特定技能と特定活動の違い|移行・待機期間の在留管理

名称が似ている「特定技能」と「特定活動」は、入管法上の位置づけも、企業が確認すべき事項も別物です。特定技能は別表第一の二の表に置かれた固有の在留資格で、従事できる業務が法令で枠づけられます。特定活動は別表第一の五の表にわずか一行、「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」とだけ定められた受け皿であり、何ができるかは一人ひとりの指定書を見なければ判断できません。本記事では両者の法的な違いを整理したうえで、特定技能1号準備・特定技能2号準備・就労継続支援・特定自動車運送業準備という4つの特定技能関係の特定活動の在留期間と更新回数、通算在留期間への算入、待機期間中の在留管理までを、出入国在留管理庁の公表資料と運用要領に沿って実務目線で解説します。

入管法上の位置づけが根本的に違う

出入国管理及び難民認定法(入管法)は、在留資格ごとに「本邦において行うことができる活動」を別表で定めています。特定技能は別表第一の二の表に置かれ、第1号は「法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用に関する契約に基づいて行う特定産業分野であつて法務大臣が指定するものに属する法務省令で定める相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動」、第2号は同じ枠組みで「熟練した技能を要する業務に従事する活動」と規定されています。分野・機関・技能水準が法令の側から枠づけられている点が特徴です。

対する特定活動は、別表第一の五の表の下欄がわずか一行、「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」とだけ定められています。活動内容を法律が列挙するのではなく、個別の許可の中で指定する構造になっているため、同じ「特定活動」の在留カードを持っていても、就労の可否も範囲も人によって異なります。

比較項目特定技能特定活動
入管法上の根拠別表第一の二の表別表第一の五の表
活動の定め方法令が業務範囲・分野を枠づける法務大臣が個々の外国人について特に指定する
在留期間1号:3年を超えない範囲内で法務大臣が個々に指定する期間
2号:3年、2年、1年又は6月
5年、3年、1年、6月、3月又は法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)
通算の上限1号は通算原則5年以内、2号は上限なし類型ごとに異なる
企業側の確認方法在留カード+指定書(機関名・特定産業分野)在留カード+指定書(指定された活動の内容)
家族帯同の可否も法律の建て付けから来ている

特定技能1号に家族帯同が認められないのは運用上の判断ではありません。別表第一の四の表「家族滞在」の下欄は、扶養者の在留資格から「特定技能(二の表の特定技能の項の下欄第一号に係るものに限る。)」を明文で除外しています。法律が入口で閉じている以上、個別事情による例外は想定されていません。

告示特定活動と告示外特定活動

特定活動は大きく2つに分かれます。分岐点は、法務大臣があらかじめ告示で定めた活動に当たるかどうかです。

入管法第7条第1項第2号は上陸のための条件を定めた規定で、別表第一の下欄に掲げる活動に該当することを求めつつ、「五の表の下欄に掲げる活動については、法務大臣があらかじめ告示をもつて定める活動に限る」という括弧書きを置いています。つまり、海外から新たに入国して特定活動で在留するには、告示に掲げられた活動でなければなりません。この告示が「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第一の五の表の下欄に掲げる活動を定める件」(平成2年5月24日法務省告示第131号)で、令和8年4月8日法務省告示第31号による改正を経ています。

特定技能への移行準備や、活動継続が困難になった場合の受け皿として使われる特定活動は、この「個別事情に応じて指定する」性格を強く持ちます。制度の枠外にある例外的な救済ではなく、出入国在留管理庁が要件と在留期間を公表したうえで運用している措置である点を押さえておくと、社内での説明もしやすくなります。

指定書は特定活動だけのものではない

在留カードは中長期在留者に交付され、「就労制限の有無」欄には「就労不可」「就労制限なし」「在留資格に基づく就労活動のみ可」「指定書により指定された就労活動のみ可」のいずれかが記載されます。特定活動の場合、この欄だけでは何をどこまでできるのかが読み取れず、旅券に添付された指定書の確認が欠かせません。

見落とされがちなのは、指定書が交付されるのは特定活動に限らないという点です。特定技能外国人受入れに関する運用要領は、1号・2号いずれについても「許可がされる場合には、在留カードとともに、次の内容が記載された指定書が交付されます」と述べ、指定内容として本邦の公私の機関(名称・住所)と特定産業分野が記載される旨を示しています。特定技能の在留カードを持つ人材を採用する際も、指定書に書かれた機関名が自社かどうかの確認が必要になります。

「同じ在留資格のまま」でも変更許可が必要になる場面

入管法第20条第1項は在留資格の変更について、特定技能の在留資格を有する者は「法務大臣が指定する本邦の公私の機関又は特定産業分野の変更を含み」、特定活動の在留資格を有する者は「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動の変更を含む」と規定しています。運用要領も、転職により指定書に記載された特定技能所属機関を変更する場合または特定産業分野を変更する場合は在留資格変更許可を受けなければならないとし、あわせて「在留資格変更許可申請中は、変更予定の就労先での就労活動は認められません」と明記しています。在留カードの表示が変わらないため見過ごされやすい論点です。

特定技能関係の特定活動は4類型

出入国在留管理庁は「特定技能関係の特定活動」として次の4つを公表しています。目的も在留期間も更新の扱いも異なるため、社内では類型名で区別して管理するのが安全です。

類型想定される場面在留期間更新
特定技能1号準備特定技能1号への変更を希望するが、在留期間の満了日までに申請書類が揃わないなど準備に時間を要する場合6月(就労可)やむを得ない事情がある場合に1回限り
特定技能2号準備特定技能2号への変更を希望するが、移行の準備に時間を要する場合6月(就労可)やむを得ない事情がある場合に1回限り
就労継続支援やむを得ない事情で活動継続が困難となり、試験未合格のまま次の受入先を探す場合1年2回まで
特定自動車運送業準備自動車運送業分野の特定技能1号になるため、運転免許の取得や新任運転者研修の修了が必要な場合トラック運転者は6月、タクシー運転者・バス運転者は1年更新できない

特定自動車運送業準備で認められる活動は、運転免許の取得に係る諸手続(自動車教習所への通所を含む)、タクシー運送業およびバス運送業の場合の新任運転者研修の受講、車両の清掃等の関連業務です。要件は運転免許取得と新任運転者研修修了を除き特定技能1号の申請時と同様とされ、本特定活動で在留した期間は特定技能1号の通算在留期間に含まれません。免許取得までの空白期間を通算枠から切り離せるため、分野特性を踏まえた設計になっています。

移行準備の特定活動(6月・就労可)

実務でもっとも登場頻度が高いのが、特定技能1号への移行準備を目的とする特定活動です。在留期間の満了日までに申請に必要な書類を揃えることができないなど、移行のための準備に時間を要する場合に「特定活動(6月・就労可)」への在留資格変更許可申請を行うことができ、特定技能1号で就労を予定している受入れ機関で働きながら準備を進められます。

1
在留期間は6月

令和6年1月9日以降の申請では、付与される在留期間が「6月」とされています。

2
更新は1回限り

やむを得ない事情があると認められる場合に限り、1回のみ認められます。本人の責めに帰さない理由で従前の受入れ機関での就労継続が困難となり、受入れ機関の変更を希望する場合などが想定されています。

3
通算5年に算入される

この在留資格で在留した期間は、特定技能1号の通算在留期間(上限5年)に含まれます。

4
残り期間が短い人は対象外

特定技能1号として在留していた通算在留期間が4年6月を超える方は対象外とされ、残余の通算在留期間が8月以上あることが推奨されています。

提出書類としては、在留資格変更許可申請書、写真、旅券および在留カード、受入れ機関が作成する説明書、雇用契約書・雇用条件書のほか、技能試験および日本語試験に合格していること、または技能実習2号良好修了者等として試験免除に当たることを証明する資料が求められます。特定技能2号準備も同様に「特定活動(6月・就労可)」で、更新はやむを得ない事情がある場合に1回限り、受入れ機関の変更により改めて申請することはやむを得ない事情がある場合を除き原則として認められません。

試験の未合格を埋める制度ではない

移行準備の特定活動は、書類収集や社内決裁が在留期限に間に合わないという時間の問題への措置です。試験合格や試験免除の立証が求められる以上、試験対策の猶予として使うことはできません。試験がまだの段階で使える枠組みは、次に述べる就労継続支援の方です。

やむを得ない事情による就労継続支援

「特定活動」(就労継続支援)は、特定技能1号への変更を希望しているものの、申請時点で技能試験もしくは日本語試験またはその両方に合格していない人を対象とする措置です。倒産や解雇で行き場を失った人材を、試験合格まで日本にとどめて就労させながら支える設計になっています。

対象となる方

やむを得ない事情の例

雇用先の倒産・事業縮小・解雇のほか、暴行や各種ハラスメント等の人権侵害行為、重大悪質な法令違反行為や契約違反行為、就職内定の取消しなどが示されています。本人の責任で職を失った場合は対象になりません。

在留期間と更新

付与される在留期間は1年で、2回まで更新が可能です。技能実習生については、更新後の在留期限が元の技能実習2号の期限を超えない範囲に限られます。2回目の更新時には、技能試験または日本語試験のいずれかに合格している必要があります。合格が積み上がらなければ在留は続かない構造で、受入れ側にも学習支援の実質が求められます。

受入れ機関側に求められる主な要件
  • 特定技能外国人を通算1年以上受け入れた実績を有すること
  • 申請人が本邦において行う活動を安定的かつ円滑に行えるようにするための職業生活上、日常生活上または社会生活上の支援を行う担当者を選任すること
  • 同じ職種の技能実習生を現に受け入れていないこと

通算在留期間への算入と待機期間の管理

特定技能1号は通算在留期間が原則5年以内です。ここで問題になるのが、働いていない期間や手続の待ち時間をどう数えるかという点で、運用要領は算入する期間と算入しない期間を具体的に列挙しています。

区分該当する期間
通算に含まれる失業中の期間/再入国許可(みなし再入国許可を含む)による出国期間/特定技能1号を有する者が行った在留資格変更許可申請または在留期間更新許可申請中の特例期間/特例措置として特定技能1号への移行準備のために就労活動を認める「特定活動」で在留していた期間
通算に含まれない再入国許可により出国したものの、やむを得ない事情により再入国することができなかった期間/産前産後休業期間・育児休業期間/病気・怪我(労災を含む)による休業期間/特定自動車運送業準備の特定活動で在留した期間

産前産後休業は労働基準法に基づく産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)・産後8週間、育児休業は育児・介護休業法に基づく子が1歳に達するまでの期間が基準です。保育所などに入所できない場合に1歳6か月まで、再延長で2歳まで延長したときはその期間が対象になります。これらの除外は自動的に適用されるものではなく、通算在留期間が満了する前(おおむね3か月前)に疎明資料とともに在留諸申請を行い、許可を受ける必要があります。

なお、特定技能2号で従事しようとする業務に必要な熟練した技能を評価する試験または介護福祉士国家試験に不合格となり一定の要件を満たす場合には、「5年を超えて在留することについて相当の理由があると認められる場合」として通算在留期間が6年となる取扱いが設けられています。

待機期間は「時間が止まる」わけではない

出入国在留管理庁のQ&Aは、失業した場合であっても直ちに帰国しなければならないわけではなく、就職活動を行うのであれば少なくとも在留期間内は在留することが可能としています。ただし特定技能1号のまま在留している限り、失業中の期間も変更許可申請中の特例期間も通算5年に算入されます。転職先が決まらない期間が長引くほど、本人が最終的に働ける期間は削られていきます。

受入企業が押さえる在留管理の実務

ここまでの内容を、受入企業の側で運用に落とし込むと次の点に集約されます。

POINT 01
在留カードと指定書はセットで確認

特定活動は「指定書により指定された就労活動のみ可」と表示されるため、カード単独では判断できません。特定技能でも機関名と特定産業分野が指定書に記載されます。

POINT 02
指定書の機関名が自社かを見る

他社が指定された指定書のまま自社で就労させることはできません。転職に伴う機関の変更には在留資格変更許可が必要です。

POINT 03
申請中の就労開始は認められない

運用要領は、在留資格変更許可申請中は変更予定の就労先での就労活動は認められないとしています。入社日の設定は許可後を前提に組みます。

POINT 04
更新回数の上限から逆算する

移行準備は6月・更新1回、就労継続支援は1年・更新2回、特定自動車運送業準備は更新なし。使える回数が限られるため、書類収集の着手を前倒しします。

POINT 05
残余の通算期間を管理する

特定技能1号として4年6月を超えて在留した人は移行準備の特定活動を使えません。採用時点で残り期間を把握しておく必要があります。

POINT 06
除外申請は期限前に動く

産前産後休業や傷病休業を通算から除外するには、通算期間の満了前に疎明資料を添えた申請が必要です。休業に入った時点で準備を始めます。

手続の担い手について

株式会社TreeGlobalPartnersは外国人の有料職業紹介(許可番号 13-ユ-317879)を行う会社です。在留資格変更許可申請や1号特定技能外国人支援計画の作成といった申請取次を含む行政書士業務は、グループ内の行政書士法人Treeが担当します。人材の紹介から在留手続、受入れ後の支援までを分担しながら一体で進める体制をとっています。

よくある質問

特定活動と特定技能は、どちらが上位の在留資格ですか。
上下関係はありません。特定技能は入管法別表第一の二の表に置かれた在留資格で、従事できる業務が法令で枠づけられています。特定活動は別表第一の五の表の在留資格で、下欄は「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」とだけ定められており、内容は一人ひとり異なります。特定技能関係の特定活動は、特定技能へ移行するまでの橋渡しとして設けられた措置です。
特定活動の在留カードを持つ人を採用してよいか、どこで判断しますか。
在留カードの「就労制限の有無」欄と、旅券に添付された指定書の両方を確認します。特定活動では同欄に「指定書により指定された就労活動のみ可」または「就労不可」と記載され、カードだけでは可否も範囲も判断できません。指定書で指定された活動の内容と、機関が指定されている場合はその名称が自社かどうかを確認してください。
特定技能1号への移行準備の特定活動は、何度でも更新できますか。
できません。令和6年1月9日以降の申請では在留期間が6月とされ、更新はやむを得ない事情があると認められる場合に1回限りです。やむを得ない事情は、本人の責めに帰さない理由により従前の受入れ機関での就労継続が困難となり、受入れ機関の変更を希望する場合などに限られます。
移行準備の特定活動の期間は、特定技能1号の5年に含まれますか。
含まれます。出入国在留管理庁は、特定技能1号への移行を希望する場合の「特定活動」で在留した期間は特定技能1号の通算在留期間(上限5年)に含まれると公表しています。特定技能1号としての通算在留期間が4年6月を超える方は対象外で、残余の通算在留期間が8月以上あることが推奨されています。一方、自動車運送業分野の準備活動として認められる特定活動の期間は通算に含まれません。
自社都合で雇用契約を終了した特定技能外国人は、すぐ帰国することになりますか。
直ちに帰国しなければならないわけではありません。出入国在留管理庁のQ&Aでは、失業した場合であっても、就職活動を行うのであれば少なくとも在留期間内は在留することが可能とされています。ただし特定技能1号のまま在留する限り、失業中の期間も通算在留期間に算入されます。転職先が決まって在留資格変更許可申請を行っても、許可が下りるまでは変更予定の就労先で働くことはできません。

まとめ

本記事は現時点(2026年8月)の出入国管理及び難民認定法、特定活動告示、出入国在留管理庁の公表資料および特定技能外国人受入れに関する運用要領に基づき、特定技能と特定活動の関係について一般的な情報を整理したものです。制度・要件・運用は改正される場合があり、個別事案への適用は条件により異なります。最新かつ正確な取扱いは出入国在留管理庁の公表資料および専門家にご確認ください。