期(1〜3月、4〜6月、7〜9月、10〜12月)ごとに年4回の定期届出が必要でした。2025年4月1日施行の出入国管理及び難民認定法施行規則改正により、対象期間を4月1日〜翌年3月31日とした年1回の届出に変更され、新ルールでの初回提出時期が2026年4月1日〜5月31日となります。
重要:2025年4月1日〜2026年3月31日の活動状況は、2026年4月1日〜5月31日の間に提出する必要があります。この2か月間が最初の新ルール適用となります。期限を過ぎると懈怠扱いになりますので注意してください。
様式の変更
2025年4月の省令改正で様式も一本化されました。
- 旧様式:「受入れ・活動状況に係る届出書」と「支援実施状況に係る届出書」(2種類)
- 新様式:「受入れ・活動・支援実施状況に係る届出書」(参考様式第3-6号)に統合
記載内容も見直され、労働日数・労働時間数・給与の支給総額・昇給率などは年度平均で記載する方式になりました。
定期届出に必要な主な書類
| 書類名 | 備考 |
|---|---|
| 受入れ・活動・支援実施状況に係る届出書(参考様式第3-6号) | 主様式。2025年4月1日施行の新ルールに対応する様式 |
| 特定技能外国人の受入れ状況・活動状況を説明する資料 | 賃金台帳・出勤簿等の写し |
| 税金・社会保険料の納付状況を確認できる資料 | 社会保険料領収書等 |
具体的な必要書類は受け入れる分野・状況によって異なります。最新の様式と詳細は入管庁公式ページの届出書類一覧でご確認ください。
随時届出の種類と提出期限
随時届出は「特定の事由が生じたとき」に行う届出であり、原則として事由発生から14日以内に提出する必要があります。主な事由と対応する届出の種類を整理します。
所属機関(受入れ企業)が行う随時届出
| 届出の種類 | 事由 | 期限 |
|---|---|---|
| 雇用契約に関する届出(新規締結) | 新たな特定技能外国人との雇用契約締結 | 事由発生から14日以内 |
| 雇用契約に関する届出(終了) | 雇用契約の終了(退職・解雇) | 事由発生から14日以内 |
| 雇用契約に関する届出(変更) | 雇用条件の変更(賃金・労働時間・業務内容等) | 事由発生から14日以内 |
| 支援計画に関する届出(変更) | 1号特定技能外国人支援計画の内容を変更した場合 | 変更後14日以内 |
| 受入れ困難届出(参考様式第3-4号) | 自己都合でない退職、行方不明、傷病、1か月以上の活動不能等で受入れ継続が困難になった場合 | 事由発生から14日以内 |
| 特定技能雇用契約の終了に係る届出 | 特定技能外国人が行方不明になり契約を終了した場合(受入れ困難届出も併せて提出) | 事由発生から14日以内 |
| 所属機関の変更等に関する届出(軽微な変更を除く) | 法人名・所在地・代表者等の変更 | 変更後14日以内 |
ポイント:「退職」と「離職証明書」
外国人が離職した場合、退職に関する随時届出(特定技能雇用契約の終了に係る届出)が必要です。さらに、外国人の責めに帰すべき事由によらない契約終了(非自発的離職)の場合は、義務的支援として転職支援を行うことが求められます。放置すると入管庁から問い合わせを受ける場合もあるため、迅速な対応が必要です。
届出先・提出方法・様式
届出先
定期届出・随時届出とも、提出先は受入れ機関(所属機関)の所在地を管轄する地方出入国在留管理局です。
提出方法
| 提出方法 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| 窓口持参 | その場で受付確認できる | 各地方局の受付時間内に訪問が必要 |
| 郵送 | 遠方でも対応可能 | 期限内に到着するよう余裕をもって発送 |
| 電子届出システム(オンライン) | 24時間受付・書類の物理的移動不要 | 事前に入管庁の電子届出システムへの利用登録が必要 |
入管庁はオンライン申請を推奨しており、電子届出システムを活用することで手続きの効率化が図れます。様式のダウンロードや提出方法の詳細は出入国在留管理庁の公式ページでご確認ください。
届出懈怠の罰則と欠格事由
届出義務の懈怠(未提出・虚偽届出)は法律上の制裁対象となります。主なリスクは3点です。
① 罰則(罰金)
入管法の規定により、届出を怠ったり虚偽の届出を行った場合、30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。やむを得ない事情で14日以内に提出できない場合は遅延理由書を添付することで対応可能ですが、未提出を続けることは欠格事由該当のリスクがあるため非常に危険です。
② 欠格事由への該当
特定技能外国人の受入れには受入れ機関に欠格事由がないことが求められます。届出懈怠や虚偽届出が確認された場合、入管法上の欠格事由に該当し、以後の特定技能外国人の受入れが認められなくなる場合があります。
③ 在留期間更新時の審査への影響
在留期間更新申請の審査では、過去の届出実績が確認されます。定期届出が未提出だった場合や随時届出が遅延していた場合、審査担当者による厳しい確認が行われ、不許可のリスクが高まります。
見落としやすいケース:外国人が自己都合退職した場合でも、退職の随時届出は受入れ機関が行う必要があります。「外国人が辞めたから手続きが終わった」という認識は誤りです。
登録支援機関との役割分担
特定技能外国人の受入れでは、義務的支援の全部を登録支援機関に委託することができます。委託しても届出義務は受入れ機関が負いますが、書類作成の補助や管理体制の構築を登録支援機関に依頼することは可能です。
| 業務 | 受入れ機関(義務) | 登録支援機関(委託時) |
|---|---|---|
| 定期届出の提出 | 義務(委託不可) | 情報提供・連携補助は可(業としての書類作成は行政書士または弁護士に限定/2026年1月施行の改正行政書士法) |
| 随時届出の提出 | 義務(委託不可) | 情報提供・連携補助は可(業としての書類作成は行政書士または弁護士に限定) |
| 義務的支援(生活オリエンテーション等)の実施 | 義務(全部委託可) | 全部代行可 |
| 定期面談の実施 | 義務(委託可) | 代行可 |
| 登録支援機関自身の定期届出 | — | 所属機関経由で提出(2025年4月省令改正による) |
2025年4月施行の省令改正で、登録支援機関が提出する定期届出は所属機関を経由する方式に変更されました(実運用は2026年4月以降の届出から)。支援委託している場合は、登録支援機関から適切に報告を受け、所属機関が最終的な届出を行う体制の整備が求められます。
グループ内の行政書士法人Treeでは、登録支援機関として義務的支援の実施から届出書類の作成補助まで対応しています。届出管理の体制構築でお困りの方はお気軽にご相談ください。
よくある質問
Q. 特定技能の定期届出は年に何回提出する必要がありますか?
A. 2025年4月1日施行の省令改正により、特定技能の定期届出は従来の年4回(四半期ごと)から年1回に変更されました。対象期間は4月1日から翌年3月31日、提出期限は翌年5月31日です。新ルールでの最初の提出期間は2026年4月1日〜5月31日となります。
Q. 随時届出の提出期限はいつですか?
A. 随時届出は事由が発生した日から14日以内の提出が必要です。郵送の場合は期限内に入管庁に届くよう余裕をもって発送してください。オンライン申請(電子届出システム)を利用する場合は事前に利用登録が必要です。
Q. 随時届出が必要な主な事由は何ですか?
A. 所属機関として随時届出が必要な主な事由は、①特定技能外国人が退職・解雇された場合、②新たな雇用契約を締結した(転籍・再雇用)場合、③賃金・労働時間・業務内容等の雇用条件を変更した場合、④支援計画の内容を変更した場合、⑤外国人が行方不明になった場合、⑥受入れ継続が困難になった場合です。このうち、雇用契約や支援計画の変更等は原則14日以内、受入れ困難や行方不明者発生も事由発生から14日以内に届け出る必要があります。
Q. 届出を怠った場合、どのようなペナルティがありますか?
A. 入管法の規定により、届出を怠ったり虚偽の届出をした場合、30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。また、届出懈怠は特定技能外国人の受入れ欠格事由に該当し、以後の受入れが認められなくなる場合もあります。在留期間更新審査にも影響します。
Q. 登録支援機関に委託した場合、届出は誰が行いますか?
A. 定期届出・随時届出ともに提出義務を負うのは受入れ機関(所属機関)です。登録支援機関に支援業務を全部委託していても、届出義務は委託できません。2025年4月の省令改正により、登録支援機関が提出する定期届出は所属機関を経由して提出する方式に変更されました(実運用は2026年4月以降の届出から)。
まとめ
本記事のポイントを整理します。
- 特定技能の届出は「定期届出(年1回)」と「随時届出(事由発生から14日以内)」の2種類
- 2025年4月施行の省令改正で定期届出が年4回から年1回へ変更。新様式(参考様式第3-6号)が適用され、新ルール初回の提出時期は2026年4月1日〜5月31日
- 最初の新ルール適用となる提出期間は2026年4月1日〜5月31日
- 届出懈怠には30万円以下の罰金・欠格事由該当・更新審査への影響という3重のリスクがある
- 登録支援機関への委託は支援業務の負担軽減に有効だが、届出義務は受入れ機関が引き続き負う
※ 本記事の内容は2026年4月時点の入管法令・運用要領に基づいています。届出様式・提出期限・制度の詳細は変更される場合があります。最新情報は出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出(提出書類)」公式ページでご確認ください。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別案件への法的助言ではございません。具体的なケースについては専門家へのご相談をおすすめいたします。