結論から言えば、外国人のビザ申請を行政書士に依頼する場合、申請取次資格を持つ行政書士のみが本人に代わって入管へ代理提出できます。一般の行政書士は書類作成まで、申請取次行政書士は出頭不要の代理申請まで——この違いを知らずに依頼先を選ぶと、「申請書類を作ってもらったのに本人が入管に行かなければならなかった」というトラブルにつながります。
本記事では、行政書士がビザ申請で担える業務範囲と法的根拠、申請取次資格の仕組み、依頼するメリット5点、申請種別ごとの費用相場(日本行政書士会連合会報酬額統計調査・令和2年度)を体系的に整理します。依頼先を選ぶ際の確認ポイントも末尾にまとめています。
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行政書士はビザ申請で何ができるか——業務範囲と法的根拠
行政書士が入管手続きに関与できる根拠は、行政書士法第1条の2(官公署への提出書類の作成)と、出入国管理及び難民認定法施行規則(申請取次者の届出)にあります。ただし「書類の作成」と「取次(代理提出)」は別の権限であり、混同しないことが重要です。
行政書士が行える入管手続きの具体的な範囲
行政書士が入管手続きで担える業務は、主に次の3種類に分かれます。
- 申請書類の作成:在留資格認定証明書交付申請書、在留資格変更許可申請書、在留期間更新許可申請書などの作成(行政書士資格のみで可能)
- 添付資料の整備支援:理由書・申請理由書・雇用契約書などの作成支援(同上)
- 申請取次(代理提出):申請人に代わって入管窓口またはオンラインシステムで申請を提出する行為(申請取次資格を持つ行政書士のみ)
申請書類の「作成」と「取次(代理提出)」は別物
書類を作成できる行政書士であっても、申請取次資格がなければ外国人本人(または受入機関の担当者)が入管窓口に出頭する必要があります。入管での手続きは平日日中のみで、申請によっては長時間の待機が生じます。企業側の担当者や外国人本人が業務を離れて出頭するコストを考えると、申請取次資格の有無は依頼先選びの最重要チェックポイントです。
弁護士・司法書士と行政書士の業務範囲の違い
入管・ビザ手続きに関して、各士業の業務範囲はそれぞれ異なります。
| 士業 | 申請書類の作成 | 申請取次(代理提出) | 法律相談(有償) | 訴訟代理 |
|---|---|---|---|---|
| 行政書士(申請取次なし) | 可 | 不可 | 不可 | 不可 |
| 申請取次行政書士 | 可 | 可 | 不可 | 不可 |
| 弁護士 | 可 | 可(弁護士は当然に申請取次可) | 可 | 可 |
| 司法書士 | 不可(入管業務は業務範囲外) | 不可 | 不可 | 簡裁のみ |
行政書士は相手方との交渉は業務範囲外です。また、有償での法律相談は弁護士の独占業務に該当するため、行政書士が報酬をもらって許否の見通しを「保証」したり、不服申立の対応をしたりすることはできません。司法書士は登記・裁判所提出書類が主業務であり、入管・ビザ申請は業務範囲に含まれません。
「申請取次行政書士」とは——一般の行政書士との決定的な違い
申請取次行政書士(正式名称:申請取次者として届出を行った行政書士)は、出入国在留管理及び難民認定法施行規則の定めに基づき、地方出入国在留管理局長へ届出を行った行政書士です。この届出を行うことで、外国人本人の入管出頭を免除した上で申請の提出・受理を行う権限が与えられます。
申請取次資格の取得要件と届出制度
行政書士が申請取次資格を得るには、次のステップをすべて完了する必要があります。
- 行政書士資格の取得:行政書士試験合格または行政書士法に定める資格要件を満たすこと
- 日行連主催の研修を修了:日本行政書士会連合会(日行連)が主催する「出入国管理に関する研修」を受講・修了すること
- 効果測定(試験)に合格:研修修了後に実施される効果測定試験に合格すること
- 都道府県行政書士会経由で地方入管局へ届出:所属する都道府県行政書士会を通じて、管轄の地方出入国在留管理局長に申請取次者として届出を行うこと
外国人本人の出頭が免除されるメリット
申請取次行政書士に依頼する最大の実務的メリットは、外国人本人および受入機関(企業の担当者)が入管窓口に出頭する必要がなくなる点です。在留資格の認定・変更・更新を自力で申請する場合、申請人本人が平日に管轄の地方出入国在留管理局(またはその出張所)に出向く必要があります。
特に大都市圏では入管窓口の混雑が著しく、数時間の待機が生じることも珍しくありません。企業の担当者が外国人従業員とともに申請に出向く時間的コストは無視できず、申請取次行政書士への依頼によってこの負担を丸ごと解消できます。
資格の有効期間と3年ごとの更新義務
申請取次資格には3年ごとの更新義務があります。更新のためには日行連が実施する継続研修への参加と効果測定の受検が必要です。この更新制度は、申請取次者が常に最新の入管法令・運用変更に対応した知識を維持することを担保するためのものです。
依頼先の行政書士が申請取次資格を現に有しているか(届出が有効期間内か)は、依頼前に確認することが重要です。名刺や事務所ウェブサイトに「申請取次行政書士」「届出済申請取次行政書士」と記載されているか確認しましょう。
行政書士にビザ申請を依頼する5つのメリット
メリット1:書類の不備・矛盾を防ぎ許可率を高める
入管審査で不許可になる最大の原因は、書類の不備・矛盾・説明不足です。在留資格の要件を満たしているにもかかわらず、申請書類の記載不足や添付資料の抜け漏れによって不許可になるケースは少なくありません。
申請取次行政書士は、審査官の視点から申請書類全体を精査し、矛盾がないか、補完すべき説明はないかを確認した上で提出します。特に就労ビザの「技術・人文知識・国際業務」では、学歴・職歴と担当業務の適合性を丁寧に説明した理由書が審査の鍵になるため、専門家による書面作成のメリットは大きくなります。
メリット2:外国人本人・企業担当者の入管出頭が不要になる
前述のとおり、申請取次行政書士への委任により、外国人本人も企業担当者も入管に出頭する必要がなくなります。複数人の外国人従業員の在留期間更新が重なる時期でも、行政書士が一括して申請代行することで、企業側の手続き負担を大幅に軽減できます。
メリット3:追加資料請求にも代わって対応してもらえる
入管から「追加資料提出要求(RFE)」が届いた場合、申請取次行政書士が代わりに対応します。自力申請の場合、追加資料の内容が専門的で何を用意すればよいか判断に迷うことがありますが、専門家に依頼していれば追加資料の要求内容を分析し、的確な対応書類の作成・提出まで担ってもらえます。
メリット4:不許可になったときの再申請も一貫して依頼できる
一度不許可になると、その記録が残るため次の審査がより厳しくなります。不許可歴がある場合、再申請では不許可になった理由を解消した説明を加えた上で、より丁寧な立証が必要です。依頼先の行政書士が不許可理由の分析から再申請の書類整備まで一貫して対応できる体制かどうかは、依頼前に確認しておくべきポイントです。
メリット5:法改正・運用変更への対応を専門家に任せられる
入管法令は改正頻度が高く、2024〜2026年にかけても育成就労制度の整備、特定技能の分野拡大、オンライン申請の対象拡大など多数の変更がありました。申請取次行政書士は継続研修で最新情報を更新しているため、企業担当者が法改正情報を常時追跡しなくても、法令に沿った適切な申請が担保されます。
外国人材の採用から在留手続きまでワンストップで相談できます
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外国人材の紹介について相談するビザ申請を行政書士に依頼した場合の費用相場(申請種別一覧)
以下の費用相場は、日本行政書士会連合会「報酬額統計調査(令和2年度)」に基づく平均値です。実際の費用は事務所・案件の複雑さによって異なります。
就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)の費用相場
| 申請種別 | 平均額(税抜) | 目安レンジ |
|---|---|---|
| 在留資格認定証明書交付申請(就労) | 113,881円 | 70,000円〜180,000円程度 |
| 在留資格変更許可申請(就労) | 95,378円 | 50,000円〜150,000円程度 |
| 在留期間更新許可申請(就労) | 54,447円 | 30,000円〜100,000円程度 |
| 永住許可申請 | 131,527円 | 80,000円〜200,000円程度 |
出典:日本行政書士会連合会「報酬額統計調査(令和2年度)」
特定技能ビザの申請代行費用
特定技能の在留資格認定証明書交付申請・変更許可申請の相場は、就労ビザと同程度か、提出書類の多さから若干高めに設定する事務所もあります。上記調査は令和2年度時点のものであり、特定技能制度の普及に伴い市場価格も変動しています。複数の事務所から見積もりを取ることを推奨します。
費用に含まれるもの・別途かかる実費(収入印紙など)
行政書士への報酬(上表)とは別に、次の実費が発生します。
- 在留資格認定証明書交付申請:手数料なし(証明書交付は無料)
- 在留資格変更許可申請:収入印紙 6,000円(窓口申請)/ 5,500円(オンライン申請)
- 在留期間更新許可申請:収入印紙 4,000円(窓口申請)/ 3,500円(オンライン申請)
- 翻訳料:母国の証明書等を翻訳する場合(1通数千円〜)
収入印紙は外国人本人が負担するのが原則です(労働関係法令上、企業が申請手数料を外国人に一方的に負担させることは許容されますが、実態としては企業が負担するケースも多い)。また、上記手数料は出入国在留管理庁が定める公定料金であり、改定される場合があります。最新情報は出入国在留管理庁の申請手続きページでご確認ください。
自分で申請した場合との違い——専門家依頼が必要なケース
在留資格の変更・更新は外国人本人が入管窓口に出向けば自力で申請可能です。書類を揃えて適切に申請できれば、行政書士に依頼しなくても許可は取れます。では、どのような場合に専門家への依頼が必要になるのでしょうか。
初めての就労ビザ認定申請・変更申請
就労ビザの在留資格認定証明書交付申請(海外から招へいする場合)や在留資格変更許可申請(留学生からの変更等)は、要件の判断が複雑です。特に「技術・人文知識・国際業務」は業務内容が要件に合致するかどうかの説明が重要で、初めて手続きを行う企業担当者が独力で適切な理由書を作成するのは難易度が高くなります。不許可リスクを最小化するなら、初回は専門家への依頼を検討する価値があります。
転職・業種変更を伴う在留資格変更
外国人が転職した際、新しい業務内容が現在の在留資格で行える活動と異なる場合は在留資格変更が必要です。転職先の業種・職種と本人の学歴・経歴の適合性を説明する書類の整備は、就職時の認定申請と同等かそれ以上の難度になることがあります。
過去に不許可経験がある・在留状況に不安がある場合
過去に在留資格申請で不許可になった記録がある場合、次の申請では不許可理由が解消されていることを明示した説明が不可欠です。また、オーバーステイや資格外活動の経験がある場合は在留状況の問題点を適切に整理した上で申請する必要があり、専門家への相談が強く推奨されます。
行政書士選びで確認すべき4つのポイント
ビザ申請を依頼する行政書士を選ぶ際、以下の4点を事前に確認してください。
申請取次行政書士の資格の有無
依頼を検討している行政書士が「申請取次行政書士」として届出を行っているかを確認します。ウェブサイトや名刺に「届出済申請取次行政書士」「申請取次 登録番号○○」などの表記があるかチェックしましょう。有効期間内(最終更新から3年以内)かどうかも確認できれば理想的です。
就労ビザ・特定技能の実績と取扱件数
行政書士の業務範囲は幅広く、入管業務を専門としない事務所も多くあります。就労ビザや特定技能の申請実績が豊富で、実際の取扱件数を公表している事務所を選ぶことで、審査傾向の把握度や経験値に基づいた対応が期待できます。
不許可時の対応(再申請・返金ポリシー)
万が一不許可になった場合の対応方針を事前に確認します。「不許可の場合は無料で再申請」「一定の条件下で報酬の一部を返金」など、事務所によって対応が異なります。特に初回の就労ビザ認定申請・変更申請など不許可リスクが否定できない案件では、事前に確認しておくことで予期せぬ追加費用を避けられます。
費用の透明性(追加費用の事前説明)
見積もり時点で「追加資料が必要になった場合の費用」「実費(収入印紙・翻訳料等)の取り扱い」「キャンセル時の対応」が明示されているか確認します。着手後に想定外の追加費用を請求されるトラブルを防ぐため、契約前に料金体系全体を書面で確認するのが安全です。
よくある質問
Q. 行政書士にビザ申請を頼むといくらかかりますか?
A. 申請種別によって異なります。就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)の在留資格認定証明書交付申請で平均約11.4万円、変更許可申請で平均約9.5万円、更新許可申請で平均約5.4万円が相場です(日本行政書士会連合会報酬額統計調査・令和2年度)。別途、変更・更新申請には収入印紙代(窓口6,000円または5,500円など)が実費として発生します。
Q. 申請取次行政書士と普通の行政書士は何が違いますか?
A. 一般の行政書士は申請書類の作成は可能ですが、入管への代理提出(申請取次)はできません。申請取次行政書士は日行連の研修修了・効果測定合格・入管局への届出を経て申請取次資格を持つため、外国人本人の入管出頭を免除して代理で申請書類を提出できます。資格は3年ごとの更新が必要です。
Q. ビザ申請は自分でできますか?行政書士に頼む必要がありますか?
A. 在留資格変更・更新は本人が入管窓口に出向けば自分で申請できます。ただし、書類の不備や矛盾で不許可になるリスクがあり、一度不許可になると再申請の審査が厳しくなります。初めての就労ビザ認定申請・変更申請、転職を伴う変更申請、過去に不許可歴がある場合は専門家への依頼を推奨します。
Q. 行政書士に依頼するとビザの許可率は上がりますか?
A. 許可を保証することはできませんが、書類の不備・矛盾・説明不足を防ぐことで、本来許可になるケースが適切に許可される確率は高まります。許可率を公表している申請取次行政書士事務所の多くは90%後半の実績を示しています。ただし許可率の高さだけでなく、取り扱い実績や費用の透明性も含めて総合的に選ぶことが重要です。
外国人採用からビザ申請まで、グループでワンストップ対応
株式会社TreeGlobalPartnersは中間手数料なしのリーズナブルな外国人有料職業紹介を提供します。採用決定後の就労ビザ申請・更新・変更は、グループ内の行政書士法人Treeが一貫して代行。人材選定から在留手続きまで、窓口を一本化してお任せいただけます。
外国人材の紹介について相談する※ 本記事の内容は2026年3月時点の入管法令および行政書士法に基づきます。制度・手数料・運用は変更される場合があります。最新情報は出入国在留管理庁でご確認ください。
※ 費用相場は日本行政書士会連合会「報酬額統計調査(令和2年度)」の平均値であり、実際の費用は各事務所・案件の難易度により異なります。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言ではございません。具体的なケースについては専門家へのご相談をおすすめいたします。