国内在留者の採用は在留資格変更許可申請で進む
在留資格を有する外国人が在留目的を変えるときの手続は、出入国管理及び難民認定法(入管法)第20条に定められています。同条第3項は「当該外国人が提出した文書により在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、これを許可することができる」と規定しており、許否は提出資料に基づく裁量判断です。
出入国在留管理庁の案内では、申請先は住居地を管轄する地方出入国在留管理官署、申請期間は変更の事由が生じたときから在留期間満了日以前、標準処理期間は1か月から2か月とされています。手数料は窓口で申請する場合が6,000円、オンライン申請の場合が5,500円です。
| 比較項目 | 海外から呼び寄せる場合 | 国内在留者を採用する場合 |
|---|---|---|
| 手続の種類 | 在留資格認定証明書交付申請 | 在留資格変更許可申請 |
| 申請を行う者 | 雇用契約を締結した機関の職員が代理人となる | 本人または申請取次者等が出頭して行う(オンライン申請を除く) |
| 手数料 | 無料 | 窓口6,000円/オンライン5,500円 |
| 健康診断の時期 | 申請の日から遡って3か月以内 | 申請の日から遡って1年以内に日本の医療機関で受診していれば差し支えない |
| 入国時の送迎支援 | 義務的支援 | 既に日本に在留している場合は対象外(任意的支援) |
運用要領は、技能実習生や留学生などで在留中の者が特定技能へ在留資格を変更しようとする場合、申請の日から遡って1年以内に日本の医療機関で医師の診断を受けていれば、その診断書を提出することとして差し支えないとしています。定期健康診断の記録がそのまま使える場面もあるため、社内の健診記録を先に確認してください。
元の在留資格によって前提条件が変わる
運用要領は、特定技能への変更について「原則として相当の理由があるとは認められないと判断される具体的な例」を列挙しています。国内在留者の採用では、選考の段階でこのリストに触れていないかを先に確認します。
- 「留学」の在留資格を有する者で、所属していた教育機関における在籍状況が良好でないもの(在留資格に応じた活動を行わないで在留していたことにつき正当な理由がある場合を除く)
- 「失踪した技能実習生」(同じく正当な理由がある場合を除く)
- 「短期滞在」の在留資格を有する者
- 活動計画の作成が求められる在留資格で、その計画の性格上ほかの在留資格への変更が予定されていないもの。「技能実習」「研修」については、計画の途中にあるものに限られ、当該計画を修了したものは除かれます
技能実習中の者について運用要領は、計画の途中にある場合は原則として特定技能への在留資格変更は認められないとしたうえで、やむを得ない事情がある場合にはまず地方出入国在留管理局に相談するよう案内しています。挙げられている例は、本人が技能実習2号修了後に特定技能1号への移行を希望していたものの、特定技能所属機関の経営上の都合により採用が取りやめになったことに起因して技能実習3号へ移行した場合などです。
変更許可の判断では、入管法に定める届出義務の履行、納税義務のほか公的義務の履行、素行、これまでの在留活動の状況も考慮されます。素行については「善良であることが前提となり、良好でない場合には消極的な要素として評価される」とされ、退去強制事由に準ずるような刑事処分を受ける行為や、不法就労をあっせんするなど出入国在留管理行政上看過することのできない行為があれば素行が不良と判断されます。
特定技能1号では家族の帯同が認められません。ただし運用要領は、例外として「留学」から「特定技能1号」に在留資格を変更する際、既に「家族滞在」の在留資格で日本に在留している配偶者や子どもについては、特に人道上の配慮が必要であるとして、在留資格「特定活動」への変更が認められる場合があるとしています。留学生の採用では、家族の在留についても同時に確認しておく必要があります。
留学生を採用するときに確認する事項
公的義務の履行状況が審査の分岐点になる
運用要領は、日本に在留する留学生等を特定技能外国人として雇用する場合、納税義務や社会保険料納付義務が履行されていないと審査に時間を要するほか許可がされないこととなるため、採用予定者が公的義務を履行しているかをあらかじめ確認するよう明記しています。確認対象として挙げられている書類は次のとおりです。
| 区分 | 運用要領が挙げる確認対象の書類 |
|---|---|
| 租税 | 全ての納期が経過している直近1年度分の個人住民税の納税証明書/同一年度の課税証明書/課税証明書と同一年分の給与所得の源泉徴収票/確定申告が必要な場合は納税証明書(その3) |
| 国民健康保険 | マイナポータルからダウンロードした医療保険の資格情報の写しまたは資格確認書の写し/直近1年度分の国民健康保険料(税)納付証明書 |
| 国民年金 | 被保険者記録照会回答票/申請月の前々月までの24か月分全ての国民年金保険料領収証書の写し、または被保険者記録照会(納付Ⅱ) |
| 滞納がある場合 | 公的義務履行に関する誓約書(参考様式第1-26号)/納付緩和措置等の申請中であることなど、納付できないことにやむを得ない事情があることを疎明する資料 |
アルバイト先が複数あった留学生では、確定申告の要否が論点になります。運用要領は、同一年内に複数の勤務先からの収入があるときは現在の勤務先または最寄りの税務署に確定申告を行う必要がないか確認が必要としており、出入国在留管理庁の留学生向け案内でも、複数のアルバイト先がある場合は確定申告のほか税務署発行の納税証明書(その3)の提出が必要と示されています。証明書の取得には日数がかかるため、内定を出した段階で本人に着手させるのが現実的です。
なお、特別徴収した個人住民税を受入企業が納入していないことに起因して未納が判明した場合は、本人が納税義務を履行していないとは評価されず、特定技能所属機関が労働・社会保険・租税に関する法令の規定を遵守している旨の基準に適合していないものとして取り扱われます。企業側の納入事務も同じ審査の視野に入っています。
在籍状況・資格外活動の実績と申請時期
教育機関における在籍状況が良好でない留学生は、先に挙げたとおり相当の理由が認められない例に含まれます。出席率や在籍の継続状況は内定前に確認する項目です。あわせて、資格外活動許可に基づくアルバイトの実績も見ておきます。「留学」の資格外活動許可(包括許可)は、出入国在留管理庁の案内では1週について28時間以内(教育機関の長期休業期間にあっては1日について8時間以内)とされており、これを超える就労は在留状況の評価に影響します。
時期の設計も重要です。出入国在留管理庁は留学生向けの案内で、卒業月である3月から4月は申請が集中することが見込まれるため早めの申請を求めています。各地方出入国在留管理局・支局(空港支局を除く)には「留学生の就職支援に係る専用窓口」が設置され、相談の受付と申請書類の事前点検が行われており、留学生本人だけでなく採用企業や学校関係者からの相談も対象とされています。
技能実習生を採用するときに確認する事項
出入国在留管理庁の「特定技能制度に関するQ&A」は、技能実習生が帰国しないで引き続き特定技能外国人として働くことは可能であるとし、申請時期については技能実習2号の実習中であっても申請は可能で、必要な書類の準備ができ次第申請するよう案内しています。
技能実習2号を良好に修了し、修得した技能が従事しようとする業務と関連性が認められる場合は、技能水準と日本語能力水準の証明が免除されます。運用要領は「良好に修了している」を、技能実習を2年10か月以上修了し、第2号技能実習計画の目標である技能検定3級もしくはこれに相当する技能実習評価試験(専門級)の実技試験に合格していること、またはこれらに合格していないものの実習実施者が作成した評価に関する書面により良好に修了したと認められることと定義しています。
特定技能外国人を受け入れようとする機関が、その外国人を技能実習生として受け入れていた実習実施者である場合(技能実習2号を修了して帰国した後に同一の実習実施者と契約する場合を含む)には、過去1年以内に技能実習法の改善命令を受けていない場合に限り、技能検定3級等の合格証明書の写しおよび評価調書の提出を省略することができます。
報酬設定は「経験者」として組み立てる
技能実習からの切替で見落とされやすいのが報酬の水準です。運用要領は、特定技能外国人は技能実習2号修了者であればおおむね3年間、技能実習3号修了者であればおおむね5年間在留して技能実習を修了した者であることから、おおむね3年程度または5年程度の経験者として取り扱う必要があるとしています。自社で受け入れていた実習生を雇用する場合は、技能実習2号修了時の報酬額を上回ることはもとより、実際に同程度の経験を積んだ日本人の技能者に支払っている報酬額とも比較して設定します。他社の実習生や留学生等を新たに雇用する場合は、自社の就業規則等に従って設定します。
住居をそのまま使う場合の広さ
支援に関する運用要領は、技能実習2号等から特定技能1号へ在留資格を変更する場合で、申請時点で既に確保している社宅等に引き続き居住することを希望するときであっても、少なくとも技能実習生について求められている寝室1人当たり4.5平方メートル以上を満たす必要があるとしています。実習生時代の寮を継続利用する前提なら、面積の実測値を先に押さえてください。
申請前に受入企業側でそろえておくもの
変更許可申請は本人の書類だけで完結しません。受入企業側の適格性を示す書類と支援体制の整備が同時に問われ、順序を誤ると申請そのものが止まります。
出入国在留管理庁のQ&Aは、特定技能所属機関は在留諸申請の前に必ず協議会の構成員となる必要があるとしています。加入手続の方法は分野を所管する行政機関のホームページで確認します。
特定技能雇用契約書(参考様式第1-5号)と雇用条件書(参考様式第1-6号)は、申請人が十分に理解できる言語により作成し、内容を理解した上で署名を得る必要があります。
支援計画書(参考様式第1-17号)は日本語のほか本人が十分に理解できる言語で作成し、写しを交付して内容を説明したうえで署名を得ます。事業所所在地と住居地の市区町村が実施する共生施策を確認し、市区町村名・確認日・確認方法を記入します。
特定技能基準省令第3条第1項第1号イは、在留資格認定証明書の交付の申請前、外国人が他の在留資格をもって在留している場合にあっては在留資格の変更の申請前に情報提供を実施することを求めています。実施後は事前ガイダンスの確認書(参考様式第5-9号)に署名を得ます。
特定技能所属機関概要書(参考様式第1-11-1号)、登記事項証明書、労働保険料・社会保険料・国税・住民税の納付に係る資料などを提出します。一定の基準を満たす機関では提出の省略が認められる場合があります。
事前ガイダンスの所要時間にも目安があります。支援に関する運用要領は、情報提供する事項を十分に理解するためには3時間程度行うことが必要と考えられるとしたうえで、技能実習生等を同一機関で引き続き雇用するような場合であっても業務の内容や報酬の額その他の労働条件など必要な情報を十分に理解させる必要があり、1時間に満たないような場合は適切に行ったとはいえないとしています。「顔なじみだから省略できる」という運用は成り立ちません。
オンライン申請を使う場合は事前の利用者登録が必要です。運用要領は、登録が完了するまでに一定期間を要するため事前の準備を求めています。3月・4月の申請集中期に合わせて登録から始めると間に合わないおそれがあります。
就労開始日と空白期間をどう管理するか
国内在留者の採用で最も事故が起きやすいのが就労開始日の認識違いです。支援に関する運用要領は、事前ガイダンスで情報提供しなければならない事項のひとつとして、既に在留している場合は在留資格変更許可を受ける(在留カードを受領する)までは、新たな就労先での就労活動は認められないことを挙げています。技能実習を修了したその翌日から新しい職場で働かせる段取りは組めません。
在留期間の満了日が近い場合の受け皿として、入管法第20条第6項に特例があります。同項は、変更の申請があった場合(30日以下の在留期間を決定されている者からの申請を除く)に、在留期間の満了の日までに処分がされないときは、その満了後も、処分がされる時または従前の在留期間の満了の日から2月を経過する日が終了する時のいずれか早い時までの間、引き続き当該在留資格をもって在留することができると定めています。あくまで従前の在留資格で在留できる規定であり、特定技能としての就労を前倒しできるものではありません。
出入国在留管理庁は、特定技能1号への変更を希望する者が在留期間満了までに申請書類を準備できない場合の受け皿として、特定技能1号への移行準備のための「特定活動」を案内しています。令和6年1月9日以降の申請では在留期間「6月」が決定され、この在留資格では就労が可能です。更新はやむを得ない事情があると認められる場合に1回限りとされ、この期間は特定技能1号の通算在留期間(上限5年)に算入されます。特定技能1号での通算在留期間が4年6月を超える方は対象外です。
逆算の考え方はシンプルです。標準処理期間1か月から2か月を前提に、協議会加入の審査期間、納税証明書等の取得日数、事前ガイダンスの実施日を後ろから並べ、卒業予定日または技能実習の修了予定日に許可が間に合う日付を申請目標日に置きます。留学生ではここに3月から4月の申請集中が重なります。
許可後にすぐ着手する支援と届出
入管法第20条第4項第1号は、変更の許可に係る外国人が引き続き中長期在留者に該当し、または新たに中長期在留者に該当することとなるときは、在留カードを交付する措置をとることを定めています。第5項により、許可はこの措置があった時に効力を生じます。就労開始日は在留カード交付を基準に設定してください。
生活オリエンテーションは「変更を受けた後」に実施する
特定技能基準省令第3条第1項第1号ニは、外国人が本邦に入国した後、他の在留資格をもって在留している者である場合にあっては在留資格の変更を受けた後に、生活一般に関する事項、届出その他の手続、相談・苦情の連絡先、医療機関に関する事項、防災・防犯および緊急時の対応、法的保護に必要な事項について情報提供を実施することを求めています。支援に関する運用要領は、これを変更後遅滞なく実施する必要があるとし、十分に理解するためには少なくとも8時間以上行うことが必要と考えられると説明しています。
ここでも同一機関での継続雇用は免罪符になりません。運用要領は、技能実習2号良好修了者や留学生等を同一機関で引き続き雇用する場合であっても、相談・苦情の対応者の連絡先、緊急時における対応に必要な事項、法的保護に必要な事項など必要な情報を十分に理解させる必要があるとし、生活環境に変化がない場合であっても4時間に満たないようなときは適切に行ったとはいえないとしています。実施後は生活オリエンテーションの確認書(参考様式第5-8号)に署名を得て記録します。
生活オリエンテーションで情報提供すべき「生活ルール・マナー」には、就労・生活する地域におけるゴミの廃棄方法等(分別・出し方、収集日、粗大ゴミの捨て方等)が含まれます。分別区分や収集日は自治体により異なるため、居住地が変わる場合はもちろん、同じ市区町村でも最新の案内を確認したうえで説明資料を作り直してください。
届出は事由発生から14日以内
特定技能所属機関は、入管法第19条の18第1項第1号により、特定技能雇用契約の変更、契約の終了、新たな特定技能雇用契約の締結について届出義務を負います。出入国管理及び難民認定法施行規則第19条の17第2項は事由が生じた日から14日以内の届出を定めており、新たな契約締結の届出には特定技能雇用契約の終了又は締結に係る届出書(参考様式第3-1-2号)のほか、新たな契約に係る特定技能雇用契約書および雇用条件書の写しを添付します。届出は出入国在留管理庁電子届出システムでも行えます。
本人側にも届出義務があります。入管法第19条の16第2号は、特定技能で在留する中長期在留者について、契約の相手方である機関の名称・所在地の変更やその消滅、当該機関との契約の終了または新たな契約の締結が生じたときに14日以内の届出を義務づけています。生活オリエンテーションで扱う「届出その他の手続」にこの点も含めておくと、後の抜けが減ります。
なお支援に関する運用要領は、義務的支援はその全てを行う必要があるとしつつ、技能実習2号等から特定技能1号に在留資格を変更した場合などで客観的状況に照らして明らかに不要な支援は除くとしています。入国時の送迎がその代表例です。
よくある質問
まとめ
国内在留者の採用は在留資格変更許可申請で進みます。入管法第20条第3項は「変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるとき」に限って許可できると定めており、申請先は住居地を管轄する地方出入国在留管理官署、標準処理期間は1か月から2か月、手数料は窓口6,000円・オンライン5,500円です。健康診断は申請日から遡って1年以内の日本での受診で足りるなど、海外からの呼び寄せとは前提が異なります。
元の在留資格ごとに見る点が変わります。留学生では教育機関における在籍状況と、住民税・国民健康保険・国民年金の納付記録が中心になり、複数のアルバイト先があった場合は確定申告と納税証明書(その3)が必要になります。技能実習生では2号を2年10か月以上良好に修了しているかと分野の関連性が要件を左右し、計画の途中での移行は原則として認められません。
受入企業側の準備は申請前に完了させます。協議会には在留諸申請の前に加入する必要があり、事前ガイダンスは特定技能基準省令が「在留資格の変更の申請前」に実施することを求めています。同じ会社で働き続ける相手であっても、事前ガイダンス1時間未満、生活オリエンテーション4時間未満は適切な実施と認められません。
最後に落としてはならないのが日付の管理です。新しい就労先での就労は在留カードを受領するまで認められず、在留期間満了が迫るなら移行準備のための「特定活動」(在留期間6月・就労可・通算在留期間に算入)という受け皿があります。許可後は生活オリエンテーションを遅滞なく実施し、新たな特定技能雇用契約の締結について14日以内に届け出るところまでが一連の流れです。
本記事は現時点(2027年6月)の出入国在留管理庁の運用要領・Q&A等の公表内容および関係法令に基づき、日本国内に在留する外国人を特定技能1号で受け入れる場合の手続について一般的な情報を整理したものです。制度・基準・運用は改正される場合があり、個別事案への適用は条件により異なります。最新かつ正確な取扱いは出入国在留管理庁の公表資料および専門家にご確認ください。