外国人労働者の社会保険加入ガイド|健康保険・厚生年金・雇用保険の手続き

「外国人は社会保険に加入しなくていいのでは?」——外国人雇用が初めての企業で、こうした誤解が起きることがあります。結論から言えば、外国人労働者も日本人と同様に社会保険への加入義務があります。国籍は加入条件の判断要素ではありません。

外国人労働者を雇用したにもかかわらず社会保険の加入手続きを怠った場合、受入れ機関は法令違反となります。特定技能外国人の場合、社会保険の加入状況は在留期間更新の審査でも確認される事項です。本記事では、健康保険・厚生年金・労災保険・雇用保険の4保険の加入条件と手続きの流れを整理します。

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外国人と社会保険:基本原則

日本の社会保険制度は「属地主義」を原則としており、日本国内で就労する者は原則として加入義務があります。外国籍であることは、加入を免除する理由にはなりません(一部の例外を除く)。

外国人労働者に関係する社会保険制度は、大きく以下の4つに分類されます。

保険の種類 根拠法 加入窓口 保険料負担
健康保険 健康保険法 年金事務所・健保組合 労使折半
厚生年金保険 厚生年金保険法 年金事務所 労使折半
労災保険 労働者災害補償保険法 労働基準監督署 事業主全額負担
雇用保険 雇用保険法 ハローワーク 労使折半(労使で異なる率)

健康保険・厚生年金(狭義の社会保険)

健康保険と厚生年金保険は一体で加入手続きを行います。法人の場合は原則として全従業員が加入対象(強制適用事業所)です。個人事業主の場合は業種・規模によって適用の有無が異なります。

加入条件(2024年10月以降の基準)

週の所定労働時間および月額賃金が一定の水準を満たす場合に加入義務が生じます(厚生労働省の基準に基づく)。

条件 内容
週の所定労働時間 20時間以上
月額賃金 8.8万円以上
雇用見込み期間 2か月超(見込み含む)
学生の扱い 原則適用除外(例外あり)

短期滞在(在留資格「短期滞在」など)の外国人は、就労が認められていないため通常は加入対象外です。一方、特定技能・技能・技術・人文知識・国際業務・特定活動など就労を認める在留資格を持つ外国人は、上記の加入条件を満たした時点で加入が義務づけられます。

手続き:入社から5日以内

雇用開始日から5日以内に、管轄の年金事務所(または健康保険組合)へ「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」を提出します(日本年金機構:外国人従業員を雇用したときの手続き)。

  • 届出書類:「被保険者資格取得届」(在留カードのコピー添付が求められる場合あり)
  • 外国人の場合、氏名はアルファベット表記を基本とし、住民票の表記に合わせる
  • 基礎年金番号がある場合は記入する。初めて加入する場合は新規発行される

注意:特定技能外国人の在留期間更新申請では、健康保険・厚生年金の加入証明や保険料納付状況が確認されます。加入漏れや保険料滞納は更新審査の消極的要因となります。

労災保険

労災保険は使用する全ての労働者に自動的に適用されます。週の労働時間や雇用形態に関わらず、1人でも労働者を雇用した時点で事業所は労災保険に加入する義務があります。保険料は全額事業主負担です。

外国人労働者が業務中または通勤中にケガや病気をした場合、在留資格・国籍に関わらず労災保険が適用されます。受入れ機関は適切に労災申請の手続きを行う必要があります。

雇用保険

雇用保険についても、外国人労働者は日本人と同じ条件で加入義務があります。ただし、以下のいずれかに該当する場合は被保険者から除外されます。

  • 在留資格が「外交」または「公用」の者
  • 在留資格が「短期滞在」(就労不可)の者
  • 日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法に規定する特別永住者

加入条件

  • 週の所定労働時間が20時間以上であること
  • 31日以上の雇用見込みがあること

特定技能外国人はこれらの条件を通常満たすため、雇用保険の加入対象となります。

手続き:被保険者となった日の属する月の翌月10日まで

被保険者となった日の属する月の翌月10日までに、事業所の所在地を管轄するハローワークに「雇用保険 被保険者資格取得届」を提出します。外国人の場合は在留カードの番号の記入が必要です。

入社時の手続きフロー

外国人労働者を雇用した際の社会保険・労働保険の手続きをまとめます。

手続き 提出先 期限 主な書類
健康保険・厚生年金 資格取得届 年金事務所(健保組合) 入社から5日以内 被保険者資格取得届
雇用保険 資格取得届 ハローワーク 入社月の翌月10日まで 被保険者資格取得届、在留カードコピー
外国人雇用状況届出 ハローワーク 入社翌月末日まで(雇用保険加入者は取得届と同時) 外国人雇用状況届出書(雇用保険取得届に統合される場合あり)

ポイント:雇用保険の「被保険者資格取得届」の提出時に「外国人雇用状況届出」も兼ねて行うことができます。雇用保険の適用除外となる外国人(週20時間未満等)を雇用した場合でも「外国人雇用状況届出」は別途必要です。

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社会保障協定の締結国

日本は複数の国と社会保障協定を締結しています。協定の目的は、日本と相手国の両方で年金保険料を支払う「二重加入」の問題を解消することです(厚生労働省:社会保障協定)。

協定の主な内容は以下の2点です。

  • 保険料二重負担の解消:一方の国の制度にのみ加入し、もう一方の保険料は免除される
  • 年金加入期間の通算:両国の年金加入期間を合算して年金の受給資格を判断できる

ただし、協定の適用はすべての外国人に自動的に及ぶものではなく、「相手国から日本に期間限定で派遣された者(派遣期間5年以内)」が主な対象です。現地採用した外国人は通常どおり日本の社会保険に全面加入します。

日本が協定を締結している主要国(2026年4月時点)

特定技能外国人の主要な送出し国であるフィリピン・インドネシア・ベトナム・カンボジア・ミャンマー・タイ・インド・ネパール等の状況を確認します。2026年4月時点でこれらの国の中でインドとフィリピンは協定締結済み(厚生労働省・2023年2月現在の情報)ですが、ベトナム・ミャンマー・ネパール・カンボジア等は未締結のため、日本の社会保険に全面加入します。

最新の締結状況は厚生労働省の社会保障協定ページでご確認ください。

よくある誤解と注意点

誤解①:「外国人は社会保険に加入しなくていい」

これは誤りです。在留資格・国籍に関わらず、加入条件を満たした外国人労働者は社会保険に加入する義務があります。加入漏れは行政指導・是正勧告の対象となり、特定技能の更新審査でもマイナス要因になります。

誤解②:「短期の雇用だから加入不要」

雇用保険は「31日以上の雇用見込みがある場合」に加入義務が生じます。雇用契約期間が2か月以内でも、更新される可能性があれば加入が必要です。健康保険・厚生年金も2か月を超える雇用見込みがある場合は加入対象です。

誤解③:「本国の保険に入っているから日本の保険は不要」

社会保障協定のない国の外国人については、本国の保険加入状況は日本の加入義務に影響しません。日本で就労する以上、日本の社会保険に加入する義務があります。

誤解④:「外国人は年金をもらえないから加入させなくていい」

厚生年金保険への加入は法的義務です。外国人が帰国後に年金を受け取れない場合は「脱退一時金」として一定額の返還を受けることができます(帰国後2年以内に請求)。「もらえないから加入不要」という判断は法令違反です。

よくある質問

Q. 在留資格「特定活動」で働いている外国人も社会保険に加入しますか?

在留資格「特定活動」で就労が認められている外国人(ワーキングホリデー、経済連携協定に基づく介護候補者等)も、加入条件を満たせば社会保険の適用対象になります。「特定活動」は多様な活動内容を含む在留資格であるため、就労の可否と内容を在留カードまたは指定書で確認する必要があります。

Q. アルバイトとして雇用する場合も加入が必要ですか?

週20時間以上・月額8.8万円以上(2024年10月以降の基準)・31日以上の雇用見込みがある場合は、パート・アルバイトであっても社会保険(健康保険・厚生年金・雇用保険)の加入対象です。労災保険は就労形態に関わらず全員が適用対象です。

Q. 外国人が退職・帰国する際の手続きは?

退職日から5日以内に年金事務所等へ「資格喪失届」を提出します。ハローワークには退職翌日から10日以内に「雇用保険 資格喪失届」を提出します。また、外国人雇用状況届出として離職の届出もハローワークに行います。退職後に外国人本人が脱退一時金を請求する場合は、日本年金機構への手続きを案内しましょう。

Q. 外国人の扶養家族も健康保険に加入できますか?

被保険者の生計を主に維持している家族(配偶者・子等)は、一定の収入要件を満たせば健康保険の被扶養者として登録できます。国内に居住しているかどうかが要件の判断に関わります。扶養認定の詳細は加入する健康保険組合または協会けんぽで確認してください。

まとめ

外国人労働者の社会保険加入は、国籍を問わず日本人と同じ条件で義務が生じます。健康保険・厚生年金・労災保険・雇用保険の4保険は、それぞれ加入条件・提出先・期限が異なりますが、基本的には健康保険・厚生年金は雇用開始から5日以内、雇用保険は翌月10日までに手続きを完了させる必要があります。

特定技能外国人を受け入れる企業にとって、社会保険の適切な運用は受入れ機関要件の一部です。更新申請時には保険料の納付状況も審査の対象となるため、加入後も滞りなく保険料を納付する体制を整えることが重要です。

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※ 本記事の内容は2026年4月時点の法令・制度に基づきます。社会保険の加入条件・手続きは法改正によって変更される場合があります。最新情報は厚生労働省および日本年金機構でご確認ください。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言ではございません。具体的なケースについては専門家へのご相談をおすすめいたします。
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